前営業日トピックス
東京市場では、前日の海外市場終盤の軟調な流れが一服し、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。日経平均株価の上昇に加え、五・十日の実需のドル買いも観測され、ドル/円は一時107.98まで上昇した。仲値公示通過後は、円買い戻しもあり、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。ただ、午後に入り日経平均株価が上げ幅を拡大したこともあり、ドル円・クロス円は底固く推移した。欧州時間には欧州主要株価指数が軟調な展開で始まったこともあり、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなる場面もあったが、その後プラス圏に値を戻したことで、底固い動きとなった。
米国市場では、序盤からドル円・クロス円は底固い動きとなり、ドル/円は一時107.70まで上昇した。しかし、米経済活動再開の動きにより、経済回復への期待感を背景に投資家のリスク選好姿勢が強まり、米主要株価指数が上昇して始まったことからドルが売られ、ドル/円は107.34まで下落した。一方、ユーロが底固い動きとなり、対ドルで5/1以来、対円で4/13以来の高値を付けたものの、英中銀総裁がマイナス金利について積極的に検討中と発言したことから、ポンドはドルや円などの主要通貨に対して下落した。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から堅調な動きとなり、一時前日比442ドル高まで上昇した。その後、上げ幅を276ドルまで縮小したものの、終盤にかけて再び上げ幅を拡大し、369ドル高(+1.52%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、190ポイント高(+2.08%)で終了し、3ヵ月ぶり高値を更新した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場終盤の上値の重い動きが一服し、ドル円・クロス円は底固い展開で始まった。日経平均株価が上昇して始まり、徐々に上げ幅を拡大したことから、ドル円・クロス円も堅調な動きとなった。さらに、実需の売買が集中する五・十日であり、実需のドル買いが観測されたことや、米国債利回りの上昇も加わり、ドル/円は一時107.98まで上昇した。
(2)ドル/円は、前日の海外市場で108円台乗せとなったものの、108円台で売りに押されて失速したことが意識され、108円台手前で上値の重い動きとなり、再び大台乗せとはならなかった。仲値通過後は、円買い戻しの動きからドル円・クロス円は上値の重い動きとなったものの、日経平均株価が午後に入り上げ幅を拡大し、前日比250円超の上昇となったこともあり、底固い動きとなった。ただ、欧州時間には欧州主要株価指数が序盤から軟調な動きとなったこともあり、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。
(3)米国市場では、米国の主要な経済指標の発表がない中、序盤のドル円・クロス円は底固い動きとなり、ドル/円は一時107.70まで上昇した。しかし、米経済活動の制限緩和を背景に、経済の回復期待が高まったことから米主要株価指数が上昇して始まり、投資家のリスク選好が意識されたことからドルが売られ、ドル/円は107.34まで下落した。その中でユーロは底固い動きとなり、対ドルで5/1以来、対円で4/13以来の高値を付けた。さらに豪ドルも対ドルで3/9以来、対円で3/5以来の高値を更新した。一方、英国の消費者物価指数が予想を下回る結果となったことに加え、英中銀総裁が「マイナス金利について積極的に検討中」と発言したことから、追加緩和の思惑が広がり、ポンドはドルや円などの主要通貨に対して下落した。なお、前回のFOMCでは、経済の下支えに向けあらゆる手段の活用にコミットすることで一致した、フォワードガイダンスをより明確にするべき、とのFOMCの議事要旨が公表されたが、マーケットの反応は限定的だった。
本日のトピックス
欧州時間には、ドイツやユーロ圏の製造業PMIの発表が予定されており、前回からの改善が予想されている。欧州各国でロックダウンの緩和が進んでいることもあり、指標改善ならば経済の回復期待が高まる可能性も考えられる。さらに、トルコ中銀や南ア中銀の金融政策発表(両中銀とも政策金利の引き下げを決定すると予想)が予定されており、結果を受けたトルコ・リラや南ア・ランドの動きにも注目したい。
米国市場では、主要な経済指標の発表が予定されているが、特に失業保険関連、フィラデルフィア連銀景況指数、製造業PMIはいずれも5月の統計発表であり、ここまで発表された5月の経済指標では、予想外の改善が見られたことで、経済指標の悪化は4月にピークアウトしたとの見方も出ており、ピークアウトを確認する意味でも5月の統計結果が注目されている。
特に、雇用関連の指標には注目が高く、新規失業保険申請件数はここまで6週連続の減少となっているが、依然として200万件を超える申請件数となっている。一方、失業保険継続受給者数は増加が続いているものの、増加幅は縮小している。仮に減少となる場合には、一時的に失業した労働者の再雇用が進んでいると判断することもできることから結果が注目される。
5/21の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数(5/16までの週)
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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240.0万件 | 298.1万件 |
前回は市場予想を上回ったものの、6週連続の減少となった。ただ、依然として大幅な申請件数が続いており、急増となってからの累計申請者数は3649万件に達している。今回は、さらに減少が予想されているが、200万件を上回る件数が予想されており、反応は限定的だろう。一方、同時に発表される継続受給者数は、前回からさらに増加が予想されている。 | ||||
21:30 | 米国 |
5月フィラデルフィア連銀景況指数
フィラデルフィア連銀製造業景況指数は、フィラデルフィア連銀の管轄であるニュージャージー、ペンシルバニア、デラウエアの製造業の景況感などを指数化した経済指標で、最も早く公表される製造業の景況指数の一つである。製造業に関連した新規受注・雇用・在庫など、指数化された数値が発表される。数値はゼロが景況の判断の基準となる。
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-40.0 | -56.6 |
前回は市場予想を大幅に下回る結果となり、過去最大の落ち込みとなった。新規受注や出荷が大幅なマイナスとなったことや、雇用者数も大きく低下したことが影響した。今回は、マイナス幅の縮小が予想されており、改善の兆候が示されるのか注目されている。 | ||||
23:00 | 米国 |
4月中古住宅販売件数
中古住宅販売件数は、所有権が移転した中古住宅の販売件数であり、米国の景気動向を見る上で重要視されている経済指標の一つである。所得やローン金利の動向に影響を受けることから、ローン金利動向やローン申請件数と関係も深い。
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430万件 | 527万件 |
前回は市場予想とほぼ一致し、2015年11月以来の大幅な減少となった。新型コロナウイルスの感染拡大が圧迫要因となっており、回復にかなりの時間を要するとの見方も強まっている。今回は、前回からさらに減少が予想されており、予想通りの結果なら、2011年9月以来の大幅なマイナスとなることから注目したい。 |