早いもので、6月のワールドカップ開幕まであと1ヶ月になりました!日本代表メンバーも5月12日には発表され、これから一気にワールドカップムードが高まってくることでしょう。地球の裏側での開催で、ほぼ全ての試合が深夜か早朝の放送になってしまうため、寝不足の方が大量生産されることは間違いないものと思われます。
さてそれはともかく、投資の世界でも、ブラジルがにわかに脚光を集め始めているのです!
いよいよブラジルの逆襲か!?
資源が支えた2000年代の経済成長
ブラジルの産業と言えば、まず資源を思い浮かべる方が多いでしょう。ヴァーレは鉄鉱石の産出において世界3大メジャーの一つとして知られていますし、中南米で第2位の石油産出量を誇るブラジルの約9割はペトロレオ ブラジレイロ(ペトロブラス)が手掛けています。最近ではリブラ油田(ブラジル最大規模の海底油田)の大規模な開発計画も発表され、2035年には世界第6位の石油産出国に躍り出ると見られています。また、これら以外では農作物の生産もさかんで、特にコーヒー豆やさとうきびは世界最大の生産量です。
図2
(BloombergデータよりSBI証券作成)
図2は、ブラジルの実質GDP(前年比)と、米国の商品先物取引価格から算出されたCRB指数(前年比)を比較したものです。これを見ると、(1)ブラジルのGDP成長率は商品価格との連動性が高いこと、そして(2)ここ数年のGDP成長率が優れないのは商品価格の低迷が背景にあること、がわかります。このことは、図3と4をご覧頂くと、よりはっきりとします。
図3は、それぞれの国の輸出に占める一次産品(未加工の資源や農産物)の割合です。全ての国を比較したわけではありませんが、ブラジルの輸出が一次産品に強く依存していることをご確認頂けます。また、図4はブラジルからの主な輸出先ですが、中国に対する輸出がかなりの割合を占めることがわかります。
以上から、(1)2000年代のブラジルの成長は資源ブームに支えられていたこと、そして(2)中国の経済成長の減速に伴い資源需要が伸び悩んだことが、ここ数年のブラジルの不振の背景となっていること、がわかるでしょう。
しかし、ブラジルはいまや名目GDP世界7位の経済大国です。今後の成長ポテンシャルは計り知れないものがあります。そこで、ブラジルにおける投資の切り口を3つほどご紹介したいと思います。
資源だけじゃないぞ! ブラジル : (1)インフラの整備が今後のドライバー!
今後大きな発展が期待できる分野はインフラです。資源に過度に依存する経済から脱却するためには輸出品の付加価値を高めていくことが大切ですが、それを産み出すには社会インフラを含めた国内への投資が不可欠となります。表1はそれぞれの社会インフラの充実度ランキングですが、これを見ると、150弱の国・地域が集計対象となる中で、ブラジルは殆どの分野で100位以下の順位にとどまっており、今後の改善の余地が大きいことがわかります。
表1
道路 |
鉄道 |
港湾 |
空港 |
電力 |
|||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 |
アラブ首長国連邦 |
1 |
日本 |
1 |
オランダ |
1 |
シンガポール |
1 |
香港 |
2 |
フランス |
2 |
スイス |
2 |
シンガポール |
2 |
香港 |
2 |
スイス |
3 |
オマーン |
3 |
香港 |
3 |
香港 |
3 |
アラブ首長国連邦 |
3 |
オランダ |
4 |
ポルトガル |
4 |
フランス |
4 |
アラブ首長国連邦 |
4 |
オランダ |
4 |
オーストリア |
5 |
香港 |
5 |
スペイン |
5 |
フィンランド |
5 |
パナマ |
5 |
フィンランド |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
12 |
日本 |
19 |
インド |
30 |
日本 |
37 |
日本 |
34 |
日本 |
54 |
中国 |
20 |
中国 |
59 |
中国 |
61 |
インド |
67 |
中国 |
84 |
インド |
31 |
ロシア |
70 |
インド |
65 |
中国 |
76 |
ブラジル |
120 |
ブラジル |
103 |
ブラジル |
88 |
ロシア |
102 |
ロシア |
83 |
ロシア |
136 |
ロシア |
|
|
131 |
ブラジル |
123 |
ブラジル |
111 |
インド |
(The World Economic Forum データよりSBI証券作成)
ブラジル政府はインフラの改善を最重要施策の一つに掲げており、インフラ投資計画「成長加速プログラム(PAC)」の第1弾(07-10年)、第2弾(11-14年)に続き、まもなく第3弾が始動する見通しです。図5は、ブラジルのGDPに占める総固定資本形成(有形または無形の固定資産)の比率ですが、2022年までにこの比率を24%まで引き上げることを目指しています。
以上のように、インフラは今後中長期的な成長が期待できる分野だと考えられます。もちろん、2014年のワールドカップ、2016年のオリンピック開催もその大きな後押しとなるでしょう。
図5
(ブラジル財務省データよりSBI証券作成)
ブラジルのインフラに期待するならこのファンド!
ブラジルのインフラ成長に関連のある銘柄はこちら!
銘柄 |
コード |
株価 |
売上高(百万レアル) |
概要 |
||
---|---|---|---|---|---|---|
3期前 |
前々期 |
前期 |
||||
BAK |
14.46 |
32,497 |
36,160 |
40,969 |
ブラジルの石油化学・電力会社 |
|
GFA |
3.39 |
2,941 |
2,805 |
2,481 |
ブラジルの不動産会社 |
|
GGB |
6.15 |
35,407 |
37,982 |
39,863 |
ブラジルの製鉄会社 |
|
PBR |
13.97 |
244,176 |
281,379 |
304,890 |
ブラジルの大手石油会社 |
|
SID |
4.18 |
16,520 |
15,229 |
17,312 |
ブラジルの製鉄会社 |
|
UGP |
25.45 |
48,661 |
53,869 |
60,940 |
ブラジルの石油・ガス会社 |
|
VALE |
13.80 |
102,019 |
91,269 |
101,490 |
ブラジルの大手資源会社 |
(BloombergデータよりSBI証券作成)
資源だけじゃないぞ! ブラジル : (2)経済をけん引する民間消費!
ブラジルは消費大国です。GDPに占める消費の比率は60%と高く、経済成長を力強くけん引してきました。図6は、ブラジルの四半期ごとのGDP成長率に対する需要主体別の寄与度を示したものですが、消費がブラジルのGDPのドライバーとなっていることがわかるでしょう。リーマンショックの時、ブラジル経済はいち早く回復軌道に戻ったことで世界から高く評価されましたが、この時も堅調な民間消費が大きな役割を果たしていたことがわかります。
また、図7をご覧頂くとわかるように、ブラジルはGDPが世界第7位の経済大国でありながら、15歳以下の若年層の比率が非常に高い国です。これらをまとめると、(1)労働人口および消費人口の拡大が当分の間続くこと、(2)中間所得層の拡大が今後見込まれること、(3)上記のインフラ投資により付加価値の高い製造業の発展が所得の向上を産み出すこと、などの理由から引き続き消費の拡大が期待できるでしょう。
図6
(BloombergデータよりSBI証券作成)
図7
(BloombergデータよりSBI証券作成)
ブラジルの消費に期待するならこのファンド!
ブラジルの消費に関連のある銘柄はこちら!
銘柄 |
コード |
株価 |
売上高(百万レアル) |
概要 |
||
---|---|---|---|---|---|---|
3期前 |
前々期 |
前期 |
||||
ABEV |
7.80 |
27,127 |
32,231 |
34,791 |
ビールを中心としたブラジルの総合飲料会社 |
|
FBR |
10.62 |
5,854 |
6,174 |
6,917 |
ブラジルの製紙会社 |
(BloombergデータよりSBI証券作成)
資源だけじゃないぞ! ブラジル : (3)高い金利が絶好の投資機会を提供する!
ブラジルの魅力3つ目は「高金利」です。ブラジルの5年債利回りは12.6%と主要国間で比較したときに突出して高く、金利面での魅力は高いと言えます。
図8
(BloombergデータよりSBI証券作成)
高金利の背景には、ブラジル中央銀行のインフレ抑制を目的とした金融引き締めがあります。ブラジル中央銀行はインフレ率がインフレターゲットの上限である6.5%を上回ったことを受けて、2013年4月から利上げを実施してきました。利上げの効果もあって足元ではインフレ率はターゲット内に収まってきています。高金利下での物価の安定が実現しつつあり、債券への投資タイミングとしては魅力的なポイントに近付いていると言えます。
図9
(BloombergデータよりSBI証券作成)
(IPCAは前年同期比、網掛けはインフレターゲット)
また、為替面でも足元ブラジル・レアルは1月末から2月初旬にかけて1ドル=2.4レアルを付けた後反転し、1ドル=2.2レアル近辺で推移しています。この1ドル=2.4レアルという水準ですが、図10で示したように実はリーマンショック後の最安値近辺に当たります。それを意識してか、これまで1ドル=2.4レアルを割る水準ではブラジル政策当局は積極的な為替介入を実施してきています。引き続き1ドル=2.4レアル近辺ではブラジル中銀による追加対策が期待されるため積極的に下値を売る動きは限定的になると考えられ、為替面での買い安心感や上値余地も大きそうです。
図10
(レアル/ドル)
(逆目盛り)
(BloombergデータよりSBI証券作成)
ファンド名 |
タイプ |
基準価格 |
直近分配金 |
運用資産 |
---|---|---|---|---|
毎月分配型 |
6,794円 |
60円 |
66,035 |
|
毎月分配型 |
6,563円 |
100円 |
33,740 |
|
毎月分配型 |
8,137円 |
70円 |
23,342 |
|
毎月分配型 |
6.650円 |
135円 |
15,566 |
(注)2014年4月18日基準
SBI証券取り扱いファンドの内、ブラジル債券を主要投資対象とするファンドで純資産額が100億円以上のファンドを純資産が大きい順に掲載。
- ※上記実績は過去のものであり、将来の運用成果等を保証するものではありません。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。