9/29(水)午前の日経平均株価は、大きく売りが先行する展開になっています。午前10時30分前後の段階では下げ幅が700円超(下落率は2%超)となり、29,500円を割り込む水準での取引になっています。同じ時間、TOPIXの下落率も2%超となっています。
日経平均株価が大きく下げている理由は以下の通りです。
(1)現地時間9/28(火)の米国市場で株価が大きく下落。
(A)米10年国債利回りが、9/22(水)1.309%から9/28(火)は1.541%まで短期間に急上昇。
(B)米債務上限問題の再燃。不透明感の継続。
(2)9/29(水)は3月・9月決算等の権利落ち・・・日経平均株価の配当落ちは181円93銭(日経新聞による計算)。
(3)日経平均採用銘柄の入れ替え(10/1)を控えたテクニカルな売り(推定で約5千億円)。
(4)中国「恒大集団」をめぐる不透明感の継続。
ここで(2)と(3)については期限が定められたリスク要因とみなされます。(4)については、市場が克服するまで長期化が懸念されますが、中国が国慶節で休場となる10/1(金)〜10/7(木)は短期的に悪材料が出にくくなると考えられます。
9/29(水)の株価急落で注意すべきは、(1)が中心と考えられます。
そのうち、(A)について、世界の中央銀行の間では、金融政策を引き締める方向性が多数派となっており、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策も、緩和的金融政策からの出口戦略を志向していることは確かである思われます。ただ、債券市場の変動が、日本の機関投資家等にとって年度上期末となる9月末と重なっていることもあり、10月以降、流れに変化が生じるか改めて確認したいところです。
(1)の(B)については、イエレン財務長官が10/18(月)頃に、「資金が枯渇する可能性がある」と異例の警告を行っていることや、米金融大手が米国のデフォルトに備えるとの発言をしており、向こう半月程度、情報の交錯に悩まされる可能性がありそうです。ただ、米債務上限問題はこれまで同様、共和党と民主党の駆け引きに使われることが多く、基本的には米国のデフォルトでメリットを受ける向きは、ほとんどいない以上、最終的には解決されるというのがメインシナリオと考えられます。むしろ、バイデン政権の景気刺激策を巡り、歳出予算の削減等で、実効性が削がれることの方が本質的リスクかもしれません。
日経平均株価の当面の下値支持ラインとしては以下の4つが想定されます。
・29,515円・・・8/20〜9/14上昇(取引時間中ベース)分の3分の1押し。ただし、9/29(水)取引時間中に通過。
・29,323円・・・25日移動平均線(9/28現在)。
・29,000円・・・心理的節目。
・28,875円・・・8/20〜9/14上昇(取引時間中ベース)分の半値押し。
なお、9/29(水)は自民党総裁選挙の投開票日ですが、午前中の段階で株価への影響は限定的であったとみられます。
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