前営業日トピックス
東京市場では、前日の海外時間でWHOが新型コロナウイルスの感染拡大はパンデミックとなったと宣言したことが影響し、ドル円・クロス円は序盤から上値の重い動きとなった。その後、トランプ米大統領が欧州からのすべての渡航を今後30日間停止すると発表したものの、大規模な経済対策への言及が乏しかったとの見方が広がり、日経平均株価と米株価先物市場で株価が下げ幅を拡大したことから、投資家のリスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。午後には、日経平均株価が下げ幅を縮小したこともあり、ドル円・クロス円も下げ幅を縮小した。その後、ドル/円は104円台まで値を戻したものの、上値の重い動きが続いた。
米国市場では、欧州通貨や新興国通貨が対ドルで売り圧力が強まったことから、ドル指数が一時ほぼ3年ぶり高水準に急伸したことで、ドルは対円でも序盤から堅調な動きとなった。ドル/円は序盤に付けた103.52から106.10まで上昇したものの、その後ダウ平均株価が一時2398ドル安まで下落し、過去最大の下げ幅となるなど、米主要株価指数が軒並み大幅に下落したことから、ドル円・クロス円も軟調な動きとなり、ドル/円は終盤に再び104円台まで下落して終了した。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から大幅下落し、前日比2000ドル超の下落となった。その後、一時下げ幅を715ドル安まで縮小したものの、終盤に再び下げ幅を拡大して2398ドル安まで下落し、安値圏のまま2352ドル安で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは750ポイント安で終了した。なお、S&P500が序盤から7%の下落となったことで、3/9に続いて「サーキット・ブレーカー」が発動され、取引は15分間停止された。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)トランプ大統領が新型コロナウイルス対策でホワイトハウスの執務室からのスピーチで、欧州からのすべての渡航を今後30日間停止するとした。一方、経済対策では目新しさに欠け、世界経済の鈍化懸念が強まるとの見方が広がった。その中で下落して始まった日経平均株価が1076円安まで下げ幅が拡大したことで、これに合わせてドル円・クロス円も軟調な動きとなった。さらに、米10年債利回りが0.842%から0.720%まで低下したことも加わり、ドル/円は序盤の高値の104.80から103.09まで下落した。
(2)午後に入り、日経平均株価が下げ幅を縮小したことや、米10年債利回りが0.818%まで上昇したこともあり、ドル/円104円台まで値を戻したものの、104円台ではやや上値の重い動きが続いた。
(3)米国市場では、世界的な株価下落を背景に、欧州通貨や新興国通貨売りが強まったことを背景に、ドル指数が一時ほぼ3年ぶり高水準に急伸となり、ドルは対円でも序盤から堅調な動きとなった。なお、S&P500が序盤から7%の下落となったことで、3/9に続いて「サーキット・ブレーカー」が発動され、取引は15分間停止された。その後、FRBの流動性供給の発表を受けて、前日比2250ドル超の大幅下落となっていたダウ平均株価が715ドル安まで下げ幅を縮小するなど、米主要株価が下げ幅を縮小する動きとなったことも加わり、ドル/円は序盤に付けた103.52から106.10まで上昇した。一方、ECBが政策金利を据え置いたことや、追加の緩和策、成長見通しの下方修正を受けて、ユーロは対ドルで大きく下落し、3/2以来の安値となった。
(4)米主要株価指数が再び下げ幅を拡大し、ダウ平均株価が一時2398ドル安まで下落し、過去最大の下げ幅となるなど、米主要株価指数が軒並み大幅下落となったことから、ドル円・クロス円は軟調な動きとなり、ドル/円は104円台まで下落して終了した。
本日のトピックス
FRBが緊急利下げを行って以降、カナダ、英国、アイスランドなどが相次ぎ利下げを実施した。ECBは一部で利下げとの見方もあったが、政策金利の据え置きと追加の緩和策を発表した。さらに、成長見通しの下方修正も発表したことで、対ドルでユーロ売りが加速した。来週、3/18にFRB、ブラジル、3/19に日銀、スイス中銀、さらに翌週3/25にニュージーランドなどの金融政策発表が予定されており、FRBの追加利下げがあるのか、日銀のマイナス金利の深堀はあるのかなどが注目されている。
現状の金融不安は、新型コロナウイルスの感染拡大による世界の景気減速懸念を背景に、世界的に株価が大きく下落したことが要因となっている。各国の金融緩和策や経済対策が発表されているが、新型コロナウイルスの感染拡大がいつ沈静化するのかが重要なポイントである。これが確認されなければ、株価の乱高下は収まらないと考えられ、為替相場も値動きの荒い展開が続くだろう。逆に、沈静化の目途が立てば、市場参加者の不安が解消され、主要株価指数の大幅な反発となる可能性も考えられることから、来るべきタイミングを逃さぬように注目したい。
米国市場では、米輸入物価指数、ミシガン大学消費者信頼感指数の発表が予定されているが、反応は限定的と考えられる。ただ、現状の消費者のマインドがどうなっているのかには注目したい。ただ、本日の東京市場では日経平均株価が一時10%超下落したことから、昨日10%以上の大幅下落となった欧州主要株価指数や、過去最大の下げ幅となったダウ平均など米主要株価指数の動きには注目したい。
3/13の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
2月輸入物価指数(前月比)
輸入物価指数は、輸入時の価格を指数化したものであり、特に、他の物価関連の指標と同様に国内のインフレ動向の先行指標の一つとして注目される経済指標。ただ、輸入時ということで、原油相場や為替相場の影響を受ける傾向にある。
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-1.0% | 0.0% |
前回は市場予想を上回ったものの、12月から横ばいとなった。自動車・同部品が伸びたものの、石油や建設資材が大幅なマイナスとなったことが影響した。今回は、4ヵ月ぶりのマイナスが予想されており、物価上昇ベースが鈍化となるのか注目される。 | ||||
23:00 | 米国 |
3月ミシガン大学消費者信頼感指数
ミシガン大消費者信頼感指数は、ミシガン大学が消費者にアンケート調査を行い、現況指数(現在)、期待指数(将来)など消費者マインドを指数化した経済指標である。速報は300人、確報は500人を対象に調査を実施し、1964年の指数を100として算出する。コンファレンス・ボード(CB)が発表する消費者信頼感指数と共に消費者マインドを見る上で重要な経済指標である。
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95.0 | 101.0 |
前回は市場予想を上回り、速報値から0.1ポイント上昇して2018年3月以来の高水準となった。先行きの景況感は速報値から低下したものの、1月からは上昇したことや、現在の景況感が上昇したことなどが押し上げ要因となった。今回は低下が予想されており、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う株価の下落などが消費者のマインドを引き下げていると考えられる。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート
週足ベースのユーロ/円は、一目均衡表の雲下限ラインで上値が抑えられる展開が続いた後に一段の下げとなっています。一方、オシレーターのMACDでは、ゼロポイント近辺で両線がクロスして下向きに転じており、当面の軟調な展開が示唆される形状となっています。
目先の下値のポイントは、直近安値の116.134、次いで115.862と考えられ、115.862を下抜ける場合には一段の下げとなる可能性が考えられます。その場合の下値目標の計算値は115.382(さらにその下は111.233)と計算できます。一方、上値のポイントは118.384、次いで119.484が目安となります。