前営業日トピックス
東京市場では、海外市場の流れを受けて、序盤は底固い動きとなった。日経平均株価が上昇して始まったことが好感され、ドル円・クロス円は上昇する場面もあったが、午後に入ると株価も伸び悩む展開となったこともあり、ドル円・クロス円も上値の重い動きとなった。その後、注目されたドイツやユーロ圏の製造業PMIが予想を下回る結果となったことから、ユーロは主要通貨に対して下落した。一方、米国債利回りの低下を受けて、ドル/円も上値の重い動きとなった。
米国市場では、ムニューシン米財務長官が長期的には強いドルが米国経済にとって有益であると発言したことを受けて、ドルは序盤から底固い動きとなり、ドル/円は108.09まで上昇した。しかし、7月の製造業PMI、6月の新築住宅販売が市場予想を下回ったことが嫌気され、ドル/円は一時107.94まで下落した。その後は、ユーロやポンドなど主要通貨に対してドルが上昇したことや、ナスダックやS&P500が最高値を更新したことが下支え要因となり、ドル/円は108.25まで上昇した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)海外市場の堅調な流れを引き継ぎ、ドルは底固い動きとなった。日経平均株価が上昇して始まったことを受けて、ドル/円は108.27まで上昇したが、海外市場で付けた前日の高値108.29には届かなかった。その後は、仲値公示にかけてやや上値の重い動きとなったが、日本や中国株が堅調な動きとなったこともあり、ドルは底固い動きとなった。
(2)午後に入り、日経平均株価や中国株が伸び悩む中、ドル円・クロス円はやや上値の重い動きとなった。そして、ドイツやユーロ圏の製造業PMIが予想を下回り、ともに7年ぶり低水準となったことからユーロ売りが強まり、ユーロは対円で1/3以来の安値を更新し、対ドルでも5/31以来の安値を付けた。一方、米10年債利回りが2.0776%から2.0480%まで低下したことから、ドル/円も軟調な動きとなったが108.00で下げ止まった。
(3)ムニューシン米財務長官が、「長期的には強いドルが米国経済にとって有益であり、近い将来に弱いドル政策を掲げることはない」と発言したことを受けて、ドルは序盤から底固い動きとなり、ドル/円は一時108.09まで上昇した。しかし、7月の米製造業PMIが2009年9月以来の低水準となったことや、6月の新築住宅販売が市場予想を下回ったことが嫌気され、ドル/円は一時107.94まで下落した。
(4)108円台割れでは値頃感のドル買い戻しに加え、ユーロやポンドなどの主要通貨に対してドルが上昇したこともあり、対円でも底固い動きとなった。さらに、ナスダックやS&P500が最高値を更新するなど、堅調な動きとなったことも下支え要因となり、ドル/円は108.25まで上昇した。ただ、前日の高値である108.29などが意識されてやや上値は限定的だった。
本日のトピックス
欧州市場では、トルコやECBの金融政策発表が予定されている。トルコのインフレ率が低下傾向にある中で、ここまで利下げを求めていたエルドアン大統領が、7/6に利下げの時期を巡って対立していたチェティンカヤ・トルコ中銀総裁を更迭したことで、利下げ観測が高まっている。
一方、ECB理事会では、景気減速などを背景により積極的な緩和に踏み切るとの見方も出ており、一部では0.10%の利下げの可能性を指摘する向きもある。金利先物市場では、金利据え置き予想確率が64%だが、0.10%の利下げ予想確率は36%となっていることもあり、今回の結果を受けてユーロの動きが大きくなる可能性も考えられることから注目したい。また、米国市場では、2ヵ月連続のマイナスが続いている耐久財受注の発表が予定されており、3ヵ月ぶりにプラス改善となるのか注目したい。
7/25の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
---|---|---|---|---|
20:45 | 欧州 |
ECB理事会 政策金利
ユーロ圏の統一的な金融政策を担う最高意思決定機関。理事会は、総裁・副総裁を含む幹部6人と、ユーロ圏各国の中銀総裁で構成され、原則として月に2回、ドイツのフランクフルトのECB本部で定例会合を開く。会合終了後は、ECB総裁が会見を実施する(議事録は公開していない)。
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0.00% | 0.00% |
前回は、主要政策金利は据え置きとなったが、過去最低の金利を少なくとも2020年上期末まで据え置くと表明した。景気減速などを背景に、積極的な緩和に踏み切るとの観測も出ており、一部では0.10%の利下げの可能性も予想されている。FRBによる0.25%ポイントの利下げが確実視される中、ECBが利下げや積極的な緩和メッセージを出さない場合には、ユーロ高に振れる可能性も考えられる。 | ||||
21:30 | 米国 |
6月耐久財受注(前月比)
耐久財受注(Durable Goods Manufacture's Orders)は、米国の耐久財(耐久年数3年以上)の新規受注額を集計した指標であり、設備投資の先行指標として注目されている。特に、変動の大きい輸送用機器などを除いた受注額が民間の設備投資の先行指標として注目されている。
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0.8% | -1.3% |
前回は、市場予想と一致し、昨年10月以来の低水準からマイナス幅が低下したものの、2ヵ月連続のマイナスとなった。資本財や輸送機器が2ヵ月連続のマイナスとなったことが影響した。今回は、プラス改善が予想されており、今年のここまでの平均が-0.9%、昨年の平均が+0.3%であり、改善の兆しが見られるのか注目したい。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート 日足
ユーロ/ドルは、一目均衡表で三役逆転(基準線・転換線の交差、遅行スパンの価格帯下抜け、雲の下抜け)となり、軟調な動きが続いています。オシレーターのMACDでは、一旦縮まった両線の乖離幅が再び拡大しており、軟調な動きを示唆する形状となっています。
ここから一段の下げとなり、2017年5月以来の安値となるポイントの1.1107を下抜ける展開となるのか、底固い動きとなり値を戻すのか注目されます。
1.1107を下抜ける場合には、1.1193を下抜けたことによる下値目標の計算値である1.1065が当面の下値目標となる可能性も。一方、上値の目標は、レジスタンスとなる1.1193がポイントと考えられます。
気まぐれ投資コラム
トルコ中銀は利下げを決定するのか? その場合の利下げ幅は?
本日20時にトルコ中銀行の金融政策発表が予定されています。
トルコ中銀は、通貨防衛とインフレ抑制のため、それまで8.00%で推移させていた政策金利を昨年5月から9月にかけて24.00%まで引き上げました。トルコの消費者物価指数は、2018年5月の利上げ決定直前の4月には10.89%でしたが、10月には25.24%まで上昇しており、これに合わせる形で利上げが実施されてきました。
その後、25.24%まで上昇していた消費者物価指数は減速となり、今月には15.72%まで低下しています。ここまで消費者物価指数の上昇に合わせて利上げが決定されたものの、消費者物価指数の低下が続き、利下げによる通貨下落がトルコ経済を圧迫するとの懸念もあり、トルコ中銀は利下げ先送りして、政策金利を24%のまま据え置いてきました。
しかし、常々利下げを求めていたエルドアン・トルコ大統領は、利下げの時期を巡って対立していたチェティンカヤ・トルコ中銀総裁を7/6に更迭しました。そのため、金融政策への政治的な介入懸念もあり、利下げ観測が高まっており、当初見込まれていた利下げ幅を上回る利下げ幅になるとの見方も出ています。
エコノミスト予想では、利下げ予想は100%となっており、0.25%から8.00%の範囲の利下げ幅が予想されています。その中で、特に2.00%から3.00%の利下げ予想が全体の約70%を占めています。トルコ中銀の金融政策発表を受けて、トルコ・リラ相場が大きく動く可能性も考えられることから、発表前後の動きには十分に注意が必要です。
※出所:データを基にSBILMが作成
※出所:データを基にSBILMが作成