日経平均株価は当面の安値を付けたとみられるものの、上値も重い状態になっていると考えられます。チャート的に底値圏離脱が確認できるようになるためには、日経平均株価が2/27(火)高値22,502円05銭を上回ることが重要であると考えられます。
しかし、現在の日経平均株価はまさに、上昇加速の前夜であり、日経平均株価は上記の上値節目を突破して上昇する可能性が大きいと「225の『ココがPOINT!』では考えています。
落ち着きを取り戻すも、上値は重い |
日経平均株価(図1)は好調な景気・企業業績に加え、米国で大型減税を含む税制改革が成立したことを背景に、1/23(火)にはおおよそ26年2ヵ月ぶりに2万4千円台を回復し、終値は24,124円15銭となりました。しかし、その後は下落に転じ、2/14(水)の取引時間中には20,950円15銭、3/5(月)には20,937円26銭の安値を付けました。形状的にはおおむね「W底」を形成したような状態になっています。
日経平均株価が「W底」を付けにいった理由は、
(1)米長期金利の急上昇(昨年末の2.409%から一時2.957%まで上昇)
(2)米国株式市場の下落(NYダウは一時12.2%下落)
(3)円高・ドル安の進展(米ドルは対円で一時6.6%下落)
(4)トランプ米大統領が鉄鋼・アルミに輸入関税を課すことを決定
等であると考えられます。ただ、(1)については2/21(水)の2.957%をピークに足元は落ち着きを取り戻し始めています。また、(2)についても、図2にあるように、米国株式市場は反発局面に入り、ナスダック指数は過去最高値を更新する展開になっています。さらに(4)については、当面カナダ・メキシコなどは除外され、日本を含む同盟国についても交渉の余地が残されており、市場における貿易戦争への不安は一時に比べ、後退していると考えられます。
なお、3/6(火)には韓国大統領府が北朝鮮との南北会談開催で合意したことが明らかになり、その後米朝首脳会議の可能性も膨らんでいます。北朝鮮リスクは当面、大きく後退していると考えられます。
さらに(3)についても、一時1ドル105円台前半まで円高・ドル安が進んだことを考えれば、現在の動きは落ち着きを取り戻したと見受けられます。しかし、図3をみてもお分かりいただける通り、円高・ドル安トレンドから脱出したとは言い切れない形であり、森友問題で再燃している政治不安と合わせ、株価の上値を押さえる要因になっていると考えられます。
これらから、日経平均株価は当面の安値を付けたとみられるものの、上値も重い状態になっていると考えられます。チャート的に底値圏離脱が確認できるようになるためには、日経平均株価が2/27(火)高値22,502円05銭を上回ることが重要であると考えられます。
図1:日経平均株価(日足)〜落ち着きを取り戻すも、上値は重い
- ※当社チャートツールをもとにSBI証券が作成。データは2018/03/13取引時間中
図2:NYダウ(日足)
- ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。データは米国時間2018/03/12現在
図3:ドル・円相場(日足)
- ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。データは2018/03/13取引時間中
当面のタイムスケジュール〜米中で各種経済指標の発表を予定 |
米雇用統計の発表や、東京株式市場のメジャーSQという重要日程を3/9(金)に通過し、3/12(月)〜3/16(金)の週はそれに比べると重要日程が少なくなっていると考えられます。このため、投資家はリスクを取りやすくなっているとみられますが、森友学園問題で出鼻をくじかれた形になっています。
次週はFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果発表が予定されています。パウエル新・FRB議長にとって初のFOMCであり、その分注目される所ですが、市場が予想する利上げ確率は96.4%に達しており、サプライズは生じにくいかもしれません。ただ、「FRBによる2018年の利上げは計4回」との見方については、その確率は23.6%にとどまっています。むしろ、計3回となる確率は39.0%あり、まだまだ見方は分かれていると考えられます。このため、市場の関心はパウエル議長の軸足は、年3回と年4回のどちらにあるのか、確認することにあると思われます。
表1:当面の重要なタイムスケジュール〜米中で各種経済指標の発表を予定
月日 |
国・地域 |
予定内容 |
ポイント |
---|---|---|---|
3/13(火) | 米国 | 2月消費者物価指数 | コンセンサス(食品・エネルギー除く)は前年同月比+1.8% |
米国 | 下院議員補欠選挙(ペンシルバニア州) | ||
3/14(水) | 日本 | 1月機械受注 | コンセンサス(コア)は前月比+5.2% |
中国 | 2月小売売上高 | コンセンサス(年初来)は前年同月比10.0%増 | |
中国 | 2月鉱工業生産 | コンセンサス(年初来)は前年同月比6.2%増 | |
中国 | 2月都市部固定資産投資 | コンセンサス(年初来)は前年同月比7.0%増 | |
米国 | 2月小売売上高 | コンセンサス前月比0.3%増 | |
3/15(木) | 日本 | 2月首都圏マンション発売 | |
米国 | 3月フィラデルフィア連銀製造業景況指数 | コンセンサスは23.0 | |
3/16(金) | 米国 | 2月住宅着工件数 | コンセンサスは前月比-2.9%減 |
米国 | 2月鉱工業生産 | コンセンサスは前月比+0.3% | |
米国 | 3月ミシガン大学消費者マインド指数 | 期待指数(2月)は90.0 | |
3/18(日) | ロシア | 大統領選挙 | |
3/19(月) | 日本 | 2月貿易収支 | 1月の輸出は前年同月比12.3% |
日本 | 日銀金融政策決定会合「おもな意見」 | ||
- | G20財務大臣・中銀総裁会議(アルゼンチン) | ||
3/20(火) | 日本 | 2月訪日外客数 | |
ドイツ | 3月ZEW景気期待指数 | 350人の市場関係者等に6ヵ月後の景況感をアンケート | |
3/21(水) | 日本 | ◎東京市場は休場(春分の日) | |
米国 | 2月中古住宅販売件数 | コンセンサス(前月比)は+0.7% | |
3/22(木) | 米国 | FOMC結果発表(米国時間3/21) | 政策金利引き上げの確率は96.4% |
米国 | FHFA住宅価格指数 | ||
ドイツ | 3月IFO景況感指数 | 約7千社のドイツ企業に6ヵ月後の景況感をアンケート | |
3/23(金) | 日本 | 2月全国消費者物価指数 | 1月(生鮮食品を除く)は前年同月比+0.9% |
米国 | 2月新築住宅販売件数 | コンセンサス(前月比)は3.7% |
表2:日米欧中央銀行会議の結果発表予定日(月日は現地時間)
2018年 | |
---|---|
日銀金融政策決定会合 | 3/9(金)、4/27(金)、6/15(金)、7/31(火)、9/19(水)、10/31(水)、12/20(木) |
FOMC(米連邦公開市場委員会) | 3/21(水)、5/2(水)、6/13(水)、8/1(水)、9/26(水)、11/8(木)、12/19(水) |
ECB(欧州中銀)理事会・金融政策会合 | 3/8(木)、4/26(木)、6/14(木)、7/26(木)、9/13(木)、10/25(木)、12/13(木) |
- ※各種報道、日米欧中銀Webサイト等をもとにSBI証券が作成。「予想」は市場コンセンサス。データは当レポート作成日現在。予定は予告なく変更される場合がありますので、あくまでもデータ作成段階のものです。なお、ECB理事会は金融政策の議論・決定を行う会合の日程のみ掲載しました。日付は日本時間(ただし、表2の中央銀行会議の結果発表日程は現地時間)を基準に記載しています。
【ココがPOINT!】日経平均株価は上昇加速前夜か? |
最初の項でご説明したように、日経平均株価は当面の安値を付けたとみられるものの、上値も重い状態になっていると考えられます。チャート的に底値圏離脱が確認できるようになるためには、日経平均株価が2/27(火)高値22,502円05銭を上回ることが重要であると考えられます。
しかし、現在の日経平均株価はまさに、上昇加速の前夜であり、日経平均株価は上記の上値節目を突破して上昇する可能性が大きいと「225の『ココがPOINT!』では考えています。
理由のひとつめは、企業業績が好調であるにもかかわらず、株価の上昇が不十分であると考えられるためです。日経平均株価の予想EPS(一株利益)は先週末に史上初めて1,700円台に乗せ、3/12(月)現在は1,701円と過去最高水準になっています。一方、予想PERは12.8倍で依然、「アベノミクス相場」で最低に近い水準となっています。
もうひとつの理由は需給の改善です。下の図4は先物取引に絡む裁定取引買い残高と日経平均株価を比べたものです。裁定取引の買い残高は1.28兆円台まで縮小していますが、この水準では日経平均株価は当面のボトム圏になっていることが多いように思われます。
一般的に、裁定取引買い残高はSQ近辺で底を打ち、その後膨らみやすい傾向にあります。ちなみに、裁定取引買い残高は昨年末に3.2兆円ありましたが、これが解消する形で株価は波乱となりました。しかし、メジャーSQを通過したことで、波乱のリスクは大きく後退したと考えられます。
株価は考え様によっては、上昇のためのエネルギーを蓄えているのかもしれません。
図4:日経平均株価(右軸)と裁定取引買い残高(左軸・百万円)(週足)
- BloombergデータをもとにSBI証券が作成
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