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金は株高や投資資金流出が圧迫要因
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
【金は米中の通商協議の行方なども焦点】
4月15日の週のニューヨーク金市場は、株高や米国債の利回り上昇、米中の通商協議に対する期待感などを受けて軟調となり、期近6月限が昨年12月以来の安値1,273.0ドルを付けた。米企業決算発表が本格化し、収益減少が見込まれているが、好調な米小売売上高などを受けて米株価が堅調となり、金の圧迫要因になった。また中国経済安定化の兆しが見られ、景気減速懸念が後退した。独政府が経済成長率予想を下方修正し、景気減速懸念が残るが、米中の通商協議が順調に進み、5月下旬にもまとまるとの見方が出ており、景気の先行きに対する楽観的な見方が出ている。金ETF(上場投信)から投資資金が流出しており、引き続き売られると、金は軟調に推移するとみられる。一方、欧州連合(EU)加盟国が、米国と正式な通商交渉を開始することを最終承認した。欧米の通商協議で貿易摩擦に対する懸念が再燃するようなら金の下支え要因となる。また2月末の米朝首脳会談の決裂を受け、北朝鮮が米国をけん制しており、地政学的リスクが意識されるかどうかも今後の焦点である。
3月の米小売売上高は前月比1.6%増と、2017年9月以来1年半ぶりの大幅な伸びとなった。自動車やその他幅広い項目のモノの販売が好調だった。米ダラス地区連銀のカプラン総裁は、今年の米経済成長に確信を一段と深めているとしながらも、現在の金利水準は適切であるとの見方は変えていないと述べた。CMEのフェドウォッチによると、18日時点の12月のフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標水準は金利据え置きの確率が57.1%(前週52.8%)に上昇した。2.00〜2.25%への利下げの確率は34.3%(同36.4%)に低下した。一方、米10年債利回りは3月20日以来の高水準となる2.612%まで上昇した。ただ19日に発表された3月の米住宅着工数は前月比1.3%減の113万9,000件と予想外に減少し、2017年5月以来の低水準となった。事前予想は123万件。住宅建設業者が慎重姿勢を崩していないとみられており、今後発表される経済指標を確認したい。
米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙によると、米中の通商協議で、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表が4月29日の週に北京を訪問することが暫定的に決まったと報じた。また両国の交渉官は5月下旬、もしくは6月初旬に調印式を行うことを目指しているという。CNBCは、トランプ米大統領と中国の習近平国家主席との会談について、中国側はトランプ氏が5月下旬に日本を訪問する際に実現させる可能性を模索していると報じており、協議は最終段階に入っているもよう。第1四半期の中国の国内総生産(GDP)は前年比6.4%増加して第4四半期と伸びが一致し、事前予想の6.3%増を上回った。鉱工業生産の増加が寄与し、中国経済に安定化の兆しが見られた。
4月18日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比6.17トン減の751.68トンとなった。株高や米国債の利回り上昇、米中の通商協議に対する期待感などを受けて投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、4月16日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは5万6,273枚となり、前週の10万5,364枚から縮小した。今回は手じまい売りが1万6,294枚、新規売りが3万2,797枚出て4万9,091枚買い越し幅を縮小した。
【プラチナはパラジウム急伸が下支え】
ニューヨーク・プラチナ期近7月限は、調整局面を継続し、4日以来の安値880.6ドルを付けた。ただ米中の通商協議に対する期待感や中国経済安定化の兆しを受けてパラジウムが急伸すると、下げ一服となり、900ドル台を回復した。パラジウム堅調が続くと、8日の戻り高値920.4ドルを試す可能性が出てくる。ただプラチナは供給過剰見通しが上値を抑える要因であり、高値での買いが続くかどうかを確認したい。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、15日のロンドンで10.90トン(前週末10.90トン)、18日のニューヨークで20.74トン(同20.74トン)と変わらず、南アで32.55トン(同32.56トン)に減少した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、4月16日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは3万1,111枚買い越し(同3万1,844枚買い越し)に縮小した。
ニューヨーク金は株高などで昨年12月以来の安値
ニューヨーク金6月限は、株高や米国債の利回り上昇を受けて軟調となり、昨年12月以来の安値1,273.0ドルを付けた。4月4日の安値1,284.9ドルを割り込み、テクニカル面で悪化した。米中の通商協議に対する期待感から金ETF(上場投信)から投資資金が流出したことも圧迫要因であり、引き続き売られると、1,250ドルの節目を目指す可能性が出てくる。一方、2月末の米朝首脳会談の決裂を受け、北朝鮮が米国をけん制しており、地政学的リスクが意識されるかどうかも今後の焦点である。
4月22日からの週の注目ポイント
22日 |
豪・香港・欧州・南ア休場 |
☆ |
---|---|---|
米中古住宅販売統計(3月) |
☆☆ |
|
23日 |
米住宅価格指数(2月) |
☆ |
米新築住宅販売(3月) |
☆☆☆ |
|
24日 |
日銀金融政策決定会合1日目 |
☆☆ |
独ifo景況感指数(4月) |
☆☆ |
|
カナダ銀行政策金利発表 |
☆☆☆ |
|
25日 |
豪休場 |
☆ |
日銀金融政策決定会合政策金利発表 |
☆☆☆ |
|
米耐久財受注(3月) |
☆☆ |
|
米新規失業保険申請件数 |
☆☆ |
|
26日 |
失業率(3月) |
☆☆ |
鉱工業生産指数(3月速報) |
☆☆ |
|
米国内総生産(1-3月期速報値) |
☆☆☆ |
|
ミシガン大消費者信頼感指数(4月確報値) |
☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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