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金は株安一服で買い一巡も底堅い値動き
提供:SBIゴールド
金はイタリア予算案やサウジの記者殺害疑惑の行方を確認
10月15日の週のニューヨーク金市場は、世界的な株安に対する懸念やドル安を受けて上値を試したが、株安が一服すると、上げ一服となった。ただサウジの記者殺害疑惑やイタリアの財政懸念、中国市場に対する懸念などが下支えとなった。12月限は7月31日以来の高値1,236.9ドルで上げ一服となった。米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、ニューヨーク金で大口投機家は10月16日時点で買い方に転じた。11日の急伸で買い戻しが進む格好となった。一方、ニューヨークの金ETF(上場投信)の残高は19日に減少し、一部で利食い売りが出ており、上値を伸ばすには新たな強材料が必要になるとみられる。今週はイタリアの予算案の行方や、米国のサウジ制裁があるかどうかが焦点である。経済指標では24日に米地区連銀経済報告(ベージュブック)、26日に7〜9月期の米国内総生産(GDP)速報値などの発表がある。
サウジアラビアの反政府記者ジャマル・カショギ氏がイスタンブールのサウジ総領事館訪問後に行方不明になった問題で、サウジ当局は同記者の死亡を確認した。サウジ当局は当初、カショギ氏が領事館内で死亡したとの見方を否定したが、20日の声明では領事館で面会者との間で争いが起き、命を落としたと説明、サウジ国籍の18人を拘束したと明らかにした。またムハンマド皇太子の右腕とみられるサウド・カハタニ王室顧問と情報機関のナンバー2であるアハメド・アシリ氏らが解任された。今回の事件に関して、欧州をはじめ各国から詳しい調査を求める批判の声が相次いだ。トランプ米大統領は、サウジの発表を「重要な一歩」と評価したうえで、真相を解明したい意向を示した。米大統領からサウジに対する「非常に厳しい」対応や経済制裁を示唆する発言が出ている。ただ制裁でサウジへの武器売却を凍結すれば、サウジはロシアや中国に頼ると述べており、中東情勢の先行き懸念が強まる可能性がある。当面はサウジの発表と米国の対応を確認したい。
イタリアのコンテ首相は15日、内閣が2019年の予算案を承認したことを明らかにした。社会福祉支出を拡大し、退職年齢を引き下げるほか、財政赤字を拡大させる内容となった。欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は、イタリア政府に対して2019年予算案はEU財政規律から大幅に逸脱しているとの見解を通達した。欧州委はイタリアに対して22日までに回答するよう求めている。一方、米格付け会社ムーディーズは19日、イタリアの信用格付けを1段階引き下げて「Baa3」とした。格付け見通しを「安定的」としたことでジャンクへの格下げ懸念が後退した。ただ欧州委はイタリアが内容を修正しなければ10月29日までに予算案を却下する可能性がある。
米財務省は半期為替報告書で、中国の為替操作国認定を見送った。ただムニューシン米財務長官は声明で、「特に懸念されるのは中国の為替の透明性が欠如していることと、最近の人民元安だ」とし、「われわれは中国人民銀行と現在進めている協議を含め、中国の為替慣行の監視と検証を続ける」とコメントした。人民元が下落し、中国株も売られ、上海株は約4年ぶりの安値を付けた。一方、第3四半期の中国の国内総生産(GDP)伸び率は前年同期比6.5%となり、第2四半期の6.7%から減速し、2009年第1四半期以来の低水準となった。当局による債務圧縮の取り組みや米国との貿易摩擦が主因となった。中国証券監督管理委員会(証監会)が、国内株式市場を支援する一連の措置を発表し、株安が一服したが、中国市場の行方も確認したい。
米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、10月16日時点のニューヨーク金の大口投機家の取組は、1万7,667枚買い越しとなり、前週の3万8,175枚売り越しから、買い方に転じた。今回は新規買いが9,454枚、買い戻しが4万6,388枚入り、5万5,842枚の買いが入った。一方、10月19日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比1.18トン増の745.82トンとなった。株安懸念などを背景に748.76トンまで増加したのち、利食い売りが出て増加が一服した。
プラチナは金主導の値動き
ニューヨーク・プラチナ1月限は、金堅調につれ高となり、7月10日以来の高値854.5ドルを付けたのち、上げ一服となった。株安が一服し、金が上げ一服となった。また9月の欧州の新車(乗用車)登録台数が前年比23.5%減少したこともプラチナの上値を抑える要因である。9月1日から新たな燃費計測方法として「国際調和排ガス・燃費試験方法(WLTP)」が導入され、再認証を受けていない一部モデルが出荷できない状態となった。ただパラジウムに安値拾いの買いが入っており、当面は金主導の値動きが続くとみられる。
米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、10月16日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万3,080枚となり、前週の8,226枚から拡大した。新規買い・買い戻しが入った。一方、プラチナETF(上場投信)の現物保有高は17日のロンドンで9.43トン(12日9.45トン)、19日のニューヨークで18.73トン(同18.88トン)、南アで22.67トン(同23.86トン)に減少した。
ニューヨーク金は新たなレンジを形成
ニューヨーク金12月限は、世界的な株安に対する懸念やドル安を受けて7月31日以来の高値1,236.9ドルを付けたのち、上げ一服となった。ただサウジアラビアの記者殺害疑惑やイタリアの財政懸念、中国市場に対する懸念などを受けて下値は限られた。10月11日に米株価急落を受けて8月下旬からのレンジを上放れたが、15日高値で買いが一巡し、1,219.3〜1,236.9ドルの新たなレンジを形成した。
米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告で、ニューヨーク金の大口投機家は買い越しに転じ、買い戻しが一巡しており、上値を伸ばすには新たな強材料が必要である。今週はイタリアの予算案の行方や米国のサウジ制裁があるかどうかを確認したい。
10月22日からの週の注目ポイント
22日 |
ニュージーランド休場 |
☆ |
---|---|---|
23日 |
独生産者物価指数(9月) |
☆ |
ユーロ圏消費者信頼感(10月速報) |
☆☆ |
|
24日 |
ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(10月速報) |
☆☆ |
ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数(10月速報) |
☆☆ |
|
米住宅価格指数(8月) |
☆ |
|
米新築住宅販売(9月) |
☆☆☆ |
|
米地区連銀経済報告(ベージュブック) |
☆☆ |
|
25日 |
政策金利発表(カナダ銀行) |
☆☆☆ |
金融政策決定公表(トルコ中央銀行) |
☆ |
|
金融政策理事会(ECB) |
☆☆☆ |
|
独ifo景況感指数(10月) |
☆☆ |
|
米耐久財受注(9月) |
☆☆ |
|
米中古住宅販売仮契約指数(9月) |
☆☆ |
|
26日 |
米国内総生産(7-9月期速報値) |
☆☆☆ |
米ミシガン大消費者信頼感指数(10月確報値) |
☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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