前営業日トピックス
東京市場では、やや新規材料に乏しい中、欧米の経済指標結果や株価の動きに注目が集まり、ドル円・クロス円は小動きの展開で始まった。下落して始まった日経平均株価が、上昇したものの、午後には再び下落したことや、中国株の下落、欧州主要株価指数の下落も影響し、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。
米国市場では、序盤に発表された5月の米消費者物価指数が冴えない結果となったことで、FRBによる年内の利下げが意識され、序盤のドルは主要通貨に対して下落したものの、その後米国債利回りが上昇したことに合わせ、ドルも堅調な動きとなった。一方、トランプ米大統領が、ロシアとドイツを海底で結ぶガスパイプラインの建設を阻止するため、米国は制裁を検討中との発言を受けて、ユーロがドルに対して下落した。さらに、原油価格が大幅下落となったことが影響し、資源国通貨も対ドル、対円で下落した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤からやや上値の重い動きとなったものの、下落して始まった日経平均株価がプラス圏まで上昇したことを受けて、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
(2)日経平均株が再び下落したほか、上海、香港株が下落、さらに米10年債利回りが2.1414%から2.1136%まで低下したことが材料視され、円買いドル売りが優勢となり、ドル円・クロス円は軟調な動きが続いた。
(3)5/28-29のG20サミットに向けて米中首脳会談の可能性を巡り、両首脳が通商協議再開を決断するとの米商務長官の発言もあり、協議進展への期待感から、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。一方、5月の米消費者物価指数がコア指数や前年比ベースで市場予想を下回る結果となったことで、FRBによる年内の利下げが意識され、ドルは主要通貨に対して下落、ドル/円は108.26まで下落した。
(4)米10年債利回りが2.1066%から2.1413%まで上昇したことに合わせ、ドルは対主要通貨で堅調な動きとなった。さらに、トランプ米大統領が、ロシアとドイツを海底で結ぶガスパイプラインの建設を阻止するため、米国がドイツに対してエネルギーでロシアに依存しないように警告、また制裁を検討中と発言したことを受けて、ユーロはドルに対して下落した。さらに、原油価格が大幅下落したことが影響し、豪ドルやカナダ・ドルなどの資源国通貨もドルや円に対して下落した。また、次期英首相の有力候補であるジョンソン前外相が、合意なし離脱への姿勢を軟化させたことを受けて、ポンドは上昇したが、英国のEU離脱を巡る労働党提出の合意なき離脱を阻止する内容を含む案が賛成298票、反対309票で否決されたことを受けて、ポンド売りが優勢となった。
本日のトピックス
英国では、メイ首相辞任による与党保守党の党首選が本日から始まり、複数回の投票(13日、18日、19日、20日)が行われ、最終的に2人の候補者に絞り込む。その後、7/22の党員投票の結果を受けて、新首相となる党首が決定される。立候補者は、ジェレミー・ハント外相、サジド・ジャヴィド内相、マイケル・ゴーヴ環境相、マット・ハンコック保健相、ボリス・ジョンソン前外相、ドミニク・ラーブ前EU離脱相、ローリー・スチュワート国際開発相、マーク・ハーパー前下院院内幹事長、エスター・マクヴェイ前雇用・年金相、アンドレア・レッドソム前下院院内総務の計10名。なお、新党首決定までメイ氏が首相に留まることになっている。投票の途中経過など、関連する報道には注目したい。
米中通商問題は依然として燻っており、当面は今月末のG20首脳会議期間中に米中首脳会議が実現するのかどうかに注目が集まっている。トランプ大統領は、習近平中国国家主席と会談する予定であるとしているが、中国側からは関連する発言などは出ていない。会談が実現すれば、米中通商問題が進展するとの期待がある一方、最終合意まではまだ時間を要するとの見方も根強く、引き続き関連する報道に注目したい。
6/13の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
5月輸入物価指数(前月比)
輸入物価指数は、輸入時の価格を指数化したものであり、特に、他の物価関連の指標と同様に国内のインフレ動向の先行指標の一つとして注目される経済指標。ただ、輸入時ということで、原油相場や為替相場の影響を受ける傾向にある。
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-0.2% | 0.2% |
前回は、市場予想を下回り、2ヵ月連続で鈍化した。石油や食品・飲料が上昇したものの、資本財や消費財が2ヵ月連続でマイナスとなったことが影響した。今回は、マイナスが予想されており、予想通りなら4ヵ月ぶりのマイナスとなる。特に、4月まで上昇が続いた原油価格が5月に大きく下落したことが影響するか注目される。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート 日足
ドル/円は、一目均衡表の転換線近辺で上値が抑えられる形となっており、8営業日連続で前日の高値を上回る動きが続いていたものの、それが途切れて上値の重い動きが続いています。ここから堅調な動きが続くのか、一旦軟調な動きとなるのか注目です。
現状の動きを下げ途中の小休止の持合いパターンと見れば、現在5波動目の下げと見ることができます。そして、持ち合い下限ラインを下抜けるようなら、小休止終了となる可能性も考えら、その場合の下値は107.817がポイントとなります。そして、107.817を下抜ける場合には一段の下げとなり、下抜けたことによる下値目標の計算値は106.693と計算できることから注目です。
上値のポイントは108.797となり、ここを上抜けるようなら、24日まで横ばいが続く一目均衡表の基準線(109.244)を目指す展開も考えられます。
気まぐれ投資コラム
テクニカル分析 ストキャスティクス(Stochastics) その2
通常のストキャスティクス(ファスト・ストキャスティクス)の%Kと%Dの動きは、ジグザグが多くて見づらいことから、より滑らかな動きをするスロー・ストキャスティクスが考案されました。ファスト・ストキャスティクスの%Dをスロー・ストキャスティクスの%Kに採用、ファスト・ストキャスティクスの%Dをさらに3日間で平均化したものをスロー・ストキャスティクス%Dに採用(スロー%D)して表示します。
そして、ファスト・ストキャスティクス(上のチャート)とスロー・ストキャスティクス(下のチャート)を比較すると、スロー・ストキャスティクスのラインの滑らかさがよくわかります。
【売買のタイミングのヒント】
ストキャスティクス最大の特徴は、パラメーターが短いことから「価格動向に非常に敏感」であることです。上昇・下降の日数(ローソク足の本数で3〜8本程度)の比較的短い短期のもみ合いに最も有効なシグナルを発します。
※出所:FX総合分析チャート
※出所:データを基にSBILMが作成