前営業日トピックス
年末年始の休場明けの日本市場では、日経平均株価が一時700円以上の下落となったことから、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。その後、株価が下げ幅を縮小したことや、米下院が予算案を可決したとの報道もあり、堅調な動きが見られたものの、上値は限定的となった。
米国市場では、序盤に発表された米雇用統計で、失業率が悪化したものの、景気動向を敏感に映す非農業部門雇用者数が昨年2月以来の大幅な伸びとなったことが好感され、ドルは主要通貨に対して上昇した。しかし、その後はパウエルFRB議長のハト派的な発言を受けて、ドルは高値から下落した。ただ、主要株価指数が軒並み大幅上昇となったことから、投資家のリスク回避の動きが後退し、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場終盤の下落を受けて値頃感の買戻しが先行し、ドル円・クロス円は序盤から底固い動きとなった。しかし、日経平均株価が寄り付きから下落となり、一時773円安まで下落したことを受けて、ドル円・クロス円も下落となった。
(2)株価が下げ幅を縮小したことや、国内輸入企業の買いが入ったとの観測も出ており、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。また、米下院が9/30までの予算案を可決したとの報道も押し上げ要因となった。その後は、上昇していた米長期金利が低下したことから、上値の重い動きとなった。
(3)米雇用統計の発表を控えて様子見ムードが強まり、小動きの展開が続いた。そして、米雇用統計では、失業率が悪化したものの、景気動向を敏感に映す非農業部門雇用者数が昨年2月以来の大幅な伸びとなったことが好感され、ドルは主要通貨に対して上昇した。さらに、FRBが重視している平均時給も予想を上回る結果となったこともドルの押し上げ要因となった。
(4)パウエルFRB議長がインタビューで、「市場のリスクに慎重に耳を傾けている」、「必要に応じて迅速かつ柔軟に調整する用意がある」などハト派的な発言をしたことを受けて、ドルは高値から下落した。その一方で、FRB議長の発言を受けてダウ平均株価が一時830ドル高となるなど、主要株価指数が軒並み大幅上昇となったことから、投資家のリスク回避の動きが後退し、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。しかし、米民主党のシューマー上院議員が「大統領は一部政府機関の閉鎖を何ヵ月も続けるつもりだ」と発言したことが伝わり、ドルは上値の重い動きとなった。
本日のトピックス
先週末の米雇用統計では、失業率が0.2ポイント上昇したものの、雇用者数の伸びが予想外の大幅な伸びとなったことに加え、賃金の上昇も好感された。また、15歳以上の生産年齢人口に占める労働力人口の割合である労働参加率の上昇もドルの下支え要因となったが、今後賃金が伸びた場合、FRBはより積極的な対応が迫られるとの指摘も出ている。その中で、マーケットでは、すでに本日から始まる米中の次官級の通商協議に注目が移っている。そのため、東京市場では、米雇用統計の結果は改めて材料視されないだろう。トランプ大統領が協議に関して前向きな発言をしたことからやや期待感も出ているが、今後の協議の行方を慎重に見極めたい。
米国市場では、ISM非製造業景況指数の発表が予定されているが、米雇用統計に続いて良好な結果となるのか、悪化となり米経済の鈍化観測が高まるのか注目したい。
1/7の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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0:00 | 米国 |
12月ISM非製造業景況指数
ISM非製造業景気指数は、全米供給管理協会(Institute for Supply Management=ISM)が発表する米国の非製造業(サービス業)の景況感を示す指数。管理責任者に対するアンケートを集計した指数であり、50が景気の拡大・後退の判断基準であり、50を上回れば景気拡大、下回れば景気後退と判断する。
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59.7 | 60.7 |
前回は、市場予想を上回る結果となり、正式に統計が開始された2008年以降の高水準(61.6)となった9月に迫る水準となった。今回は、前回からの低下が予想されているが、このところの米経済指標が冴えない結果が続いていることから、予想以上の低下を予想する向きも多い。 |