前営業日トピックス
東京市場では、ドル円・クロス円は序盤からやや上値の重い動きとなったが、日経平均株価が上昇して始まり、アジアの主要株価指数も軒並み大幅上昇したことを受けて、堅調な動きとなった。日経平均株価が終盤に上げ幅を拡大して一時560円超まで上昇したこともあり、ドル/円も109.32まで上昇した。
欧州市場でも主要株価指数が堅調な動きとなったこともあり、ドル円・クロス円の底固い動きが続いた。ただ、カーニー英中銀総裁の発言を受けて、ポンドは主要通貨に対して大きく下落となり、ポンド/円は約1円下落した。
米国市場では、ダウ平均やナスダックが序盤から最高値を更新したことが好感され、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。さらに、米国債利回りが上昇したことも加わり、ドル/円は一時109.58まで上昇し、昨年12/27以来の高値を付けた。その後、米30年債の入札に対する需要が旺盛だったことを受けて米長期金利が低下し、それとともにドル/円は下落したものの、109.40で下げ止まるなど底固い動きが続く中、ダウ平均をはじめ主要3指数がいずれも終値ベースで最高値を更新したことを受けて、ドル円・クロス円は終盤まで底固い動きが続いた。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から堅調な動きとなり、一時前日比242ドル高まで上昇し、取引時間中の最高値を更新した。その後、上げ幅をやや縮小したものの、211ドル高で終了し、終値ベースの最高値も更新した。一方、ハイテク株中心のナスダックは74ポイント高で終了し、S&P500とともに取引時間中と終値ベースでの最高値を更新した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場の終盤に、イラクの首都バグダッドにロケット弾が撃ち込まれたとの報道を受けてリスク回避の動きが意識された流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円はやや上値の重い展開で始まった。しかし、日経平均株価が堅調な展開で始まり、序盤に380円超の上昇となったことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ドル/円は、前日の海外市場でつけた年初来高値の109.24を上抜けて109.25まで上昇した。
(2)日経平均株価が終盤に前日比562円高まで上昇するなど、アジア株が全面高となる中、ドル円・クロス円は底固い動きが続いた。ドル/円は109.32まで上昇した。
(3)欧州主要株価指数が堅調な展開で始まったことに、欧州勢の円売り観測も加わり、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。一方、カーニー英中銀総裁が、MPC(金融政策委員会)は近い将来に金融緩和を行うことの利点について議論していると発言したことを受けて、ポンドが売り優勢となった。ポンド/円は143.40台から142.40台まで下落し、ポンド/ドルは昨年12/27以来の安値まで下落した。
(4)米国市場では、中東情勢の緊張緩和を背景に、米主要株価指数が軒並み堅調な動きとなり、ダウ平均とナスダックが序盤から最高値を更新したこともあり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。さらに、米10年債利回りが1.856%から1.896%まで上昇したことも加わり、ドル/円は一時109.58まで上昇し、昨年12/27以来の高値を付け、年初来高値も更新した。
(5)1/8にイランで墜落した旅客機に関して、米当局者がイランのミサイルで撃墜されたとの見方を示したとの報道を受けて、ドル円・クロス円は軟調な動きとった。加えて、米30年債入札が旺盛だったことで米国債利回りが低下に転じ、米10年債利回りが1.847%まで低下したこともあり、ドル/円は109.40まで下落した。しかし、米主要株価指数が終盤まで堅調な動きとなり、主要3指数がいずれも終値ベースで最高値を更新したことで、ドル円・クロス円は終盤まで底固い動きが続いた。なお、トランプ米大統領は、「米中通商協議の第2段階の合意は選挙後まで待つ可能性も」、「財務省がイラン制裁について発表する」と発言したものの、反応は限定的だった。
本日のトピックス
米国とイランの緊張が和らいだことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなっており、ドル/円は緊張が高まってからの下げ幅のほとんどを戻している。このことから、中東情勢の不安が和らいだことを材料にした上昇は理論上難しいと考えられる。ここからさらに一段に上昇するには、新たな材料が必要と考えられ、米国時間に発表される12月の米雇用統計の結果が注目される。
市場予想では、11月の結果から伸び幅が大幅に縮小(11月の結果は+26.6万人、12月の予想は+16.0万人)すると予想されているが、GM(ゼネラルモーターズ)のストライキの終結(昨年10/25)により、従業員が職場に復帰したことが要因だったことから、12月の伸び幅の減少は想定内と見られる。また、失業率や賃金などを含めて市場に好感される結果が示されることも、ドルの押し上げ要因となる可能性もあるだろう。
ただ、再び中東情勢の先行き不安が連想される報道や要人発言がある場合には、下振れとなる可能性も考えられることから、注意はしておきたい。
1/10の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
---|---|---|---|---|
22:30 | 米国 |
12月非農業部門雇用者数
非農業部門に属する事業者の給与支払い帳簿をもとに集計された雇用者数。農業以外の産業で働く雇用者であり、経営者や自営業者は含まれない。
|
16.0万人 | 26.6万人 |
前回は、市場予想を大幅に上回る結果となり、昨年2月以来の高い伸びとなった。GM(ゼネラルモーターズ)のストライキ終結により、従業員が職場に復帰したことを背景に急速な改善となった。今回は、前回の大幅な伸びからの反動もあり、伸び幅の縮小が予想されている。市場予想では16.0万人となっているが、昨年11月までの平均の伸び幅が約18万件であることから、平均以下まで伸び幅が低下となるかが注目されている。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート
ドル/円は反発しており、週足ベースでは複数の上値の重要なポイントがある水準まで上昇しています。この近辺には、10月からのトレンドライン、一目均衡表の雲上限ラインの109.739、レンジ上限の109.727が位置しています。ここから重要なポイントを上抜けて一段の上昇となるのか、それとも再度上値の重い動きとなるのかが、今後の方向性を占う意味で注目されています。
気まぐれ投資コラム
ドル/円の長期サイクル分析
ドル/円は、週足ベースの長期チャートで16.5年サイクルを見ることができます。この16.5年サイクルの中には、3つの5.5年サイクルが存在し、直近では2011年11月に16.5年サイクルがボトムを付け、新たな16.5年サイクルが始まったと考えられます。そして、16.5年サイクル上の高値が、最初の5.5年サイクル内に付けられるパターンであることから、2015年6月に付けた125.86が現行の16.5年サイクルの高値であると考えられます。
そして、最初の5.5年サイクルで付けた高値を、その後上抜けないというパターンであることから、現行の16.5年サイクルの高値である125.86を今後も上抜けないと考えられます。しかし、125.86を上抜けるようなら、16.5年サイクルのトレンドが崩れると考えられます。その場合には、149.53を目指す展開も予測できます。なお、次の5.5年サイクルのボトムは2022年11月(±10ヵ月)、また、16.5年サイクルの最終ボトムは2028年5月(±6ヵ月)と予測できます。
一方、トップサイクル(16.5年サイクルの最初5.5年サイクルのトップと最後の5.5年サイクルのトップ)は、8.0年サイクルとなっており、現行の16.5年サイクル上の最初の5.5年サイクルのトップが2015年6月だったことから、最後の5.5年サイクルの高値は2023年6月(±6ヵ月)と予測できます。
?