前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が下落して始まり、下げ幅を拡大したことから、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、中国株も下落するなど、アジア株全般で下落となったことから、ドル円・クロス円は一段の下げとなった。午後に入り、日経平均株価が下げ幅を拡大したものの、円買いが一服したこともあり、その後は底固い動きが続きドル円・クロス円は値を戻した。
米国市場では、序盤に発表された6月の米消費者物価指数(前月比)が2012年8月以来の高い伸びとなったことが好感され、ドル/円は一時107.44まで上昇した。その後、米主要株価指数が大幅上昇するなど、投資家のリスク選好の動きから安全資産とされる円やドルが売られ、ユーロやポンドは対ドルで上昇したことから、対円でも堅調な動きが続いた。ただ、終盤には上昇が一服し、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤からマイナス圏で推移するなど、やや上値の重い動きとなった。その後は堅調な動きが続き、終盤には一時前日比604ドル高まで上昇する場面もあり、556ドル高(+2.13%)で終了し、3営業日続伸となった。一方、ハイテク株中心のナスダックは、97ポイント高(+0.94%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場の流れを引き継ぎ、ドルは序盤から底固い動きとなった。ドル/円は序盤に107.37まで上昇したものの、新規材料に乏しい中で日経平均株価が150円超下落で始まったことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。
(2)午後に入り、日経平均株価が下げ幅を拡大し、一時前日比248円安まで下落したことや、中国株も大幅下落となったことから、投資家のリスク回避の動きも意識され、ドル円・クロス円は一段の下げとなった。ただ、明日まで開かれる日銀の金融政策決定会合の結果発表と黒田総裁の会見内容を見極めたいとのムードもあり、やや値動きは限定的だった。欧州市場では、欧州の主要株価指数が軟調な動きとなったこともあり、ユーロやポンドなどが上値の重い動きとなった。一方、ドルはユーロやポンドに対して上昇したこともあり、対円でも小幅ながら底固い動きとなった。
(3)円売りが優勢となり、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。米国市場では、序盤に発表された6月の米消費者物価指数(前月比)が2012年8月以来の高い伸びとなったことが好感され、発表直後にドル/円は一時107.44まで上昇し、4日ぶりの高値となった。
(4)新型コロナウイルスのワクチン開発を巡り、米バイオ企業が最終段階の臨床試験を始めると発表したことでワクチン開発への期待が高まり、米主要株価指数が大幅上昇するなど、投資家のリスク選好の動きから安全資産とされる円やドルが売られた。ユーロやポンドは対ドルで上昇したことも加わり、対円でも堅調な動きとなった。特に、ユーロはドルや円に対して6/10以来の高値を付けた。その後、ブレイナードFRB理事が、不確実性が高くダウンサイドのリスクが優勢との見方を示し、別の金融当局者が米失業率はさらに低下する余地があるとの見方を示したこともやや上値を圧迫する要因となった。さらに、新規感染者数が増加していたフロリダ州で、新規の感染者数が減少したものの、1日当たりの死亡者数が過去最多となったとの報道も影響し、終盤のドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。
本日のトピックス
本日は、午後に日銀の金融政策決定会合の結果発表と、黒田日銀総裁の会見が予定されている。特段政策の変更は予想されていないものの、コロナウイルスの感染拡大による経済への影響や、経済のさらなる落ち込みとなった場合の対応などに関する発言が注目される。
米国市場では、7月のニューヨーク連銀製造業景気指数、6月の鉱工業生産の発表が予定されており、ともに大幅な落ち込みからの改善が示されるのか注目されている。さらに、昨日発表されたJPモルガン・チェースの第2四半期の決算発表で、純利益が半減したものの、予想程悪化しなかったことが好感され、今後の企業決算に対する楽観的な見方が広がったことから、本日予定されているアルコアやゴールドマン・サックスの決算発表を受けたマーケットの反応に注目したい。
7/15の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
7月ニューヨーク連銀製造業景気指数
NY連銀製造業景気指数は、NY州の製造業の景況感などを指数化した経済指標である。製造業に関連した新規受注・雇用・在庫など、指数化された数値が発表される。数値はゼロが景況の判断の基準となる。
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10.0 | -0.2 |
前回は市場予想を上回る改善となったものの、製造業の拡大・縮小の判断基準となるゼロを回復できなかった。新規受注や雇用者数が4ヵ月連続のマイナスとなったことが影響した。今回は一段の改善が予想されており、4月の大幅な落ち込みからの持ち直しが示されると見られている。 | ||||
22:15 | 米国 |
6月鉱工業生産(前月比)
鉱工業生産は、鉱工業関連の生産動向を指数化したものであり、2002年を100として数値が算出され前月比で発表される。GDPに占める鉱工業部門の割合が約20%程度であることから重要な経済指標である。
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4.4% | 1.4% |
前回は予想程の上昇とはならなったものの、2017年10月以来の大幅な上昇となり、過去最大の落ち込みから改善したことが示された。製造業が上昇したものの、公益事業や鉱業はマイナスとなった。今回は、さらに大幅な上昇が予想されており、予想通りなら1959年12月以来の高い伸びとなることから、結果に注目したい。 |