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金は英国のEU離脱や米FOMCを確認
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金はドル安で1,300ドル台を回復
3月11日の週のニューヨーク金市場は、ドル安を受けて堅調となり、期近4月限が1日以来の高値1,311.20ドルを付けた。予想以下の米経済指標や英国の欧州連合(EU)離脱を巡る動きを受けてドル安となった。2月の米雇用統計で非農業部門雇用者数の伸びが大幅に鈍化したことに加え、2月の米消費者物価指数(CPI)のコア指数や米生産者物価指数(PPI)が事前予想を下回り、米鉱工業生産指数の製造業部門が2カ月連続で低下した。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は、金融政策を直ちに変更しなければならないような問題は米経済に見当たらないとの考えを示し、忍耐強く、様子を見極める、としており、今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)ではハト派の見方が示されるとみられる。一方、英国のEU離脱で「合意なき離脱」は否決、離脱延期が可決された。メイ英首相は今週再び離脱協提案を議会採決にかける、としており、採決の結果とポンドの反応を確認したい。
中国経済や米中の通商協議の行方も当面の焦点である。1〜2月の中国の鉱工業生産指数は前年比5.3%上昇と17年ぶりの低い伸びにとどまり、失業率も悪化した。ただ中国の李首相が15日に減税を発表すると、中国株や人民元が安値から戻した。一方、米中の通商協議は続いているが、米中首脳会談は早くて4月になる公算と伝えられると、協議に対する期待感が後退した。ムニューシン米財務長官は、米政府が通商交渉の場で中国側とあらゆる項目について議論しており、一部の争点で近く合意できるとの見通しを示した。トランプ米大統領は、中国との通商協議は順調に進捗しているとの認識を示した。ただ最終的な合意が得られるかについては明言したくないとした。
米朝首脳会談が決裂したのち、北朝鮮の非核化協議の先行き不透明感が強まった。北朝鮮がミサイル発射施設の再建を進めていると伝えられると、米大統領は、事実であれば金正恩委員長に「失望するだろう」と述べた。また国連安全保障理事会(安保理)が公開した対北朝鮮制裁委員会の専門家パネル報告書で「寧辺の核団地が引き続き稼働していた」と発表された。ロシアのタス通信は15日、北朝鮮が米国との非核化協議を停止することを検討していると報じており、緊張が高まるようなら、金の支援要因になる可能性がある。米国で北朝鮮との交渉を担当するビーガン特別代表は、ニューヨークの国連代表部で、国連安保理メンバーに加え、日本、韓国の国連大使と会合を開き、北朝鮮の完全な非核化まで安保理が採択した制裁を着実に継続するよう要請しており、当面は様子を見ることになりそうだ。
3月15日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比4.45トン増の771.04トンとなった。1,300ドル割れで下げ一服となるなか、投資資金が戻った。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、3月12日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは7万8,819枚となり、前週の8万8,018枚から縮小した。今回は新規買いが2,622枚、新規売りが1万1,821枚出て9,199枚買い越し幅を縮小した。
プラチナはドル安や金堅調で下げ一服
ニューヨーク・プラチナ期近4月限は、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ休止観測や金堅調を受けて下げ一服となり、4日以来の高値849.4ドルを付けた。予想以下の米経済指標を受けて米FRBの利上げ休止観測が強い。ただ中国汽車工業協会(CAAM)が発表した2月の自動車販売台数は前年同月比13.8%減の148万台と8カ月連続で減少した。また欧州自動車工業協会(ACEA)によると、2月の欧州連合(EU27)の新車(乗用車)登録台数は前年同月比1.0%減の111万4,692台となった。パラジウムやロジウムの堅調がプラチナの下支え要因だが、ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC)がプラチナの供給過剰見通しを示しており、プラチナは安値圏でのもみ合いが続く可能性がある。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は14日のロンドンで10.108トン(8日9.98トン)、ニューヨークで21.63トン(同21.48トン)に増加、南アで25.03トン(同25.16トン)に減少した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、3月12日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万6,348枚となり、前週の2万1,463枚から縮小した。
ニューヨーク金は1,300ドル割れで下げ一服
ニューヨーク金4月限は、ドル安を受けて堅調となり、1日以来の高値1,311.20ドルを付けた。予想以下の米経済指標や英国の欧州連合(EU)離脱を巡る動きを受けてドル安となった。中国経済に対する懸念から人民元が売られる場面も見られたが、中国の減税発表を受けて人民元が上昇すると、ドル安が続いた。今週は英議会でEU離脱案の採決が再び実施されることや米連邦公開市場委員会(FOMC)が焦点であり、1,300ドル台で上値を伸ばせるかどうかを確認したい。
3月18日からの週の注目ポイント
18日 |
貿易収支(2月速報) |
☆☆ |
---|---|---|
ユーロ圏貿易収支(1月) |
☆ |
|
19日 |
独ZEW景況感指数(3月) |
☆☆ |
英雇用統計(2月) |
☆☆ |
|
米製造業新規受注(1月) |
☆☆ |
|
米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目 |
☆☆☆ |
|
20日 |
日銀金融政策決定会合議事要旨(1月22-23日分) |
☆ |
独生産者物価指数(2月) |
☆☆ |
|
英消費者物価指数(2月) |
☆☆ |
|
英生産者物価指数(2月) |
☆☆ |
|
米連邦公開市場委員会(FOMC)政策金利発表 |
☆☆☆ |
|
21日 |
春分の日 |
☆ |
英小売売上高指数(2月) |
☆ |
|
英中銀(BOE)政策金利発表 |
☆☆ |
|
米フィラデルフィア連銀製造業景況指数(3月) |
☆☆ |
|
米景気先行指数(2月) |
☆☆ |
|
22日 |
消費者物価指数(2月) |
☆☆☆ |
ユーロ圏国際収支(1月) |
☆☆☆ |
|
ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(3月速報) |
☆ |
|
ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数(3月速報) |
☆☆ |
|
ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数(3月速報) |
☆☆ |
|
米卸売在庫(1月) |
☆ |
|
米中古住宅販売統計(2月) |
☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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