前営業日トピックス
前週末の海外市場の終了後のトランプ米大統領のツイートを受けて、米中貿易問題の先行き不透明感が広がったことが影響し、アジア・オセアニア市場はギャップダウンして始まった。そして、比較的安全な資産とされる円を買ってドルを売る動きが優勢となった。その後、実需のドル買いフローも観測され、底固い動きとなったものの、上値の重い動きが続いた。
米国市場では、中国が6/1から一部米製品に追加関税を課す報復措置を発表したことを受けて、米中貿易摩擦激化への懸念が強まり、投資家のリスク回避の動きが加速し、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。その後、ムニューシン米財務長官、トランプ米大統領の発言を受けて、若干買い戻しが見られたが、終盤まで上値の重い動きが続いた。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)トランプ米大統領が、「中国は最近の貿易協議でひどく打ちのめされた」などと指摘したことを受けて、投資家が米中貿易問題の先行き不透明感に警戒を強め、比較的安全な資産とされる円を買ってドルを売る動きが先行し、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。
(2)下げ一巡後は底固い動きとなり、仲値公示近辺では本邦国内輸入企業によるドル買い・円売り観測もあり、ドル/円は底固い動きとなった。ただ、米国は3250億ドル相当の中国からの輸入品に対する新たな追加関税について詳細が明らかにされる予定であることもあり、限定的な動きが続いた。
(3)トランプ米大統領が「中国は報復をするべきではない」と発言したとの報道があったものの、マーケットの反応は限定的だった。そして、中国が6/1から600億ドル規模の米製品に追加関税を課す報復措置を発表したことを受け、米中貿易摩擦激化への懸念が強まった。これを受けて、米ダウ平均株価が一時700ドル超の下落となるなど、主要株価指数が大きく下落したことで、投資家のリスク回避の動きが加速し、ドル円・クロス円も軟調な動きとなった。ドル/円は、一時109.02まで下落し、2/1以来の安値を付けた。また、中国との貿易上の関係が深いことから豪ドルも下落となり、豪ドル/円は一時1/4以来の安値を更新した。
(4)ムニューシン米財務長官が「米中通商協議はまだ続いている、訪中時期を調整中」と発言したことや、トランプ米大統領が3250億ドルの追加関税はまだ決まっていないとし、G20で習近平中国国家主席との会談の可能性を示唆したことから、若干買い戻しが見られたが、やや上値は限定的だった。
本日のトピックス
トランプ大統領が5/9、新たに3250億ドル相当の中国製品に追加関税を発動する手続きを始めたことを明らかにしたこともあり、週明けからギャッダウンとなった。さらに、中国が報復措置を発表したことを受けて、昨晩の海外市場でドル円・クロス円は一段の下落となった。マーケットでは、米中の通商問題に関する対立が続くとの見方もあり、新たな3250億ドル相当の追加関税の詳細、特に日本にも影響が懸念される自動車・同部品の追加関税が発動されるのかにも注目されている。そのため、上値の重い動きが続く可能性も考えられる。米国市場では、4月の米輸入物価指数の発表が予定されているが、市場予想と大きく乖離しなければ、反応は限定的だろう。
5/14の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
4月輸入物価指数(前月比)
輸入物価指数は、輸入時の価格を指数化したものであり、特に、他の物価関連の指標と同様に国内のインフレ動向の先行指標の一つとして注目される経済指標。ただ、輸入時ということで、原油相場や為替相場の影響を受ける傾向にある。
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0.7% | 0.6% |
前回は、市場予想を上回ったものの、2016年5月以来の高い伸びとなった2月の結果からは伸び幅が縮小した。石油が低下したことや、資本財が2ヵ月連続のマイナスとなったこと影響した。今回は、前回からの若干の上昇が予想されており、昨年11月から12月の大幅な低下が一時的だったことが示されるだろう。 |