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金は米FOMC後のドル高が圧迫
提供:SBIゴールド
金は月末の米中首脳会談に向けた対話の動きも確認
11月5日の週のニューヨーク金市場は、戻り高値を突破できずに軟調に推移すると、米連邦公開市場委員会(FOMC)後のドル高を受けて下落した。期近12月限は10月11日以来の安値1,207.2ドルを付けた。今週は10月の米消費者物価指数(CPI)や米小売売上高などの発表があり、好調な内容になると、ドル高に振れ、金は1,200ドルの節目を試す可能性が出てくる。ただイタリアの財政懸念や中国経済に対する懸念が下支え要因である。イタリアの予算案の再提出期限は13日だが、トリア経済・財務相は予算案に盛り込まれた景気刺激策が成長を底上げし、政府債務残高も減少する見込みだと主張し、予算案の変更を拒否している。欧州委員会はイタリア側からの返答を審査し、21日に最終的な判断を示す見通しであり、制裁発動があるのかどうかが焦点である。一方、中国の生産者物価指数の伸びが4カ月連続で低下した。今週は10月の中国の小売売上高や鉱工業生産の発表があり、中国経済に対する見方を確認したい。また月末の米中首脳会談を控え、9日に米中外交・安保対話が開かれた。ポンペオ米国務長官は共同記者会見で、「両国間の大きな違いを率直に取り上げた」と述べる一方、世界の2大経済大国である両国の協調が引き続き不可欠だと強調した。今後、貿易摩擦解消に向けた動きが出るのかどうかを確認したい。ただ市場では米中首脳会談で新たな制裁措置の回避で合意するにとどまり、貿易摩擦の解消にはさらに時間がかかるとみられている。
米中間選挙では民主党が下院を奪還し、上院は共和党が維持した。ねじれ議会となり、大規模減税などの重要法案は通りにくくなる。ただ民主党は上院で議席を減らしており、大勝とは言えない状況である。下院共和党ではトランプ米大統領と一定の距離を保っていた議員が敗れた。上院では米大統領を激しく批判していた議員が引退し、共和党は一層「トランプ色」が強くなった。米大統領が下院で歩み寄る可能性もあるが、これまでのやり方を大きく変えることはないとみられる。一方、民主党は、トランプ米大統領がセッションズ司法長官を事実上更迭したのは2016年大統領選へのロシア介入疑惑を巡る捜査を抑制するためだとし、緊急公聴会の開催を要求した。米大統領の弾劾の動きが強まると予想される。
米連邦公開市場委員会(FOMC)ではフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を2.00〜2.25%に据え置くことを全会一致で決定した。声明で「労働市場が引き締まり続け、経済活動が力強い速度で拡大している」と指摘された。力強い雇用の伸びと個人消費で経済は軌道から外れていないとの見方を示し、緩やかな利上げを継続するとの姿勢を維持した。米短期金利先物市場では来月に1回、来年2回の追加利上げ予想確率を引き続き織り込んでいる。
米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、11月6日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは1万9,026枚となり、前週の1万3,194枚から拡大した。今回は新規買いが387枚、買い戻しが5,445枚入り、5,832枚買い越しを拡大した。一方、11月9日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比3.83トン減の755.23トンとなった。戻り高値を突破できず、投資資金が流出した。
プラチナもドル高で調整局面を迎える
ニューヨーク・プラチナ期近1月限は、米中の貿易摩擦に対する懸念後退などを受けて6月25日以来の高値881.5ドルを付けたのち、米連邦公開市場委員会(FOMC)後のドル高を受けて調整局面を迎えた。中国経済に対する懸念による株安も圧迫要因である。ただ中国当局は大幅な成長鈍化の回避に向け、銀行融資の促進や減税、インフラ支出前倒しなどの措置を打ち出している。景気刺激策に対する期待が出るようなら、プラチナの下支え要因になるとみられる。
米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、11月6日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万3,924枚となり、前週の1万4,723枚から拡大した。新規買い・買い戻しが入った。一方、プラチナETF(上場投信)の現物保有高は8日のロンドンで9.57トン(2日9.50トン)、9日のニューヨークで19.31トン(同18.73トン)に増加、南アで22.24トン(同22.57トン)に減少した。
ニューヨーク金は1,200ドルを目指す動き
ニューヨーク金12月限は、米連邦公開市場委員会(FOMC)後のドル高を受けて軟調となり、10月11日以来の安値1,207.2ドルを付けた。10月31日の安値1,213.4ドルを割り込み、テクニカル面で悪化した。ドル高が続くと、1,200ドルの節目を目指す動きになるとみられる。ただ米中間選挙で民主党が下院を奪還し、ねじれ議会となった。大規模減税などの政策が通りにくくなり、株価の上値を抑える要因である。またイタリアの財政懸念や月末の米中首脳会談に向けた動きも焦点であり、先行き不安が出ると、下支え要因になりそうだ。
11月12日からの週の注目ポイント
12日 |
企業物価指数(10月) |
☆ |
---|---|---|
13日 |
独消費者物価指数(10月確報) |
☆☆ |
独ZEW景況感指数(11月) |
☆☆ |
|
米財政収支(10月) |
☆☆ |
|
14日 |
国内総生産(7-9月期1次速報) |
☆☆☆ |
中国小売売上高(10月) |
☆☆ |
|
中国鉱工業生産(10月) |
☆☆ |
|
ユーロ圏国内総生産(7-9月期改定) |
☆☆☆ |
|
ユーロ圏鉱工業生産(9月) |
☆☆ |
|
英消費者物価指数(10月) |
☆☆ |
|
米消費者物価指数(10月) |
☆☆☆ |
|
15日 |
ユーロ圏貿易収支(9月) |
☆ |
米小売売上高(10月) |
☆☆☆ |
|
米輸出入物価指数(10月) |
☆ |
|
米ニューヨーク連銀製造業景況指数(11月) |
☆☆ |
|
米フィラデルフィア連銀製造業景況指数(11月) |
☆☆ |
|
16日 |
ユーロ圏消費者物価指数(10月確報) |
☆☆☆ |
米鉱工業生産・設備稼働率(10月) |
☆☆ |
|
対米証券投資(9月) |
☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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