前営業日トピックス
東京市場では、前日の海外市場の堅調な動きを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から底固い動きとなった。その後、日経平均株価が上昇して始まったものの、午後にはマイナス圏まで下落したこともあり、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。ただ、原油価格が上昇したことを受けて、リスク回避の動きが和らぎ、ドル買い・円売りの動きが優勢となり、ドル堅調な動きとなった。
米国市場では、序盤に発表された米雇用統計が大幅な悪化となったことからドルはやや軟調な動きとなった。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大による経済への影響が深刻化する中で、安全資産としての新興国通貨などに対してドルが買われたこともあり、ドル/円の下値は限定的だった。ドル/円は、発表直後108.26まで下落したものの、その後108.67まで反発した。ただ、米主要株価が下げ幅を拡大し、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から上値の重い動きが続き、一時前日比550ドル安まで下落した。その後はやや下げ幅を縮小し、360ドル安で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは114ポイント安で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場の堅調な流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。ドル/円は前日の高値の108.10を上抜けて108.20まで上昇した。その後、日経平均株価が上昇して始まり、一時前日比240円高まで上昇したものの、上昇一服後は上げ幅を縮小し、ドル円・クロス円も上値の重い動きとなった。
(2)午後に入り、日経平均株価がマイナス圏に下落し、下げ幅を拡大したことに加え、米株価先物も軟調な動きが続いたこともあり、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。その後、中国人民銀が中小金融機関に対する預金準備率を1%引き下げると発表したに加え、OPEC・非OPEC会合での減産合意期待を背景に原油相場の上昇を受けて、リスク回避の動きが和らぎ、ドルを買って円を売る動きが優勢となった。
(3)米国市場では、序盤に発表された米雇用統計で失業率4.4%と2017年8月以来の高水準となったことや、非農業部門雇用者数が2010年9月以来9年半ぶりの大幅マイナスとなるなど、各部門の雇用者数が大幅なマイナスとなったことを受けて、ドルはやや軟調な動きとなった。ドル/円では発表直後108.26まで下落したものの、新型コロナウイルスの感染拡大による経済への影響が深刻化する中で、安全資産としての新興国通貨などに対してドルが買われたこともあり、ドル/円でも108.67まで上昇する動きも見られた。ただ、その後は米主要株価が下げ幅を拡大したこともあり、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続き、ドル/円は終盤に一時108.19まで下落する場面もあった。
本日のトピックス
先週末に発表された米雇用統計では、雇用者数の伸びが大幅なマイナスとなるなど、新型コロナウイルスの感染拡大を背景に、米国の雇用環境が急速に悪化していることが示された。雇用統計は毎月半ば頃までの集計であり、失業保険申請件数では3月後半から急速に増加していることから、来月の雇用統計はさらに悪化するとの見通しとなっている。
その中で、ある程度悪化が予想されていたことや、米国の景気対策が労働市場を支援するとの楽観的な見方もあり、ややドルの下値は限定的となっている。さらに、クドロー国家経済会議(NEC)委員長が、景気減速は一時的で、回復は今後4-8週間内に始まる可能性との見方を示したことも、楽観的な見方を支援している。ただ、感染拡大のペースなど、状況を見極める必要があるだろう。
本日の米国市場では、主要な経済指標の発表がないことから、やや限定的な動きが予想される。ただ、依然として新型コロナウイルスの感染拡大リスクが材料視されることから、関連する報道などには注意したい。一方、6日予定のOPEC・非OPECの会合が9日に延期されたが、思惑や関連する報道などで原油価格が動くこともあり、これが他のマーケットにも影響する可能性もあることから、こちらの動向にも注目したい。