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金は米FOMCでの利下げの可能性示唆などで急伸
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は米中首脳会談で合意できるかどうかが焦点
6月17日の週のニューヨーク金市場は、米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げの可能性が示唆されたことや、米国とイランの軍事対立に対する懸念を受けて急伸した。期近8月限は一代高値1,415.4ドルを付けた。米連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を2.25〜2.50%に据え置くことを決定した。ただ不確実性の増大などに対応するために年内に最大0.5%の利下げが実施される可能性があることも示唆した。米連邦準備理事会(FRB)はFOMC声明で、「景気拡大を維持するために適切に行動する」と表明した。CMEのフェドウォッチによると、12月のフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標水準の確率は1.25〜1.50%が21.2%(前週18.3%)、1.50〜1.75%が40.5%(同37.9%)、1.75〜2.00%が29.2%(同30.5%)、2.00〜2.25%が5.4%(同9.4%)となった。米短期金利先物市場では年内に最大1.0%の利下げが見込まれている。一方、欧州中央銀行(ECB)やイングランド銀行(英中央銀行)も金融緩和の可能性を示唆しており、通貨安が金の支援要因である。ドラギECB総裁は、物価の伸びが低迷し、目標を達成できない状況が続いた場合、ECBは利下げや資産買い入れなどの金融緩和を再度行うと明言し、物価押し上げへの決意を表明した。また英中銀は第2四半期の経済成長率見通しをゼロとし、先月時点の予想(0.2%増)から下方修正した。貿易摩擦に対する懸念や英国の欧州連合(EU)からの合意なき離脱の可能性で先行き不透明感が強い。英与党・保守党の党首選の第4回投票では、EUから強硬離脱も辞さないとする最有力候補のジョンソン前外相が支持を拡大し、首位を維持した。
トランプ米大統領は20日、イランが米軍の無人偵察機を撃墜したことについて、イランは「極めて大きな過失を犯した」と述べた。イランの精鋭部隊であるイスラム革命防衛隊(IRGC)は、無人偵察機が南部ホルモズガン州の「イラン領空に入った際」に撃墜したと明かした。一方、米軍は、イランに撃墜された米軍の無人偵察機について、攻撃を受けた際にホルムズ海峡上の国際空域を高い高度で飛行していたことを明らかにした。米大統領は、イランによる米軍の無人偵察機撃墜に対する報復措置として軍事攻撃を承認したものの、その後撤回したことについて、軍事攻撃は無人偵察機の撃墜に対する報復措置としては釣り合いが取れないと判断したためだと説明した。またホワイトハウスで記者団に対し、イランへの追加的な経済制裁を発動する意向であり、軍事行動についても「われわれがこの問題を解決するまで常にテーブルの上にある」と指摘した。オマーン沖で石油タンカー2隻が攻撃を受けて以降、イランと米国の軍事対立を巡る懸念が高まっている。イランが保有する低濃縮ウランが27日に核合意に定められた貯蔵量の上限を突破する見通しである。イランの核兵器開発を阻止するため2015年に締結された合意を、イランが違反すれば何らかの措置が採られるとみられる。
今週は28〜29日の20カ国・地域首脳会議(G20サミット)で米中首脳会談が予定されており、貿易摩擦の行方が焦点である。中国から米中首脳会談に関する発表がなく、貿易摩擦に対する懸念が高まっていたが、トランプ米大統領は18日、中国の習近平国家主席と「とても良い」電話会談ができたと明らかにし、G20サミットで同主席と「時間をかけて会談する」意向を示した。ただロス米商務長官は16日、米中首脳会談が実現した場合でも重要な通商合意がまとまる可能性は低いと述べている。ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表がG20サミットに先立ち、中国側の対米首席交渉官、劉鶴副首相と会談する見通しを示しており、貿易摩擦解消に向けて合意できるかどうかを確認したい。
6月21日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比34.92トン増の799.03トンとなった。米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げの可能性が示唆され、1,400ドル台を回復するなか、まとまった投資資金が流入した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、6月18日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは20万4,323枚となり、前週の18万4,238枚から拡大した。今回は新規買いが2万4,519枚、新規売りが4,434枚入り、2万0,085枚買い越し幅を拡大した。
プラチナはドル安もレンジ相場を継続
ニューヨーク・プラチナ期近7月限は、米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げの可能性が示唆され、ドル安に振れたことを受けて5日以来の高値823.9ドルを付けたのち、パラジウム急落などを受けて上げ一服となった。パラジウム9月限は3月26日以来の高値1,525.10ドルを付けたが、1,500ドルの節目を割り込むと急落した。ただ翌日は押し目を買われて堅調となった。プラチナは米中の貿易摩擦に対する不透明感も上値を抑える要因であり、週末の米中首脳会談で貿易摩擦解消に向けて合意できるかどうかが焦点である。一方、欧州自動車工業協会(ACEA)によると、5月の欧州連合(EU27)の新車(乗用車)登録台数は前年同月比0.1%増の140万0,518台となった。昨年9月から新たな燃費計測方法として「国際調和排ガス・燃費試験方法(WLTP)」が導入されたことを受けて減少が続いていたが、9カ月ぶりに増加した。1〜5月は前年同期比2.1%減の673万7,491台となった。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、20日のロンドンで11.06トン(前週末10.92トン)、21日のニューヨークで21.30トン(同21.16トン)、南アで31.80トン(同31.62トン)に増加した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、6月18日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1,970枚(前週6,952枚)に縮小した。手じまい売り・新規売りが出た。
ニューヨーク金は急伸で一代高値を更新
ニューヨーク金8月限は、米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げの可能性が示唆されたことや、米国とイランの軍事対立に対する懸念を受けて急伸し、一代高値1,415.4ドルを付けた。1,400ドル台を回復するなか、金ETF(上場投信)にまとまった投資資金が流入しており、引き続き買われると、支援要因になるとみられる。RSIが買われ過ぎの水準に入っており、利食い売り主導の調整局面も警戒されるが、今週は週末の20カ国・地域首脳会議(G20サミット)で米中首脳会談が予定されており、貿易摩擦の行方が焦点である。貿易摩擦解消に向けて合意できなければ金は堅調に推移するとみられる
6月24日からの週の注目ポイント
24日 | 景気動向指数(4月改定) | ☆ |
---|---|---|
独ifo景況感指数(6月) | ☆☆ | |
25日 | 金融政策決定会合議事要旨(4月24-25日分) | ☆☆☆ |
米S&Pケース・シラー住宅価格指数(4月) | ☆☆ | |
米新築住宅販売(5月) | ☆☆ | |
米消費者信頼感指数(6月) | ☆☆ | |
26日 | NZ準備銀行政策金利公表 | ☆☆☆ |
米耐久財受注(5月) | ☆☆ | |
27日 | 独消費者物価指数(6月速報) | ☆☆ |
米国内総生産(1-3月期確報値) | ☆☆☆ | |
米中古住宅販売仮契約指数(5月) | ☆☆ | |
28日 | G20大阪サミット(29日まで) | ☆☆☆ |
鉱工業生産指数(5月速報) | ☆☆ | |
英国内総生産(1-3月期確報値) | ☆☆☆ | |
ユーロ圏消費者物価指数(6月速報) | ☆☆☆ | |
米個人所得・支出(5月) | ☆☆☆ | |
シカゴ購買部協会景気指数(6月) | ☆☆ | |
米ミシガン大消費者信頼感指数(6月確報値) | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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