前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が下落したことや、トランプ米大統領の発言を受けて、リスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。ドル/円は、109円台まで下落したものの底固い動きとなり、再び110円台まで値を戻した。しかし、日経平均株価が前日比200円安で終了したことや、中国株が下げ幅を拡大したこともあり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
米国市場では、引き続き米中貿易摩擦激化への警戒感を背景に欧米の株価が大きく下落したことが影響し、投資家のリスク回避姿勢が強まり、相対的に安全な通貨とされる円を買ってドルを売る動きが優勢となった。その後、トランプ米大統領が中国の習近平国家主席から書簡を受け取ったことや、近く電話会談を実施する可能性を示唆したことが好感され、ドル円・クロス円も反発となった。しかし、米中通商協議の結果や内容を見極めたいとの思惑もあり、その後は上値の重い動きが続いた。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)海外市場の流れを受けて、序盤から軟調な動きとなった。そして、日経平均株価が序盤から前日比250円以上の下落となったことや、トランプ米大統領が「中国は約束を破った」と発言したことから、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。特に、ドル/円は109.84まで下落し、3/25以来1ヵ月半ぶり安値を更新した。
(2)109円台では引き続き値頃感のドル買い戻しや、仲値公示にかけて実需のドル買いフローも観測され、再び110円台まで反発した。その後、日経平均株価が287円安まで下落したことや、ハンセン指数、上海総合が下げ幅を拡大したこともあり、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。
(3)米中貿易摩擦激化への警戒感を背景に欧米の株価が大きく下落したことを受けて、投資家のリスク回避姿勢が強まり、相対的に安全な通貨とされる円を買ってドルを売る動きが優勢となった。ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなり、ドル/円は一時2/4以来の安値を付け、豪ドルも1/4以来の安値を更新した。一方、トルコの政治的懸念や欧米との関係悪化懸念を背景に、トルコ・リラが下落しており、トルコ・リラ/円は昨年9/19以来の安値となった。
(4)トランプ米大統領は、中国の習近平国家主席から書簡を受け取ったことを明らかにし、近く電話会談を実施する可能性を示唆したことを受けて、一時440ドル以上下落していたダウ平均株価が下げ幅を大きく縮小するなど、主要株価指数が軒並み下げ幅を縮小したこともあり、ドル円・クロス円も反発となった。ただ、5/10に中国製品に対する関税発動が予定されていることや、トランプ米大統領が新たに3250億ドル相当の中国製品に追加関税を発動する手続きを始めたことも明らかにしている中、米中貿易協議が実施されることから、内容を見極めたいとの思惑もあり、その後は上値の重い動きが続いた。
本日のトピックス
米政府による中国製品に対する関税引き上げが予定(日本時間5/10 13時01分)されているが、米中通商協議が実施されていることから、合意に近づくようなら関税引き上げを見送る可能性も一部では指摘されている。ただ、トランプ米大統領が新たに3250億ドル相当の中国製品に追加関税を発動する手続きを始めたことを明らかにしていることもあり、依然として先行き不透明であることから、実際に関税の引き上げが発表されるのかどうかなど、要人発言や報道に注目したい。
米国市場では、消費者物価指数の発表が予定されており、物価の上昇が予想されている。ただ、米中通商協議に注目が集まっていることから、昨日同様反応は限定的となる可能性も考えられるが、一応結果には注目したい。なお、南アの総選挙では、開票率が約70%となっており、与党アフリカ民族会議(ANC)が過半数を得ているものの、過去最も低い得票率となる可能性もあるとの報道が出ている。
5/10の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
4月消費者物価指数(前月比)
消費者物価指数(CPI = Consumer Price Index)は、消費者を対象とした小売やサービスの価格動向を示した指数である。特に、食品とエネルギーを除いたコア指数が重要視されている。そして、米国の金融政策を決定する上で重要な経済指標であり、為替市場への影響も非常に大きい。
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0.4% | 0.4% |
前回は、前月比・前年比ともに市場予想を上回り、前月比で2017年9月以来、前年比で2018年12月以来の高水準となった。食料品・飲料の伸びが低下したものの、エネルギーが大きく上昇し、サービスも上昇したことが押し上げ要因となった。今回は、前月比で横ばいの伸び、前年比でさらに上昇が予想されており、良好な結果が維持されるのか注目したい。 |