前営業日トピックス
東京市場では、海外市場での株高を背景に、日経平均株価が序盤から380円超の上昇となったものの、ドルは欧州通貨やオセアニア通貨に対して軟調な動きとなったことから、対円でも上値の重い動きとなった。その後、米株価先物市場でダウ先物などが値幅制限いっぱいの下落となったことなどが影響し、日経平均株価もマイナス圏に反落して下げ幅を拡大し、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、米国債利回りの低下も加わり、ドル/円は106.76まで下落した。
米国市場では、新型コロナウイルスの感染拡大が続いていることを背景に、主要株価指数が軒並み大幅下落となり、投資家のリスク回避の動きが優勢となった。その中で、逃避先としてドルが主要通貨に対して買われる動きとなり、ドル/円は一時108.65まで上昇し、2/28以来の高値を付けた。一方、欧米の株価が大幅下落したこともあり、クロス円は上値の重い動きが続いた。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から軟調な動きとなり、一時前日比2319ドル安まで下落し、19000ドルを割り込む場面もあった。しかし、引けにかけては下げ幅を縮小して1338ドル安で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは344ポイント安で終了した。なお、この日もサーキットブレーカーが発動され、取引が一時停止となる場面もあった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)海外市場の堅調な流れが一服し、ドル円・クロス円は序盤から上値の重い動きとなった。海外市場の株高を背景に、日経平均株価が序盤から堅調な動きとなり、一時385円高まで上昇したものの、ドル円・クロス円の反応は限定的だった。その後、日経平均株価が上値の重い動きとなったことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。ドルは、ユーロなどの対欧州通貨やオセアニア通貨に対してやや上値の重い動きとなったこともあり、ドルは対円でも上値の重い動きとなった。
(2)米株価先物市場でダウ平均先物、ナスダック先物、S&P500先物いずれも値幅制限いっぱいの下落となったことを受けて、日経平均株価もマイナス圏に下落する動きとなったことから、ドル円・クロス円も軟調な動きとなった。さらに、米10年債利回りが朝方の.1.040%から0.982%まで低下したことから、日米金利差縮小が意識されてドル売り・円買いとなったことも影響し、ドル/円は106.76まで下落した。日経平均株価は、終値ベースで3年4ヵ月ぶりの16000円台で終了した。安値を付けた後は買い戻しの動きも見られ、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。
(3)米国市場では、新型コロナウイルスの感染拡大が続いていることを背景に、投資家のリスク回避の動きが優勢となった。その中で、逃避先としてドルが対欧州通貨やオセアニア通貨などに対して買われ、主要通貨に対するドル指数は2017年4月以来の高水準となり、1日の上昇幅としては2016年6月以来の大きさとなった。さらに、原油価格が大幅下落となり、20ドル台前半まで下落し、2002年2月以来約18年1ヵ月ぶりの安値となり、英国に加え、カナダやノルウェーなどの通貨も対ドルで下落した。カナダ・ドルは対米ドルで2016年1月以来の安値となり、ポンドは対米ドルで1985年3月以来の安値となった。ドルは、対円でも堅調な動きとなり、ドル/円は一時108.65まで上昇し、2/28以来の高値を付けた。一方、欧米の株価が大きく下落したこともあり、クロス円は上値の重い動きが続いた。
本日のトピックス
新型コロナウイルスの感染拡大が続いており、感染者が世界全体で20万人を超えたとの報道もあり、投資家のリスク回避の動きが強まっている。そのため、昨晩の欧米の主要株価指数は軒並み大幅下落となったが、その中でドル/円は比較的堅調な動きとなっており、ドル/円は108.65まで上昇している。
リスク回避先としてドルが買われており、特にユーロやポンドなどの欧州通貨やオセアニア通貨に対して上昇している。さらに、原油価格の大幅下落を受けて、資源国通貨も対ドルで下落しており、主要通貨に対するドル指数は、2017年4月以来の高値となっており、対円でも上昇する動きとなっている。
ドル買いの背景として、リスク回避先とされていることに加え、企業などの資産の現金化(ドル)も影響している可能性がある。リスク回避先の一つとされる金価格も、3/9の高値(1700ドル台)から1400ドル台まで下落しているおり、資産売却が進んでいるとの見方もある。
本日の東京市場でも、序盤の日経平均株価が乱高下となる中で、ドル/円は堅調な動きとなっており、ドルはこのまま底固い動きが続くのか注目される。
3/19の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
3月フィラデルフィア連銀景況指数
フィラデルフィア連銀製造業景況指数は、フィラデルフィア連銀の管轄であるニュージャージー、ペンシルバニア、デラウエアの製造業の景況感などを指数化した経済指標で、最も早く公表される製造業の景況指数の一つである。製造業に関連した新規受注・雇用・在庫など、指数化された数値が発表される。数値はゼロが景況の判断の基準となる。
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10.0 | 36.7 |
前回は市場予想を大きく上回り、2017年2月以来の高水準となった。雇用者数が低下したものの、新規受注が大幅な伸びとなるなど、軒並み上昇となったことが影響した。今回は、前回の反動から大幅な低下が予想されているが、先に発表されたNY連銀指数が新型コロナウイルスの感染拡大の影響が出て大幅な低下となったこともあり、当該指標も予想以上の低下となるとの見方もあり、結果が注目される。 | ||||
23:00 | 米国 |
2月景気先行指標総合指数
米景気先行指数は、米国の民間調査機関のコンファレンスボードが発表する指標で、株価や金利、企業業績、マネー・サプライなど景気に先行して動く10種類の経済指標を指数化した経済指標。景気の方向性や転換点を判断する上で参考にされる。
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0.1% | 0.8% |
前回は、市場予想を大きく上回り、2017年10月以来の高水準となった。ISM新規受注指数が10ヵ月連続のマイナスとなったものの、マイナス幅が縮小したことや、失業保険申請が大きく改善したことが押し上げ要因となった。今回は、前回の反動で上げ幅の縮小が予想されている。 |