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金は英国のEU離脱の行方を確認
2019/10/21
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は米FRBの利下げ観測が下支え
10月14日の週のニューヨーク金市場は、米中の通商協議の進展期待が圧迫要因になったが、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測が下支えとなった。米中の通商協議で「第1段階」の合意に向けて文書作成の動きが出た。カドロー米国家経済会議(NEC)委員長は、来月チリで開催するアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で署名される可能性があると述べた。中国商務省は、可能な限り早期に段階的な合意に達し、双方の製品に対する関税の撤回を進展させたいとした。ただトランプ米大統領は、第1段階が終われば第2段階の協議を始めるとしているが、包括的な合意のめどは立っていない。国際通貨基金(IMF)は世界経済見通し(WEO)で2019年の成長率を3.0%に下方修正し、2008〜09年の金融危機以来の低い伸び率になると予想した。米中が10月15日と12月15日の制裁関税をやめた場合、抑制幅は0.8%でなく0.6%に縮小するとの見通しを示した。米中の関税措置が全て撤廃された場合、2020年末までに世界成長率が0.8%押し上げられるとの試算を示した。米国は12月15日に予定されている中国製品に対する追加関税をどうするかは今後の協議次第としており、世界経済の減速に対する懸念が強い。
9月の米小売売上高は前月比0.3%減となり、7カ月ぶりのマイナスとなった。事前予想は0.3%増。自動車が0.9%減と8カ月ぶりの大幅な落ち込みとなり、製造業部門の低迷に対する懸念が強い。米鉱工業生産指数は0.4%低下した。製造業部門が0.5%低下し、製造業の減速に対する懸念が残る。ただ米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)のストライキの影響もあり、今後発表される製造業に関する指標を確認したい。GMのストは9月15日に始まり、10月16日に暫定合意に達し、収束しつつある。また米住宅着工件数は前月比9.4%減の年率125万6,000戸となった。CMEのフェドウォッチによると、18日の米短期金利先物市場で10月のフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標水準の確率は1.50〜1.75%への利下げが91.4%(前週67.3%)、12月は1.50〜1.75%に据え置きが68.2%(同56.1%)となった。一方、第3四半期の中国の国内総生産(GDP)は前年比6.0%増と、伸び率は市場予想を下回り、1992年の四半期統計開始以来、最低だった。中国政府の予想レンジの下限にとどまったが、景気減速懸念が強い。
英国と欧州連合(EU)が離脱修正案で合意したが、英議会の承認が得られず、離脱延期を申請することになった。ただジョンソン英首相は必要な法案を上程するとしており、不透明感が強い。10月末の離脱期限を控え、合意なき離脱を回避できるかどうかが当面の焦点である。
10月18日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比2.93トン増の924.64トンとなった。英議会での欧州連合(EU)離脱修正案の承認に対する不透明感から安値拾いの買いが入った。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、10月15日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは25万3,027枚となり、前週の27万5,563枚から縮小した。今回は手じまい売りが1万5,013枚、新規売りが7,523枚出て、2万2,536枚買い越し幅を縮小した。
プラチナは金主導の値動き
ニューヨーク・プラチナ期近1月限は、金軟調につれ安となったのち、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測を受けて下げ一服となった。米中の通商協議の進展期待が出たが、国際通貨基金(IMF)が成長率見通しを下方修正し、プラチナの上値を抑える要因である。プラチナは供給過剰見通しであり、需給が改善しなければ上値は限られそうだ。一方、パラジウムの史上最高値更新が続いていることやロジウムが堅調に推移していることはプラチナの下支え要因であり、プラチナETF(上場投信)への投資資金流入が続くと、下値は限られるとみられる。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、17日のロンドンで18.19トン(前週末18.10トン)、18日のニューヨークで24.34トン(同24.05トン)、南アで31.03トン(同31.04トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、10月15日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万8,247枚(前週2万6,814枚)に拡大した。新規買いが新規売りを上回った。
ニューヨーク金は米FRBの利下げ観測で値固め
ニューヨーク金12月限は1,480.6〜1,503.0ドルでもみ合いとなった。米中の通商協議の進展期待と、弱気の米経済指標による米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測で強弱材料が交錯した。また英国と欧州連合(EU)が離脱修正案で合意したが、英議会の承認が得られず、不透明感が強い。ジョンソン英首相は必要な法案を上程するとしており、合意なき離脱を回避できるのかどうかを確認したい。テクニカル面では1日安値1,465.0ドルを支持線とした値固めの動きが続くことになりそうだ。
10月21日からの週の注目ポイント
21日 | 貿易収支(9月速報) | ☆☆ |
独生産者物価指数(9月) | ☆ | |
22日 | 日本休場 | ☆ |
米中古住宅販売統計(9月) | ☆☆ | |
23日 | 米住宅価格指数(8月) | ☆ |
24日 | 欧州中央銀行(ECB)政策金利発表 | ☆☆☆ |
ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(10月速報) | ☆☆ | |
ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数(10月速報) | ☆☆ | |
米耐久財受注(9月) | ☆☆ | |
米新築住宅販売(9月) | ☆☆☆ | |
25日 | 独ifo景況感指数(10月) | ☆☆ |
米ミシガン大消費者信頼感指数(10月確報) | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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