先週の225先物は前週末比240円安(下落率1.42%)の16550円と6週連続して下落した。米国時間の15日、日本時間の16日早朝に米連邦準備制度理事会(FRB)が緊急利下げなどを実施し、日銀も日程を前倒しして金融政策決定会合を開催。上場投資信託(ETF)の買い入れ枠の拡充などが決まったが、米国の利下げを受けた時間外での米株先物が値を消したことから、225先物の上昇も小幅なものに留まった。
日米の金融緩和がかえって市場の不安心理を増幅させたことに加え、東京市場ではソフトバンクG<9984>など指数寄与度の高い銘柄が下落したため、225先物にもリスク回避の売りが膨らんだ。
3月13日時点の裁定残高は、ネットベースで1兆5076億円の売り越し(前週は8862億円の売り越し)と増加した。株数ベースでは、7億7722万株の売り越しで、3月6日時点(4億1677万株の売り越し)から増加している。
日経平均と裁定残(3月13日時点)
海外勢の売り越し基調続く
225先物の手口では、メリル、モルガンS、GS、UBS、JPモルガンなどの海外勢の売りが目立った。海外ヘッジファンドなど投機筋の売り注文とみられる。一方で、買い手口では、AアムロC、ソジェンの裁定取引業者の買い戻しが目立った。また、TOPIX先物の手口では、ソジェンやJPモルガン、GSなどの海外勢による売りが上位を占めた一方、買い手口では、17日に7000枚超買い越した野村が買い方筆頭になった。日銀による上場投資信託(ETF)買いの注文を執行したと観測されている。また、メリルやUBSの海外勢もこれに続いた。
日経225先物手口(期近) 週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
TOPIX先物手口(期近) 週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は前週末比7.35pt高(上昇率14.38%)の58.45ptと2週連続の上昇となった。新型コロナウイルスへの感染拡大への警戒感から世界の金融市場の動揺が続いていることから、VIは上昇基調をたどり、週初の16日には一時60pt台を突破。なお、60pt超えは東日本大震災のあった2011年3月以来約9年ぶりとなる。一方、日米ともに追加の金融緩和策を発表し、VIは一時53pt台まで低下する場面もみられた。しかし、世界的な株安の流れに歯止めがかかっていないほか、新型コロナの感染拡大による世界的な景況感の悪化など市場の先行き懸念は拭えていないだけに、VIは週末にかけて再び上げに転じた。
ボラティリティ
NT倍率(先物)は低下、急速に水準を切り下げる
NT倍率(先物)は低下。年金基金による日本株買いや日本銀行による上場投資信託(ETF)買い入れへの思惑等から急速に水準を切り下げて推移した。週末19日には日経平均への寄与度が高いソフトバンクG<9984>が17%下落し、NT倍率(先物)は12.81倍と2018年8月以来、約1年7カ月ぶりの水準に低下した。
今週の225先物は、新型コロナウイルスへの根強い警戒感を背景に不安定な値動きを続けそうだ。前週末の米国市場では、新型コロナの感染拡大による景気悪化が懸念され、NYダウは900ドル超下げた。トランプ米大統領が新型コロナ対策として、カナダに続きメキシコとの国境でも不要不急の往来を禁じると表明したことで米景気減速への懸念が一段と高まっているほか、原油価格が再び急落したことも投資家のセンチメントを悪化させそうである。
市場では「原油価格の大幅な下落による財政悪化を穴埋めするため、中東のオイルマネーからの実需売りが警戒される」との声も聞かれるほか、国内外のファンドによる年度末を意識したキャッシュ化の動きも継続すると想定され、今週も不安定な動きが続きそうだ。また、今週は欧米で製造業・非製造業の購買担当者景気指数(PMI)が発表されるなど、注目指標の発表が多い。景況感の大幅な悪化が鮮明になれば、投資マインドが一段と悪化しかねず、再び下値を探る可能性もありそうだ。予想レンジは、15750-18000円とする。
経済スケジュール(3月23日〜3月29日)
日付 |
曜日 |
国内 海外 |
時間 |
内容 |
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3月23日 |
月 |
国内 |
10:10 |
国債買い入れオペ(残存10-25年、残存25年超)(日本銀行) |
16:00 |
コンビニエンスストア売上高(2月) |
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ヤマエ久野が東証1部に重複上場(公募・売出価格:1314円) |
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海外 |
20:00 |
ブ・FGV消費者物価指数(IPC-S)(3月22日まで) |
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24:00 |
欧・ユーロ圏消費者信頼感指数(3月) |
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3月24日 |
火 |
国内 |
09:30 |
製造業PMI(3月) |
09:30 |
サービス業PMI(3月) |
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09:30 |
総合PMI(3月) |
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14:00 |
景気先行CI指数(1月) |
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14:00 |
景気一致指数(1月) |
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14:00 |
スーパーマーケット売上高(2月) |
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14:30 |
全国百貨店売上高(2月) |
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14:30 |
東京地区百貨店売上高(2月) |
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15:00 |
工作機械受注(2月) |
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リバーホールディングスが東証2部に新規上場(公開価格:960円) |
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海外 |
17:30 |
独・製造業PMI(3月) |
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17:30 |
独・サービス業PMI(3月) |
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17:30 |
独・総合PMI(3月) |
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18:00 |
欧・ユーロ圏製造業PMI(3月) |
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18:00 |
欧・ユーロ圏サービス業PMI(3月) |
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18:00 |
欧・ユーロ圏総合PMI(3月) |
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18:30 |
英・製造業PMI(3月) |
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18:30 |
英・サービス業PMI(3月) |
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18:30 |
英・総合PMI(3月) |
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22:45 |
米・製造業PMI(3月) |
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22:45 |
米・サービス業PMI(3月) |
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22:45 |
米・総合PMI(3月) |
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23:00 |
米・新築住宅販売件数(2月) |
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決算発表 ナイキ |
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3月25日 |
水 |
国内 |
08:50 |
日銀金融政策決定会合における主な意見(3月16日分) |
10:00 |
ジャパンディスプレイが臨時株主総会を開催 |
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13:00 |
アサヒGHが定時株主総会を開催 |
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ヴィスが東証マザーズに新規上場(公開価格:820円) |
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海外 |
06:45 |
NZ・貿易収支(2月) |
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16:05 |
タイ・中央銀行が政策金利発表 |
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18:30 |
英・消費者物価コア指数(2月) |
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18:30 |
英・生産者物価産出コア指数(2月) |
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21:00 |
ブ・IBGEインフレ率IPCA−15(3月) |
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21:30 |
米・耐久財受注(2月) |
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21:30 |
ブ・経常収支(2月) |
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22:00 |
米・FHFA住宅価格指数(1月) |
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決算発表 マイクロン |
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3月26日 |
木 |
国内 |
08:50 |
対外・対内証券投資(先週) |
08:50 |
企業向けサービス価格指数(2月) |
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アディッシュが東証マザーズに新規上場(公開価格:1230円) |
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サイバーセキュリティクラウドが東証マザーズに新規上場(公開価格:4500円) |
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海外 |
18:00 |
欧・ユーロ圏マネーサプライ(2月) |
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18:30 |
英・小売売上高指数(2月) |
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21:00 |
英・イングランド銀行(英中央銀行)が政策金利発表 |
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21:30 |
米・新規失業保険申請件数(先週) |
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21:30 |
米・GDP確報値(10-12月) |
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21:30 |
米・卸売在庫(2月) |
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欧・ECB経済報告 |
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3月27日 |
金 |
国内 |
08:30 |
東京CPI(3月) |
10:00 |
東芝機械が臨時株主総会を開催 |
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10:00 |
キリンHDが定時株主総会を開催 |
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10:10 |
国債買い入れオペ(残存1-3年、残存3-5年、残存5-10年)(日本銀行) |
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海外 |
10:30 |
中・工業利益(2月) |
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21:00 |
ブ・PPI製造業(2月) |
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21:30 |
米・個人所得(2月) |
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21:30 |
米・個人消費支出(2月) |
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21:30 |
米・個人消費支出(PCE)価格コア指数(2月) |
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23:00 |
米・ミシガン大学消費者マインド指数(3月) |
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3月29日 |
日 |
海外 |
欧・夏時間開始 |
- 提供:フィスコ社