米国の金融政策を決めるFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果が日本時間6/15(木)の未明に発表され、政策金利の引き上げが決まりました。また、FRBの資産を縮小していく工程表も示されました。
米FOMCの結果はおおむね市場予想の範囲内に収まったようです。6/16(金)には日銀金融政策決定会合も無風で通過となりました。外為市場で円高の流れが一服したこともあり、日経平均株価は6/2(金)に付けた年初来高値を上回り、2015年6月高値の回復が視野に入ってきたと考えられます。
<今週のココがPOINT!>
日経平均株価が年初来高値を更新 |
6/9(金)には20,013円26銭と2万円大台を維持していた日経平均株価ですが、6/12(月)から6/15(木)まで4営業日続落となり、一時19,755円34銭まで下落しました。米国で主力IT株やその組入れが多いナスダックの下落基調が続き、我が国のハイテク株や値がさ株にも売りが波及しました。FOMC(米連邦公開市場委員会)直後まで、米金利が低下し、円高・ドル安傾向が続いたことも逆風になりました。
米国の金融政策を決めるFOMCの結果は日本時間6/15(木)の未明に発表されました。米国の政策金利の上限はこれまでの1.0%から1.25%に引き上げられることが決定しました。また、この会合では資産縮小の計画とその工程表が具体的に示されました。当初は月当たり国債60億ドル、MBS(住宅ローン担保証券)40億ドルの縮小から始め、1年後には国債300億ドル、MBS200億ドル程度に縮小幅を広げるという計画です。また、利上げと資産縮小を同時に進めることも可能であることが示唆されました。
外為市場ではドル・円相場が6/14(水)には1ドル110円前後で推移していましたが、6/15(木)未明には一時108円台後半まで円高・ドル安が進みました。利上げについては市場に織り込み済みであり、外為市場は小売売上高や消費者物価など、この日発表された弱い経済指標を反映した形になりました。FOMC直後も円高・ドル安が進んだことで、日経平均株価は冒頭にご説明したように、この日まで下落が続きました。
しかしその後は、フィラデルフィアやニューヨークなど地区連銀の製造業景況指数が上振れたことなどもあり、外為市場で円高・ドル安が一服しました。それを受けて、6/16(金)の日経平均株価は5営業日ぶりに反発し、週間(6/12〜6/16)の下落幅も70円と小幅にとどまりました。この日は、日銀金融政策決定会合で9ヵ月連続の現状維持を発表しましたが、市場で目立った反応は見られませんでした。
週明けは6/19(月)、6/20(火)と日経平均株価が続伸しました。日米の金融政策を決定する会合が終了し、投資家のリスク許容度が高まる中、外為市場で円安・ドル高が進んだことが追い風になりました。日経平均株価は6/2(金)に付けた年初来高値である20,177円28銭を上回ってきました。
図1:日経平均株価(日足)〜6/2(金)の年初来高値を突破
- ※当社チャートツールをもとにSBI証券が作成。データは2017/6/20取引時間中
図2:ドル・円相場(日足)〜下落トレンド離脱?
- ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。データは2017/6/20取引時間中
図3:ナスダック総合(日足)〜下げ止まり?
- ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。データは2017/6/19(現地時間)現在
当面のタイムスケジュール〜米国の経済指標を細かくチェックする週に |
米FOMCおよび日銀金融政策決定会合の結果が発表された週は無事通過となりました。今週は特に重要なタイムスケジュールもなく、米住宅関連指標により、米経済指標の弱さが一時的なものなのか否か、そのヒントを探る週になりそうです。
表1:当面の重要なタイムスケジュール〜米国の経済指標を細かくチェックする週に
月日(曜日) |
国・地域 |
予定内容 |
ポイント |
---|---|---|---|
6/21(水) | 日本 | 日銀会合議事要旨(4/27発表分) | |
日本 | 5月訪日外客数 | 4月は前年同月比+23.9%。1〜4月は同+16.4% | |
米国 | 5月中古住宅販売件数 | コンセンサスは前月比0.5%減 | |
6/22(木) | 欧州 | EU首脳会議(〜23日) | |
米国 | 4月FHFA住宅価格指数 | コンセンサスは前月比+0.5% | |
6/23(金) | 日本 | 都議会議員選挙(7/2投票) | |
米国 | 5月新築住宅販売件数 | コンセンサスは前月比3.7%増 | |
6/25(日) | - | イスラム世界がラマダン明け | |
6/26(月) | 日本 | 日銀会合(6/16発表分)「おもな意見」 | |
独 | 6月Ifo景況感指数 | ドイツ企業7,000社にドイツ経済の現況と先行きをアンケート | |
米国 | 5月耐久財受注 | コンセンサス(輸送用機器を除く)は前月比0.3%増 | |
6/27(火) | 米国 | 4月S&P500コアロジックCS住宅価格指数 | |
米国 | 6月カンファレンスボード消費者信頼感指数 | ||
6/28(水) | 米国 | 5月中古住宅販売仮契約 | 4月は前月比0.3%減 |
6/29(木) | 日本 | 株主総会集中日 | |
米国 | 1〜3月GDP確定値 | 改定値は前期比(年率)+1.2% | |
6/30(金) | 日本 | 5月全国消費者物価指数 | 4月(生鮮食品・エネルギーを除く)は前年同月比+0% |
日本 | 5月失業率・有効求人倍率 | 4月は失業率2.8%、有効求人倍率1.48倍 | |
中国 | 6月製造業PMI |
表2:日米欧中央銀行会議の結果発表予定日
2017年 | |
---|---|
日銀金融政策決定会合 | 7/20(木)、9/21(木)、10/31(火)、12/21(木) |
FOMC(米連邦公開市場委員会) | 7/26(水)、9/20(水)、11/1(水)、12/13(水) |
ECB(欧州中銀)理事会・金融政策会合 | 7/20(木)、9/7(木)、10/26(木)、12/14(木) |
※各種報道、日米欧中銀Webサイト等をもとにSBI証券が作成。「予想」は市場コンセンサス。データは当レポート作成日現在。予定は予告なく変更される場合がありますので、あくまでもデータ作成段階のものです。なお、ECB理事会は金融政策の議論・決定を行う会合の日程のみ掲載しました。日付は現地時間を基準に記載しています。
【ココがPOINT!】2015/6/22高値20,952円の回復が視野に入ってきた!? |
最初の項で触れたように、米国の金融政策を決めるFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果が日本時間6/15(木)の未明に発表されました。米国の政策金利の上限はこれまでの1.0%から1.25%に引き上げられることが決定しました。金利市場の事前予想では、今回利上げが実施される可能性は97%でしたので、この点については市場の予想通りであったと考えられます。
市場が強い関心を抱いていた年内の利上げペースについて、FOMCメンバーの見方はほぼ変わりませんでした。メンバーは年内にあと1回、2018年も3回の利上げが可能であるとみているようです。ただ、金利先物市場から推測される年内追加利上げの確率は現在50%を下回っており、市場では追加利上げはできない可能性があると考えています。FOMCメンバーと市場の間には温度差が存在しているようです。
なお、FOMCでは資産縮小の計画とその工程表が具体的に示されました。当初は月当たり国債60億ドル、MBS(住宅ローン担保証券)40億ドルの縮小から始め、1年後には国債300億ドル、MBS200億ドル程度に縮小幅を広げるという計画です。また、利上げと資産縮小を同時に進めることも可能であることを示しています。
市場の関心は今後、米国の景気や物価の動向に移っていきそうです。景気や物価の停滞は一時的とみられていますが、発表される数字は依然弱いものが多く、期待インフレ率は低下傾向です。着実に利上げを実施したいFRBに対して市場は「現在の景気・物価で本当にできるのか」と疑問を抱いており、温度差は小さくないとみられます。
ただ、イエレン議長の任期満了を2018年2月に控え、バランスシートの健全化に一歩踏み出しておきたいというFRBの意思は意外に強いように思われます。また、物価目標の考え方自体にも、世界的に変化が生じ始めていることは注目材料で、今後は市場の想定以上に早く金融引き締めが進む可能性もありそうです。
前項でご説明したように、当面は重要なタイムスケジュールが予定されていないこともあり、その面では投資家がリスクを取りやすい局面になってきたと考えられます。図4はドル・円相場の一目均衡表ですが、赤丸で示した水準を超えて円安・ドル高になってくると、日々線がクモの上に抜けてくるなど、チャート上の形も改善してくるとみられます。日経平均株価(図5)は2万円大台固めから2015/6/22高値20,952円の回復が視野に入ってきたと考えられます。
図4:ドル・円相場(日足)・一目均衡表〜ムードが好転する一歩手前?
図5:日経平均株価(週足)〜2015年6月の高値20,952円が視野に?
- ※図4、図5は当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。データは2017/6/20取引時間中
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