前営業日トピックス
東京市場では、下落して始まった日経平均株価がプラス圏まで上昇し、上げ幅を拡大したことや、時間外取引で米国債利回りが上昇したことも加わり、ドル/円は堅調な動きとなった。一方、ユーロは前日の経済指標が冴えない結果となり、ユーロ圏経済の先行き不安を背景に、軟調な動きとなった。また、ポンドは英国のEU離脱問題に絡む政局不安を背景に、軟調な動きとなった。
米国市場では、8月の米ISM製造業景況指数が2016年1月以来の低水準となり、景気拡大・縮小の判断基準となる50を3年ぶりに割り込んだことから、世界的な成長減速への懸念に加え、FRBの利下げ観測が高まった。指標結果を受けて米国債利回りが低下となり、ドル/円は105.74まで下落した。その後、ドル/円は底固い動きとなったものの、上値も限定的だった。
米株式市場では、主要株価指数は序盤から軟調な動きとなり、ダウ平均株価は285ドル安で終了し、4営業日ぶりに反落となった。一方、ハイテク株中心のナスダックは88ポイント安で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の米国市場がレイバーデーのため休場だったものの、米中貿易問題に関する懸念を背景に、やや上値の重い展開で始まった。その後、下落して始まった日経平均株価がプラス圏まで上昇し、上げ幅を拡大したことや、米10年債利回りが1.5045%から1.5332%まで上昇したこともドルの下支え要因となり、ドル/円は106.38まで上昇した。
(2)豪中銀が予想通り政策金利の据え置きを決定し、豪ドルはドルや円に対して堅調な動きとなった。ドル/円は、ドルが豪ドル対して下落したことや、米10年債利回りが再び1.5095%まで低下したことも加わり、やや上値の重い動きが続いた。一方、ポンドは英国内の政局不安を背景に、ドルや円に対して軟調な動きが続いた。
(3)低下していた米国債利回りが上昇したこともあり、ドル/円は底固い動きとなった。一方、ユーロは対ドルで2年4ヵ月ぶりの安値まで下落したことから、対円でも上値の重い動きとなった。
(4)8月の米ISM製造業景況指数が5ヵ月連続の低下となり、2016年1月以来の低水準となった。さらに、景気拡大・縮小の判断基準となる50を3年ぶりに割り込んだことから、FRBによるさらなる利下げ観測も意識され、米10年債利回りが1.5095%から1.4272%まで低下したことも加わり、ドル/円は105.74まで下落した。その後は底固い動きが続き、終盤には106円台まで値を戻した。
本日のトピックス
米中貿易問題に対する懸念が燻っており、方向性が見えないことから、積極的な売買も手控えられている。それに加え、英国のEU離脱問題に絡む英議会の混乱、ユーロ圏の景気先行きに絡む利下げ観測もあり、それぞれに関連する要人発言や報道が引き続き注目される。そして、発言の内容により、動きが出る可能性もあり、注意が必要だろう。
昨晩発表された8月の米ISM製造業景況指数では、景気拡大・縮小の判断基準となる50を3年ぶりに割り込んだ。さらに、雇用指数も2016年3月以来の低水準となったことで、週末発表の米雇用統計で製造業の雇用の弱さが示される可能性も考えられる。そして、米中貿易摩擦が企業業況感を圧迫している結果が示されたものの、景気後退の水準とみなされる43を、まだ上回っているとの楽観的な見方もあったが、次回以降の結果が注目される。
米国市場では、米貿易収支の発表が予定されており、特に対中赤字が減少しているのか、増加しているのか注目したい。さらに、FOMCの討議資料となるベージュブック(米地区連銀経済報告)の公表もあり、今後の金融政策の判断材料にもなることから、どのような報告が挙がっているのか注目される。
9/4の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
7月貿易収支
貿易収支は、米国から輸出された金額と米国へ輸入された金額の差額。米国では、輸出、輸入ともモノだけではなくサービス(運賃や保険、観光など)も含まれる。
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-535億USD | -552億USD |
前回は、市場予想を下回ったが、赤字額は前月から改善した。輸出総額は-2.1%、輸入総額は-1.7%、モノの貿易赤字は-1.0%だった。対日赤字は+6.8%、対中赤字は-0.8%だった。今回は、さらに赤字額が縮小すると予想されており、改善の兆候が示されるのか注目したい。また、対中赤字の結果にも注目。 |