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金はドル高や投資資金流出が圧迫
提供:SBIゴールド
金は米中の関税発動の影響も焦点
6月25日の週のニューヨーク金市場は、ドル高を受けて軟調となり、8月限は2017年7月以来の安値1,246.9ドルを付けた。米政府当局者の発言を受けて貿易戦争に対する懸念が後退し、ドル高に振れた。一方、欧州連合(EU)首脳会議で移民問題で合意したことをきっかけにユーロが急伸した。7月6日には米中の関税発動を控えており、貿易戦争の行方を確認したい。また今週は6月の米雇用統計の発表があり、金融政策の見通しも焦点である。
トランプ米大統領は27日、中国企業による米ハイテク技術獲得への対応で、中国に特化した制限を課すのでなく、対米外国投資委員会(CFIUS)の審査を強化する方針を表明し、最も厳しい措置は取らないとした。米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が、米財務省は、中国資本が25%以上を占める企業に対し、「産業上重要な技術」を保有する米国企業の買収を禁じる規則を策定している、と報じたことを受けて投資制限に対する懸念が出ていた。
ただ米大統領が、欧州向けオートバイの生産を米国外に移転させる方針を示したオートバイ製造大手ハーレー・ダビッドソンに対し、高額の税金を課すと警告し、強硬姿勢は続いている。当面は7月6日に発動される米中の関税を確認したい。
中国からの総額500億ドルに上る知的財産権およびハイテクに関連する製品に対する25%の輸入関税の第1弾が発動されたのち、第2弾の行方が焦点である。米ゼネラル・モーターズ(GM)は、 トランプ政権が導入を検討する自動車輸入関税について、「自社の規模縮小」につながり、世界市場から米企業を隔離する可能性をはらむと指摘した。貿易戦争激化となればリスク回避の動きや商品需要減少が警戒される。
米紙ワシントン・ポストは、米当局者の話として、北朝鮮が核兵器の備蓄数と製造施設の一部を米国に隠ぺいしている可能性があると報じた。またNBCニュースは、北朝鮮がここ最近、複数の秘密施設で兵器用の核燃料を増産していると初めて報道した。「北朝鮮が米国をだまそうとしている明白な証拠がある」と報じており、米国の対応を確認したい。米朝首脳会談では朝鮮半島の非核化で合意したのち、トランプ米大統領が米韓合同軍事演習の中止を発表していた。
インドの宝飾業者の需要が徐々に増加したが、再びディスカウントに転じた。前週は2ドルのディスカウントとなり、前々週の1ドルのプレミアムから低下した。金のドル建て現物相場は6カ月ぶりの安値を付けたが、インドのルピー建て金価格はルピー下落に相殺され、3カ月ぶりの安値にとどまった。一方、中国の金プレミアムは2〜4ドルと前々週の5〜6ドルから低下した。中国人民元が下落し、人民元建ての金価格は小幅高となっており、安値を待つ向きが多い。
米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、6月26日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは7万6,672枚となり、前週の9万6,512枚から縮小した。今回は手じまい売りが7,797枚、新規売りが1万2,043枚出て、買い越しを1万9,840枚縮小した。一方、6月29日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比5.60トン減の819.04トンとなった。
NYプラチナは一代安値更新が続く
ニューヨーク・プラチナ10月限は、貿易戦争に対する懸念やドル高を受けて軟調となり、一代安値846.4ドルを付けた。欧州連合(EU)首脳会議で移民問題で合意し、ユーロが急伸したことは下支え要因だが、7月6日には米中の関税が発動する見通しであり、貿易戦争の影響などを確認したい。
米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、6月26日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の売り越しは6,115枚となり、前週の5,161枚から拡大した。手じまい売りが買い戻しを上回った。
一方、プラチナETF(上場投信)の現物保有高は28日のロンドンで10.49トン(22日11.43トン)に増加、29日のニューヨークで15.83トン(同15.83トン)と変わらず、南アで24.86トン(同25.14トン)に減少した。
原油は供給ひっ迫懸念で一段高
ニューヨーク原油は、米国の対イラン制裁による供給ひっ迫懸念を受けて堅調となり、2014年11月以来の高値74.46ドルを付けた。米国は各国に対してイランからの原油輸入を止めるよう圧力をかけている。一方、米エネルギー情報局(EIA)が発表した6月22日までの週間石油統計で、原油在庫は前週比989万1,000バレル減少した。事前予想は230万バレル減。一方、米油田サービス会社ベーカー・ヒューズから発表された6月29日までの週の米石油リグ稼動数は前週比4基減の858基となった。パイプラインの輸送能力不足などを受けて2週連続で減少した。
米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、6月26日時点のニューヨーク原油の大口投機家の買い越しは62万5,091枚となり、前週の58万947枚から拡大した。新規買い・買い戻しが入った。一方、ニューヨーク証券取引所(NYSE)で取引されている原油ETF(コード:USO)の残高は29日時点で1億2,310万株となり、前週末比870万株減少した。
ニューヨーク金はドル高で下値を試す
ニューヨーク金8月限はドル高を受けて軟調となり、2017年7月以来の安値1,246.9ドルを付けた。2017年12月安値1,251.7ドルを割り込み、テクニカル面で悪化した。ただ欧州連合(EU)首脳会議で移民問題で合意したことをきっかけにユーロが急伸しており、ドル高が止まるかどうかが当面の焦点である。また7月6日には米中の関税発動を控えており、貿易戦争の行方も確認したい。
7月2日からの週の注目ポイント
2日 |
中国財新製造業PMI(6月) |
☆☆ |
---|---|---|
ユーロ圏失業率(6月) |
☆ |
|
ユーロ圏生産者物価指数(6月) |
☆ |
|
米ISM製造業景気指数(6月) |
☆☆☆ |
|
3日 |
豪中銀政策金利 |
☆☆☆ |
ユーロ圏小売売上高(5月) |
☆ |
|
米製造業新規受注(5月) |
☆ |
|
米自動車販売(6月) |
☆ |
|
米株式・債券は短縮取引 |
☆ |
|
4日 |
中国財新サービス業PMI(6月) |
☆ |
米国は独立記念日祝日で休場 |
☆ |
|
5日 |
カーニー英中銀総裁、講演 |
☆ |
米FOMC議事録 |
☆☆ |
|
米ADP雇用者数(6月) |
☆☆ |
|
米ISM非製造業景気指数(6月) |
☆☆ |
|
6日 |
米貿易収支(5月) |
☆☆ |
米雇用統計(6月) |
☆☆☆ |
|
米個人所得支出(5月) |
☆ |
|
米PCEデフレータ(5月) |
☆☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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