先週の225先物は前週末終値比1,520円高(上昇率5.50%)の29,160円と急伸した。米経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」は、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が利上げには慎重な従来姿勢を維持しハト派的な内容で終わった。これを相場は好感し、週明けの225先物は100円高と堅調だった。
翌31日は月末株安アノマリーが意識された中ではあったが、菅首相と二階幹事長による会談などの報道を受けて政策期待が高まったほか、実需筋による買いが入ったとの観測から、午後から上値を伸ばす展開となった。225先物は440円高の28,180円と大幅高で12カ月ぶりにアノマリーの打破に成功した。その後も、「9月中旬にも衆院解散」など政局を巡る相次ぐ報道を受けて政策期待が一層高まり、総選挙時期の株高経験則への期待も相まって株価の上昇基調は継続した。
週末には、昼頃に菅首相が自民党総裁選に不出馬との報道が伝わると、衆院選での与党敗北の懸念後退や新首相による政策期待などから、海外短期筋が飛びつく形で225先物は急騰する展開に。
8月27日時点の裁定残高は、ネットベースで3,886億円の買い越し(前週は2,177億円の買い越し)と増加した。株数ベースでは、1億5,477万株の買い越しで、8月20日時点(7,528万株の買い越し)から増加している。
日経平均と裁定残(8月27日時点)
国内政治への期待から海外勢買い越し強める
国内の政局流動化で日本の政治への期待が高まり、政策への思惑も高まるなか、海外勢が両先物で買い越しの動きを強めた。週後半は翌週のメジャーSQに向けたロールオーバーが中心だったものの、225先物ではJPモルガンやGS、TOPIX先物ではモルガンS、CS、GS、JPモルガン、BofA証券などの買い越しが目立った。
日経225先物手口(期近) 週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
TOPIX先物手口(期近) 週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は前週末終値比0.83pt高(上昇率4.49%)の19.29ptと上昇した。株式市場では、政局を巡る相次ぐ報道を受けて、自民党の支持率回復や大胆な追加経済対策への期待から、海外勢による買い戻しが一気に入った。
しかし、225先物は連日の上昇、5日続伸で週間では1,520円高と上昇ペースがあまりに速く、目先の反動安など警戒感を抱く向きもいるようだ。こうした心理を映して、日経平均VIは週半ばからは上昇傾向に転じた。
ボラティリティ
NT倍率(先物)は上昇、海外勢の買い戻し活発化で日経平均先物急騰
NT倍率(先物)は上昇。8月31日、225先物は月末株安アノマリーが意識された中ではあったが、国内政治を巡る報道で政策期待が高まったほか、実需筋による買いが入ったとの観測から、午後から売り方の買い戻しが集中。上値追いの展開となり、12カ月ぶりにアノマリーを打破した。
これで勢いづいた225先物は、政局流動化に伴う政策期待のほか、国内の新型コロナウイルス新規感染者数にピークアウトが見られていたこともあり、海外勢の買い戻しが急速に進展。週末には菅首相が自民党総裁選不出馬と伝わると新首相への期待から急騰し、一気に29,000円を突破。現物株市場でも値がさ株の上昇が目立つなど、225先物への買い戻しが強まり、NT倍率は上昇傾向に転じた。
今週の225先物は上値を試す展開か。急ピッチでの上昇に対して困惑する声も聞かれるが、今の株高基調は当面は維持されるとみる。もともと史上最高値更新を続ける米国株などに対して日本株だけ出遅れ感が著しかった。主力企業の4-6月期決算は好調で通期計画の上方修正も例年に比して多かった。アナリストの業績上方修正も増え、今期予想EPSが上昇傾向を辿る一方、予想PERは低下傾向が続いていた。
しかし、こうした背景として度々挙げられていた日本の新型コロナウイルス感染拡大やワクチン接種の遅れも揃って解消に向かってきている。新規感染者数は依然として多いものの、8月半ばからのピークアウトが確認されているほか、ワクチン接種は欧米に勝るスピードで追い上げてきている。日本株のバリュエーションディスカウントの要因が解消されてきたのであれば、株価の水準訂正はごく自然なことだろう。
さらに、そこに政局変化に伴う政策期待や総選挙時期の株高アノマリーも相まって一気に売り方の買い戻しが入った格好だ。それでも年間では海外勢はまだまだ大量に先物売り越し状態で、買い戻し余地は十分にある。また、商品投資顧問(CTA)などは一度持ち高を傾けると簡単には元に戻さない。加えて、急ピッチでの上昇に乗り遅れた投資家も多いだろう。下がった際の押し目買い意欲は強く、底堅く上を試す展開となりそうだ。今週の225先物予想レンジは28,800-29,900円とする。
経済スケジュール(9月6日〜9月12日)
日付 |
曜日 |
国内 海外 |
時間 |
内容 |
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9月6日 | 月 | 国内 | 13:00 | 平野英治年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)前経営委員長が年金積立金に関するシンポジウムに参加 |
海外 | 27:00 | ブ・貿易収支(先週) | ||
独・製造業受注(7月) | ||||
米・株式市場は祝日のため休場(レーバーデー) | ||||
米・失業保険の上乗せ給付期限切れ | ||||
欧・非公式欧州連合(欧)財務相会合 | ||||
伊・G20保健相会合(5-6日) | ||||
独・国際モーターショー「IAAモビリティー」のプレスデー(7日まで、一般公開は7-12日) | ||||
9月7日 | 火 | 国内 | 08:30 | 毎月勤労統計-現金給与総額(7月) |
08:30 | 家計支出(7月) | |||
08:30 | 実質賃金総額(7月) | |||
14:00 | 景気一致指数(7月) | |||
14:00 | 景気先行CI指数(7月) | |||
海外 | 13:30 | 豪・オーストラリア準備銀行(中央銀行)が政策金利発表 | ||
14:45 | スイス・失業率(8月) | |||
15:00 | 独・鉱工業生産指数(7月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏GDP確定値(4-6月) | |||
18:00 | 独・ZEW期待指数(9月) | |||
18:30 | 南ア・GDP(4-6月) | |||
中・外貨準備高(8月) | ||||
中・貿易収支(8月) | ||||
エルサルバドル・ビットコイン法施行 | ||||
9月8日 | 水 | 国内 | 08:50 | GDP改定値(4-6月) |
08:50 | GDP民間企業設備(4-6月) | |||
08:50 | GDP民間消費支出(4-6月) | |||
08:50 | GDPデフレーター(4-6月) | |||
08:50 | 国際収支(経常収支)(7月) | |||
08:50 | BOP経常収支調整(7月) | |||
08:50 | 貿易収支(国際収支ベース)(7月) | |||
08:50 | 銀行貸出動向(含信金前年比)(8月) | |||
08:50 | 貸出動向 銀行計(8月) | |||
10:10 | 国債買い入れオペ(残存1-3年、残存5-10年)(日本銀行) | |||
13:30 | 倒産件数(8月) | |||
14:00 | 景気ウォッチャー調査 現状判断(8月) | |||
14:00 | 景気ウォッチャー調査 先行き判断(8月) | |||
海外 | 20:00 | ブ・FGV消費者物価指数(IPC-S)(9月7日まで1カ月) | ||
20:00 | ブ・FGVインフレ率(IGP-DI)(8月) | |||
23:00 | 加・カナダ銀行(中央銀行)が政策金利発表 | |||
23:00 | 米・JOLT求人件数(7月) | |||
28:00 | 米・消費者信用残高(7月) | |||
ポーランド・国立銀行(中央銀行)が政策金利発表 | ||||
米・ニューヨーク連銀総裁が講演 | ||||
米・ダラス連銀総裁がタウンホール会議開催 | ||||
米・地区連銀経済報告(ベージュブック)公表 | ||||
米・議会の米中経済安全保障調査委員会(USCC)公聴会 | ||||
決算発表 ゲームストップ | ||||
9月9日 | 木 | 国内 | 08:50 | 対外・対内証券投資(先週) |
08:50 | マネーストック(8月) | |||
11:00 | 東京オフィス空室率(8月) | |||
15:00 | 工作機械受注(8月) | |||
決算発表 積水ハウス | ||||
海外 | 10:30 | 中・消費者物価指数(8月) | ||
10:30 | 中・生産者物価指数(8月) | |||
15:00 | 独・貿易収支(7月) | |||
15:00 | 独・経常収支(7月) | |||
16:00 | マレーシア・中央銀行が政策金利発表 | |||
20:45 | 欧・欧州中央銀行(ECB)が政策金利発表、ラガルド総裁が記者会見 | |||
21:00 | ブ・拡大消費者物価指数(IPCA)(8月) | |||
21:30 | 米・新規失業保険申請件数(先週) | |||
中・資金調達総額(8月、15日までに) | ||||
中・マネーサプライ(8月、15日までに) | ||||
中・元建て新規貸出残高(8月、15日までに) | ||||
米・地区連銀(ニューヨーク、ダラス、ミネアポリス、ボストン)総裁が人種差別関連イベントで講演 | ||||
米・サンフランシスコ連銀総裁がブルッキングズ研究所主催のパネル討論会に参加 | ||||
北朝鮮・建国記念日 | ||||
9月10日 | 金 | 海外 | 15:00 | 独・CPI(8月) |
15:00 | 英・GDP(7月) | |||
15:00 | 英・鉱工業生産指数(7月) | |||
15:00 | 英・商品貿易収支(7月) | |||
19:30 | 露・ロシア連邦中央銀行(中央銀行)が政策金利発表 | |||
21:00 | 印・鉱工業生産(7月) | |||
21:00 | ブ・小売売上高(7月) | |||
21:30 | 米・生産者物価コア指数(8月) | |||
21:30 | 加・失業率(8月) | |||
23:00 | 米・卸売在庫(7月) | |||
25:00 | 露・GDP(4-6月) | |||
米・クリーブランド連銀総裁が講演 | ||||
欧・ユーロ圏財務相会合 | ||||
欧・非公式欧財務相会合(11日まで) | ||||
9月11日 | 土 | 海外 | 米・同時多発テロから20年 | |
9月12日 | 日 | 国内 | 東京など21都道府県に発令中の緊急事態宣言の期限 |
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