前営業日トピックス
東京市場では、前日の海外市場の流れを引き継ぎ、小動きの展開で始まった。仲値公示にかけては実需のドル買い観測もあり、ドル/円は一時110.22まで上昇した。しかし、中国株や香港株が新型コロナウイルスの感染拡大懸念を背景に大きく下落し、これを受けて日経平均株価も下落したことでリスク回避の動きが意識され、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。その後、日銀の金融政策決定会合の結果発表では、予想通りの結果となり反応は限定的だった。
米国市場では、欧州市場の流れを引き継ぎ、ドル/円は序盤に一時110.12まで上昇した。ただ、米国債利回りが低下したことで上値の重い動きとなり、さらに中国で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の感染がワシントン州で報告されたとの報道を受けて、ドル円・クロス円は軟調な動きとなり、ドル/円は109.76まで下落。一方、指標結果を好感して122.37まで上昇していたユーロ/円も121.73まで大きく下落した。
米株株式市場では、ダウ平均株価が序盤から軟調な動きとなり、終盤には一時前週末比201ドル安まで下落した。その後はやや下げ幅を縮小して152ドル安で終了し、6営業日ぶりに反落となった。一方、ハイテク株中心のナスダックは序盤から軟調な動きとなったものの、その後はプラス圏まで上昇して取引時間中の最高値を更新する場面もあった。しかし、終盤にかけて再び下落となり、18ポイント安で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)米国市場の休場で小動きとなった前日の海外市場の流れを引き継ぎ、東京市場でも小動きの展開で始まった。仲値公示にかけて本邦輸入勢のドル買い・円売り観測から、ドル/円は一時110.22まで上昇した。しかし、新型コロナウイルスによるの感染拡大懸念を背景に、中国株や香港株が下落して始まり、下げ幅を拡大したことを受けて、日経平均株価も下げ幅を拡大したことから、リスク回避の動きが意識され、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、米10年債利回りが1.823%から1.781%まで下落したことも加わり、ドル/円は109.90まで下落した。
(2)下げ一服後は、やや値を戻した。日銀金融政策決定会合の結果発表では、政策金利の据え置きを決定、フォワードガイダンス、資産買い入れ額を現状維持とするなど、予想通りの結果だったことから、マーケットの反応は限定的だった。その後、トランプ米大統領がダボス会議の講演で、米景気は好調との見方を示したことを受けて、ドルは底固い動きとなった。一方、1月のドイツZEW景気期待指数が市場予想を大幅に上回る結果となり、2015年7月以来の高水準となったことを好感して、ユーロ/円は121.88から122.37まで上昇した。さらに、9-11月の英雇用統計で失業率が40年ぶり低水準を維持し、さらに就業者数が18年11月-19年1月までの3ヵ月以来の大幅増となったことが好感され、ポンド/円は142.90から143.97まで上昇した。ドルは、ユーロやポンドに対して下落したものの、対円では底固い動きが続き、110.12まで上昇した。
(3)米10年債利回りが1.807%から1.763%まで低下し、12/3以来の低水準となったことに加え、中国で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の感染がワシントン州で報告されたと米疾病対策センター(CDC)が発表するとの報道を受けて、リスク回避の動きが強まり、比較的安全な通貨とされる円やスイスが買われた。ドル円・クロス円は軟調な動きとなり、ドル/円は109.76まで下落、一方指標結果を好感して上昇していたユーロ/円は121.73まで、ポンド/円も143.19まで下落した。
本日のトピックス
米国でも中国で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の感染が報告さらたことで、マーケットでは2002年から2003年にかけて感染が拡大したSARS(重症急性呼吸器症候群)が連想されてリスク回避の動きが広がった。週末から中国では春節に入り、中国国内や中国から海外に向けて人の動きが活発になることから、新型コロナウイルス感染拡大の可能性が懸念されており、新たな国や地域での感染例などの報道には敏感に反応する可能性も考えられることから注意も必要だろう。
昨日のダボス会議でのトランプ大統領の講演では、米国景気は見たことのないような好景気との見方を示し、ムニューシン米財務長官も今年の米成長率予想は低すぎるとの見方を示した。背景には、最高値更新が続く米主要株価指数の動きがあげられ、今後の株価の動きや米経済指標結果が堅調さを示すのか注目される。
本日の米国市場では、米中古住宅販売件数の発表が予定されており、引き続き住宅市場の堅調さが維持されると予想されており、結果が注目される。一方、カナダでは金融政策発表が予定されているが、据え置き発表でも声明などを受けてカナダ・ドルが動くケースも多いことから、結果発表時の動きに注目したい。
なお、ドル/円の昨日安値は109.764であるが、週足ベースで下値のポイントとなる一目均衡表の雲上限ラインが109.683、200週移動平均が109.679に位置していることから、ここで下支えられるのか、下向けて一段の下げとなるのか注目されている。
1/22の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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0:00 | 米国 |
12月中古住宅販売件数
中古住宅販売件数は、所有権が移転した中古住宅の販売件数であり、米国の景気動向を見る上で重要視されている経済指標の一つである。所得やローン金利の動向に影響を受けることから、ローン金利動向やローン申請件数と関係も深い。
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543万件 | 535万件 |
前回は市場予想を下回り、2019年6月以来の低水準となった。低い住宅ローン金利や良好な雇用情勢に支えられていたものの、在庫不足で販売価格の上昇が影響した模様。2018年の平均が534万件、昨年が11月まで532万件であることから、年間の平均を上回ると予想されており、3ヵ月ぶりに550万件台回復も期待されている。 |