前営業日トピックス
東京市場では、序盤は底固い動きで始まったが、日経平均株価が堅調な動きとなる中、時間外取引で米金利が低下した。先週末のパウエル米FRB議長のハト派発言が改めて材料視され、FRBによる利上げ終了が意識されたこともあり、ドル売り・円買いが膨らんだ。ユーロやポンドなどは対ドルで堅調な動きとなったものの、この動きが影響し、対円では上値の重い動きとなった。
米国市場では、序盤に発表された米ISM非製造業景況指数が市場予想を下回る結果となったものの、米中通商協議に対する楽観的な見方が広がったことを受けて、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。また、米主要株価指数が堅調な動きとなったことや、米長期金利の上昇でドル買い・円売りとなったことも押し上げ要因となった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)マーケットの注目が1/7から始まる米中次官級の通商協議の行方に移っている中で、トランプ米大統領が「中国との協議は非常に順調に進んでいる」と発言したことが材料視されており、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。
(2)日経平均株価が序盤から700円以上の上昇となったものの、為替市場の反応は限定的となった。むしろ、通商協議の結果が出るまでは様子見との見方がある中で、米長期金利が低下したことや、パウエル米FRB議長のハト派発言で米金利低下が意識されたことから、ドル売り・円買いが優勢となり、ドル円は軟調な動きとなり、クロス円も連れ安となった。
(3)新規材料に乏しい中、値頃感も買い戻しもあり、ドル円・クロス円は底固い動きが続いた。欧州市場では、米金融当局者のハト派的な発言が改めて意識され、ドルは主要通貨に対してやや上値の重い動きとなった。
(4)米国市場では、序盤に発表された米ISM非製造業景況指数が市場予想を下回る結果となったことから、やや上値の重い動きも見られた。ただ、米中通商協議が開催されている中で、中国が大豆の購入を再開したことや、ポンペオ米国務長官が北朝鮮問題に関して中国は良いパートナーであるとの認識を示したとの報道などが好感され、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。さらに、米主要株価指数が堅調な動きとなったことや、米長期金利の上昇でドル買い・円売りとなったことも押し上げ要因となった。
本日のトピックス
米中次官級の通商協議が北京で開催されているが、現状では楽観的な見方が広がっており、リスク回避の動きは和らいでいる。マーケットでは、大幅下落の後であることから、依然として底打ちをしたのか、または2番底を取りに行く展開となるのか慎重に見極めている模様。1/3の急落前の高値である108.92、節目となる109.00、一目均衡表基準線の109.40がマーケットの注目ポイントとなっている。ここを上抜ける展開となれば、やや安心感が広がる可能性も考えられる。
米国市場では、本日発表が予定されていた米貿易収支の発表が一部の米政府機関の閉鎖により延期されている。ただ、雇用関連のJOLT労働調査[求人件数]の発表が予定されており、先週末の米雇用統計が比較的良好な結果となったことから、大きく悪化しなければ反応は限定的となるだろう。また、米中通商協議に関する声明や報道が引き続き注目されている。
1/8の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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0:00 | 米国 |
11月JOLT労働調査[求人件数]
JOLTS 労働調査(求人件数)は、米労働統計局が求人状況を測定するために実施する調査で、小売業や製造業など各業種の雇用データをもとに算出する統計。
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705.0万件 | 707.9万件 |
前回は、市場予想を下回ったものの9月からは増加となり、8月に付けた過去最高に次いで2番目の多さとなった。依然として、高水準を維持しており、豊富な求人件数が維持されており、より良い賃金を獲得するための転職も多くなっており、人材獲得のための賃金上昇に寄与している可能性も考えられる。 |
気まぐれ投資コラム
豪ドル円、今後の動きに注目
年明けのドル円・クロス円の急落では、豪ドルの下げ幅が特に大きくなりました。米アップルが中国景気の減速を理由に業績を下方修正したことで、世界経済の減速が意識されたことが要因の一つとされており、特にオーストラリアは中国と貿易上の関係が深いことから下げ幅が拡大したとの見方が一般的となっています。急落した1/3の下落率を見ると、ドル/円は-3.6%、ユーロ/円は-3.6%、ポンド/円は-4.1%、豪ドル/円は-6.5%と突出しています。豪ドル/円は、71.09円まで下落し、2009年7月以来の安値を付けました。安値を付けた後は、他の通貨同様に急反発となっています。
豪ドル/円の月足ベースのチャートを見ると、2008年の急落はリーマンショックの影響による下落で55円台まで下落していますが、その後は70円台から72円台が底値となるケースが続いています。多くのケースが下ヒゲでの下値確認となっており、短期間で反発していることが伺えます。そして、その後は比較的堅調な動きが続くケースが続いていることから、今回も安値を付けた後の動きが注目されます。
なお、急落直後で下値の対する警戒感も根強いことから、取引の際には十分な注意が必要です。
※出所:データを基にSBILMが作成