NYダウはトレンドが出やすいタイミング、 日経平均は? |
NYダウは2月のVIXショックからのリバウンドをみせてきており、足元で25,000ドルを回復している。2月雇用統計の結果を受けて9日には440ドル高となったが、これにより足元で上値抵抗として意識されていた25日線を再び突破してきている。5日、25日線との短期ゴールデンクロスを示現。一目均衡表では雲下限を突破してきている。雲の中での推移で強弱感が対立しやすいが、今後雲がねじれを起こしてくるため、薄い雲を一気に突破してくる可能性がある。米雇用統計が通過し、VIX指数も低位安定のなか、市場は落ち着きをみせてくるだろう。地政学リスクについても、5月までは小康状態といったところである。さらに、ハイテク株を見直す流れによってナスダックが最高値を更新している。たとえば、ゴールドマンサックスは、人工知能(AI)ハードウェア市場は2025年までに1,000億ドルを超える規模に成長し、半導体のエヌビディアやマイクロン・テクノロジーなどが好影響を受けるとの認識を示している。また、野村証券ではマイクロン・テクノロジーのターゲットを引き上げており、引き続きハイテク株の動向が注目されることになりそうだ。また、トランプ米政権が中国からの輸入品のうち最大600億ドルに相当する製品に関税を課すことを計画していることが伝えられている。電子部品などが標的となっていると伝えられるなか、ハイテク株の動向には市場の関心が集まりやすいだろう。ハイテクが好需給に支えられる中、これが市場全体へのセンチメント改善にもつながり、NYダウへの支援材料として意識されやすい。ただし、原油相場の調整が資源株の重石となり、これがNYダウの上値を抑える可能性が意識されやすく、注意が必要。NYダウは、テクニカル面では近々にもトレンドが出やすい期間に入っていることもあり、25日線からの上放れに期待したいところである。
図1:直近1年のNYダウチャート(日足)
- ※当社WEBサイトを通じて、SBI証券が作成
一方、日経平均についてもトレンドが出やすいところに位置している。チャート上では200日線を支持線にリバウンドをみせてきており、足元では25日線を支持線に変えてきている。ただし、シェア6割を超える海外投資家の売買動向については、2月4週(2月26日-3月2日)は現物株と先物合計で9,413億円の売り越し(前週は5,147億円)となった。海外投資家の売り越しはこれで8週連続となっている。一方で個人は3,851億円の買い越し(同771億円の買い越し)だった。海外投資家の需給状況に変化が見られないと、本格的なリバウンドへの期待感も高まりづらいだろう。また、25日線を回復しているが、あくまでも調整トレンドの上限レベルに位置している。この水準を突破し、2月下旬の戻り高値水準をクリアしてこないと、シグナルは好転しない。3月は期末要因から貸株の買い戻しといった需給の下支え等があるが、森友スキャンダルの影響が読みづらいところである。5月に入ると、MSCIによるリバランスによる売り需要が発生する可能性があり、これが上値の重石として意識されてきそうである。もっとも、長期上昇トレンドの下限に位置しているため、強弱感が対立しやすいところではある。現在の水準での踏ん張りがみられれば、反転のタイミングにもなるだろう。まずは底堅さを見極めたいところである。
図2:直近1年の日経平均チャート(日足)
- ※当社WEBサイトを通じて、SBI証券が作成
3月21日のFOMCでの利上げ確率は? |
世界的な経済成長や主要国のインフレ率は各国中央銀行の目標に近づきつつあることなどを背景に、米長期債などの利回りは年初より堅調に推移している。米10年債利回りは年初の2.45%近辺から2月下旬にかけて2.96%近辺まで上昇した。2月2日発表の1月米雇用統計で平均時給の上昇率は前年比+2.9%で市場予想を上回ったことも、債券利回りの上昇を促した。
保護主義的な米通商政策や株安を意識して10年債利回りは3月2日に2.79%近辺まで低下したが、今月9日に発表された2月米雇用統計で非農業部門雇用者数は、市場予想を大幅に上回る増加(前月比+31.3万人)となったことを受けて債券利回りは再び上昇。米国株の大幅高も意識されたようだ。ただ、2月の平均時給の伸び率は前年比+2.6%にとどまり、市場予想の同比+2.8%を下回ったことから、インフレ加速の思惑はやや後退した。
市場関係者の間では年内4回の利上げは難しいとの見方が広がっており、CMEグループで取引されるフェデラルファンド(FF)金利先物を基準に試算した場合、年内4回の利上げが実施される確率は3月13日時点で30%程度とみられている。
■市場の追加利上げ織り込み状況(3月13日時点)
・3月21日に0.25ポイントの追加利上げが行われることを88.8%の確率で織り込み。
・12月19日時点でFFレートが2.00%-2.25%となることを70.6%の確率で織り込み。
・12月19日時点でFFレートが2.25%-2.50%となることを24.8%の確率で織り込み。
・12月19日時点でFFレートが2.50%-2.75%となることを5.5%の確率で織り込み。
<米連邦準備制度理事会(FRB)は3月に0.25ポイントの追加利上げ実施へ>
米連邦準備制度理事会(FRB)は3月20日−21日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標水準は現行の1.25%−1.50%から1.50%−1.75%に引き上げる見込み。CMEグループのFedWatchでは3月13日時点で0.25ポイントの利上げ確率を88.8%と算出している。(金利据え置きの確率は11.2%)
バランスシートの縮小については、米国債や住宅ローン担保証券(MBS)を、月額最大100億ドル減らす従来のペースを維持するとみられる。(減額規模は将来的に毎月500億ドルまで拡大される見込み)
■米国政策金利の推移
・2017年:3月、6月、12月にそれぞれ0.25ポイントの利上げ(0.75%→1.50%)
・2016年:12月に0.25ポイントの利上げ(0.50%→0.75%)
・2015年:利上げ開始、12月に0.25ポイントの利上げ(0.25%→0.50%)
2018年の金利見通しについて、3回の利上げ実施が市場コンセンサス。政策金利(FFレート)は2018年末までに2.00%-2.25%まで上昇すると予測されている。米FOMCは2018年のインフレ率は上昇すると予想しており、インフレの進展次第では年4回の利上げ実施の可能性は残されている。
■株式市場への影響について
株式市場も年3回の利上げを織り込んでおり、3月21日に公表されるFOMCの声明と経済予測が3月を含めて今年3回の利上げを想定するものであれば米国株はしっかりとした動きを見せる可能性がある。日本の株式市場に対する支援材料となり、日経平均株価は底堅い動きとなりそうだ。ドル・円は日米株高を意識して下げ渋る可能性がある。
- ※2018年のFOMCスケジュール:3月20-21日、5月1-2日、6月12-13日、7月31-8月1日、9月25-26日、11月7-8日、12月18-19日(あと7回)
図3:直近1年のドル円チャート(日足)
- ※当社WEBサイトを通じて、SBI証券が作成
日本企業は成長期待も米中貿易戦争を警戒 |
欧州中央銀行(ECB)は1月25日に開いた理事会で、主要政策金利を0.00%に、中央銀行の預金金利を−0.40%に据え置くことを決定した。資産購入プログラムについては、2018年1月以降、国債や社債の購入額を月600億ユーロから、月300億ユーロへと縮小している。期間は2018年9月までの9ヵ月間となる。
2018年の金利見通しについては、金融政策は引き続き緩和的であり、金利は量的緩和策終了後も長期間にわたり低水準にとどまる見込み。基調的なインフレ指標は引き続き抑制されており、今のところECBが金融緩和策の解除を急ぐ必要はないとみられる。
ただし、中期的には、現行の金融政策措置がユーロ圏経済の持続的な回復を支援し、需給の緩みの解消、賃金の伸びの加速などに支えられ、インフレ率は中期的に段階的に上昇していくと予想される。フォワードガイダンスの変更については、次回3月か4月に開かれる理事会で議論されるとみられる。また、今年後半に預金ファシリティ金利を現行の-0.40%から段階的に0.1ポイントずつ引き上げて来年前半までに0%に戻す可能性がある。ただし、主要リファイナンス金利(現行0.00%)と限界貸付ファシリティ金利(現行0.25%)は2018年末まで据え置きとなる可能性が高い。ECBが金融緩和解除に向かう姿勢を示していることでユーロドルは過去1年はユーロ高で推移しており、その動きにECBメンバーから懸念の声が出始めているため、今後の動きには注意が必要。
- ※2018年のECB理事会スケジュール:3月8日、4月26日、6月14日、7月26日、9月13日、10月25日、12月13日(あと7回)
図4:直近1年のユーロドルチャート(日足)
- ※当社WEBサイトを通じて、SBI証券が作成
- 提供:フィスコ社
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