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金は月末の米FOMCでの利下げ見通しが支援
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は経済指標で利下げ幅に対する見方を確認
7月8日の週のニューヨーク金市場は、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が議会証言で利下げを示唆したことを受けて堅調となったが、予想以上の米コア消費者物価指数(CPI)などに上値を抑えられた。米FRB議長は下院金融サービス委員会で証言し、通商政策を巡る不安や弱い世界経済が「引き続き米景気見通しの重し」という認識を示すとともに、景気拡大下支えに向け「適切に行動する」用意があると言明した。月末の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げが見込まれている。ただ6月の米CPIで、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数が前月比0.3%上昇し、2018年1月以来の大幅な伸びとなった。事前予想は0.2%上昇。総合指数は2カ月連続で同0.1%上昇。CMEフェドウォッチによると、15日の米短期金利先物市場で7月のフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標水準の確率は1.75〜2.00%が29.7%(前週6.4%)、2.00〜2.25%が70.3%(同93.6%)となった。0.50%利下げの見方が戻ったが、予想以上の米コアCPIを受けて0.25%利下げが優勢となっている。ただ利下げ幅は今後発表される経済指標次第になるとみられる。
第2四半期の中国の国内総生産(GDP)は、前年比6.2%増と、第1四半期の6.4%増から鈍化した。米国が関税引き上げなど圧力を強めるなか、内需、外需ともに減少し、少なくとも1992年第1四半期以来、27年ぶりの低い伸びとなった。事前予想も前年比6.2%増だった。一方、6月の中国の鉱工業生産は同6.3%増加し、5月の17年ぶりの低い伸びから回復し、事前予想(5.2%増)を上回った。小売売上高も同9.8%増と事前予想の8.3%増を上回った。自動車販売の増加が寄与した。ただ国家統計局は声明で、国外の不透明要因が増大しており、中国経済はなお複雑な環境におかれていると指摘した。一部のアナリストは持続できない可能性を指摘し、今後数カ月中にさらなる景気刺激策が打ち出されるとみている。トランプ米大統領は、中国経済の減速は米国による対中関税が「大きな影響」を与えている証しだと指摘し、米中の通商協議が再開するなか、米政府は中国に一段の圧力を加える可能性があるとけん制した。中国は交渉合意にはこれまでの関税措置を米国が撤回することが不可欠との立場を崩しておらず、交渉が難航し、合意までに時間がかかるとの見方も出ている。米国の中国製品に対する追加関税の発動が見送られ、最悪の事態は回避されたが、これまでの関税は維持する方針であり、中国経済の減速要因となっている。
欧州中央銀行(ECB)は6月の理事会の議事要旨で、「不確実性が高い」環境下でユーロ圏経済に一段の刺激策を提供する用意を整えておく必要があるとの見解で一致していたことが分かった。国際通貨基金(IMF)はユーロ圏に関する年次報告書で、ユーロ圏経済は通商を巡る緊張の高まりのほか、英国の欧州連合(EU)離脱やイタリアの債務問題などのリスクに直面しているとの見解を示し、ECBの新たな刺激策への支持を表明した。英国の与党・保守党の党首選で9日、決選投票に残った2人によるテレビ討論が行われた。EU離脱では、ジョンソン前外相が10月末の離脱を強く訴える一方、ハント外相は延期に含みを残した。決選投票は23日に結果が発表される。現時点ではジョンソン氏が優位。イングランド銀行(英中銀)は金融安定報告で、英国がEUから合意なしに離脱するリスクは増したと指摘し、そうなった場合ポンドと国債、住宅価格は急落する恐れがあると警告した。
7月15日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は5日比3.57トン増の800.54トンとなった。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ見通しを受けて投資資金が流入した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、7月9日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは24万4,763枚となり、前週の25万8,946枚から縮小した。今回は手じまい売りが6,597枚、新規売りが7,586枚出て、1万4,183枚買い越し幅を縮小した。
プラチナは米利下げ見通しや株高が支援
ニューヨーク・プラチナ期近10月限は、1日以来の高値850.6ドルを付けた。パウエル米連邦準備理事会(FRB)の議会証言を受けて月末の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げが見込まれていることや、米主要株価指数の史上最高値更新が支援要因となった。また南アの鉱山会社で賃金交渉が始まった。鉱山会社の増益を受けて鉱山労働者建設組合連合(AMCU)は高い賃金を要求しており、交渉の行方を確認したい。一方、中国経済の減速や米中の通商協議が難航するとの見方は上値を抑える要因である。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、15日のロンドンで11.53トン(5日11.27トン)、ニューヨークで22.47トン(同22.18トン)、南アで33.28トン(同33.01トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、7月9日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは6,693枚(前週9,297枚)に縮小した。手じまい売りが買い戻しを上回った。
ニューヨーク金は高値圏でレンジ相場
ニューヨーク金8月限は、1,384.7〜1,442.9ドルのレンジ相場となった。テクニカル面ではレンジをどちらに放れるかが焦点である。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が議会証言で利下げを示唆したことが支援要因となったが、予想以上の米コア消費者物価指数(CPI)に上値を抑えられた。中国経済の減速も支援要因だが、ドル高が上値を抑える要因になっている。ただ月末の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げが見込まれており、今後発表される経済指標で金融政策の見通しを確認したい。
7月15日からの週の注目ポイント
15日 | 海の日 | |
16日 | ユーロ圏貿易収支(5月) | ☆ |
独ZEW景況感指数(7月) | ☆☆ | |
米小売売上高(6月) | ☆☆☆ | |
米輸出入物価指数(6月) | ☆ | |
米鉱工業生産・設備稼働率(6月) | ☆☆ | |
米企業在庫(5月) | ☆ | |
対米証券投資(5月) | ☆☆ | |
17日 | 英消費者物価指数(6月) | ☆☆ |
英生産者物価指数(6月) | ☆☆ | |
ユーロ圏消費者物価指数(6月確報) | ☆☆☆ | |
米住宅着工・許可件数(6月) | ☆☆ | |
米地区連銀経済報告(ベージュブック) | ☆☆ | |
18日 | 米新規失業保険申請件数 | ☆☆ |
米フィラデルフィア連銀製造業景況指数(7月) | ☆☆ | |
19日 | 消費者物価指数(6月) | ☆☆☆ |
ユーロ圏国際収支(5月) | ☆ | |
米ミシガン大消費者信頼感指数(7月速報値) | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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