前営業日トピックス
東京市場では、下落して始まった日経平均株価がプラス圏まで上昇したものの、再びマイナス圏に下落したことが影響し、ドル円・クロス円も上値の重い動きとなった。その後、仲値公示にかけて本邦輸出企業によるドル売り・円買い観測されたこともあり、軟調な動きとなった。その後は、黒田日銀総裁の発言を受けて、円売りが加速した。 米国市場では、米長期金利が低下したことなどが影響し、ドル円・クロス円は序盤からやや上値の重い動きとなった。その後、米中通商協議で中国側に人民元の安定維持を要求し、最終的な合意の枠組みに組み入れることで暫定合意したとの報道を受けて、人民元買い・ドル売りが優勢となった。また、原油高なども加わり、資源国通貨の豪ドルやカナダ・ドルなども上昇した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)米国市場が休場で新規材料に乏しい中、序盤から小動きの展開で始まった。そして、下落して始まった日経平均株価がプラス圏まで値を戻したことから底固い動きとなったものの、日経平均株価も伸び悩んだことから、ドル円・クロス円もやや上値の重い動きとなった。また、米長期金利が低下したこともドル売り・円買いを加速させた。一方、豪中銀の議事録を受けて、豪ドルは上昇する場面もあったが、景気見通しは不透明で利下げもあり得るとしていることもあり、上値の重い動きとなった。
(2)黒田日銀総裁が国会質疑で「物価安定目標の達成のために必要になれば、追加緩和も検討していくことになると思う」と発言したことを受けてドル買い・円売りが優勢となり、ドル円・クロス円は反発となった。また、欧州市場でも引き続き材料視され、ドル円・クロス円は堅調な動きが続いた。
(3)米長期金利が2.668%台から2.633%台まで低下したことなどもあり、ドル円・クロス円はやや上値の重い動きとなった。そして、米中が人民元相場安定の保証を最終的な合意の枠組みに組み入れることで暫定合意したとの報道を受けて、オフショア市場で人民元が対ドルで上げ幅を拡大、また資源国通貨の豪ドル、カナダ・ドルなども上昇に転じた。一方、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。また、英国の閣僚や首相報道官の発言に加え、メイ英首相とユンケル欧州委員長の会談を控えていることもあり、期待感からポンド買いが優勢となった。ポンドは、対ドルで2/4以来、対円で1/28以来の高値を付けた。
(4)下げ一巡後は、米中通商協議に関して新たな報道や要人発言などの材料待ちとなったことや、FOMCの議事録公開を控えて、様子見ムードも高まり、小動きの展開が続いた。
本日のトピックス
本日は、南ア財務相の予算演説が予定(日本時間21時頃)されており、演説の内容が注目されている。南アフリカ国内の9割以上の電力を供給している国営電力会社の財務危機が問題視されており、どのような対応が盛り込まれるのか注目が集まっている。そして、南アの財政に多大な影響が懸念される内容なら、格下げの可能性が高まることも考えられる。
欧州では、英国のメイ首相とユンケル欧州委員長の会談が予定されており、英国のEU離脱に関して進展があるのかどうかなどが注目されている。
米国市場では、本日主要な経済指標の発表は予定されていないが、FOMC議事録の公開が予定されている。最近の米当局者の発言がハト派寄りとなっていることから、FOMCでの議論がどの程度ハト派的となっていたのかを見極めたい。ハト派寄りであったことが明らかとなれば、ドルの圧迫要因となる可能性もあるだろう。