金・銀・プラチナ > 金・プラチナ取引とは(金・銀・プラチナの特徴) > 金・銀・プラチナについてもっと知ろう!「マーケットレポート・コラム」 > 金は株価過大評価の見方で投資資金の動向を確認
金は株価過大評価の見方で投資資金の動向を確認
2020/6/29
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は新型コロナの感染再拡大が支援
6月22日の週のニューヨーク金市場は、新型コロナウイルスの感染再拡大に対する懸念などを受けて堅調となった。期近8月限は一代高値1,796.1ドルを付けたのち、リスク回避のドル高を受けて上げ一服となったが、株安を背景に押し目は買われた。米国の1日当たりの感染者が過去最多を更新し、感染再拡大で米株価は過大評価されているとの見方が強まった。ニューヨークとニュージャージー、コネティカットの米北東部3州は24日、感染急増の地域から移動してくる人に、14日間の自己隔離を義務付けると発表した。テキサス州のアボット知事は25日、感染再拡大を受けて段階的な経済再開を一時停止するとした。テキサス州やフロリダ州は26日、感染急増を受けてバーの営業停止やレストランの入店制限強化などを命じた。経済活動再開で5月の米経済指標が改善し、V字回復に対する期待感も出ていたが、ロックダウン(投資封鎖)が再導入されると、景気低迷見通しが強まることになりそうだ。ゴールドマン・サックスが金価格見通しで12カ月見通しを2,000ドル(従来予想1,800ドル)に上方修正するなか、プライベートバンクが富裕層に金投資を助言しており、金ETF(上場投信)への投資資金流入が続くと、引き続き上値を試すことになりそうだ。
国際通貨基金(IMF)は、2020年の世界経済成長率見通しをマイナス4.9%とし、4月時点のマイナス3%から下方修正した。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が経済活動にもたらした打撃が当初の予想以上に幅広く深刻との見方を示した。米ジョンズ・ホプキンス大学によると、世界中の新型コロナウイルスの感染者は累計1,000万人を突破し、死者は50万人に迫っている。米南部に加え、中南米やインドでも感染者が増加しており、収束の兆しは見られない。新型コロナウイルスは高温多湿や紫外線に弱く、夏になれば感染が減少するとの楽観的な見方もあったが、感染拡大は続いており、ワクチンが開発されるまで収束は難しいとみられる。
米中対立に対する懸念も金の支援要因である。米上院は25日、香港の自治の制限に関与した個人や企業に制裁を科すことを定めた香港自治法案を可決した。発起人の議員は、香港の自治を損なうような行動を取れば重大な結果をもたらすという明確なメッセージを中国政府に送ることになると表明した。法案成立には米下院の承認と米大統領の署名が必要だが、中国の反応などを確認したい。一方、ナバロ米大統領補佐官が「中国との通商合意は終わり」と述べ、米中対立に対する懸念からリスク回避の動きとなる場面も見られ、米中関係の行方を確認したい。ただその後に発言が否定され、トランプ米大統領が「中国との貿易合意は全く損なわれていない」とツイートし、リスク回避の動きは一服した。
6月26日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比19.58トン増の1,178.90トンとなった。新型コロナウイルス感染が増加するなか、プライベートバンクが富裕層に金投資を助言するなか、投資資金が流入した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、6月23日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは25万1,957枚となり、前週の22万4,348枚から拡大した。今回は新規買いが3万1,064枚、新規売りが3,455枚出て2万7,609枚買い越し幅を拡大した。
プラチナはリスク回避もタイトな需給が下支え
ニューヨーク・プラチナ期近10月限はリスク回避の動きを受けて戻りを売られ、15日以来の安値800.4ドルを付けた。新型コロナウイルスの感染再拡大を受けてリスク回避の動きとなり、株安・ドル高が圧迫要因になった。ただ経済活動再開や南アの鉱山会社の生産減少でタイトな需給が下支えとなっており、800ドル付近では買い戻しなどが入りやすい。一方、株価が過大評価されているとの見方が強まるなか、ニューヨークの指定倉庫在庫が増加しており、実需筋の売りが続くと、一段安の可能性も残る。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、24日のロンドンで16.53トン(前週末16.50トン)、26日のニューヨークで27.90トン(同26.43トン)、25日の南アで20.79トン(同20.83トン)となった。強弱材料が交錯するなか、銘柄ごとにまちまちの動きとなった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、6月23日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万7,763枚となり、前週の1万9,111枚から縮小した。手じまい売り・新規売りが出た。
ニューヨーク金は逃避買いで一代高値更新
ニューヨーク金8月限は新型コロナウイルスの感染が再拡大するなか、逃避買いなどが入って一代高値1,796.1ドルを付けた。その後はリスク回避のドル高に上値を抑えられたが、株安を受けて押し目を買われた。感染再拡大で株価が過大評価されているとの見方が出ており、金への逃避買いが続くと、1,800ドルの節目を試すとみられている。
6月29日からの週の注目ポイント
29日 | 小売業販売額(5月速報) | ☆ |
独消費者物価指数(6月速報) | ☆☆ | |
米中古住宅販売仮契約指数(5月) | ☆☆ | |
30日 | 失業率(5月) | ☆☆ |
鉱工業生産指数(5月速報) | ☆☆ | |
中国製造業購買担当者景況指数(6月) | ☆☆ | |
英国内総生産(1-3月期確報値) | ☆☆☆ | |
ユーロ圏消費者物価指数(6月速報) | ☆☆☆ | |
米S&Pケース・シラー住宅価格指数(4月) | ☆☆ | |
シカゴ購買部協会景気指数(6月) | ☆☆ | |
米消費者信頼感指数(6月) | ☆☆ | |
1日 | 香港、カナダ休場 | ☆ |
中国財新製造業購買担当者景況指数(6月) | ☆☆ | |
独雇用統計(6月) | ☆☆ | |
ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(6月確報) | ☆☆ | |
全米雇用報告(6月) | ☆☆☆ | |
米ISM製造業景況指数(6月) | ☆☆☆ | |
米FOMC議事録公表 | ☆☆☆ | |
2日 | ユーロ圏生産者物価指数(5月) | ☆☆ |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
米貿易収支(5月) | ☆☆ | |
米雇用統計(6月) | ☆☆☆ | |
米製造業新規受注(5月) | ☆☆ | |
3日 | 米国休場 | ☆ |
中国財新サービス業購買担当者景況指数(6月) | ☆☆ | |
ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数(6月確報) | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
金・銀・プラチナについてもっと知ろう!
当コラムに関してご留意頂きたい事項
- 当コラムは投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定はお客さまご自身の判断でなさるようお願いいたします。
- 当資料に示す意見等は、特に断りのない限り当資料作成日現在の(株)ミンカブ・ジ・インフォノイドの見解です。当資料に示されたコメント等は、当資料作成日現在の見解であり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
- 本資料は当社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、完全性等について保証・約束するものではありません。
ご注意事項
- 買付時の手数料は、売買代金の2.2%(税込)、売却時の手数料は無料です。
- 本取引は金・銀・プラチナの価格変動により、投資元本を割り込むことがあります。
- 本取引は、政治・経済情勢の変化および各国政府の貴金属地金取引への規制等による影響を受けるリスクがあります。
また、かかるリスクが顕在化した場合、当社の提供するサービスの全部、または一部が変更、停止されるリスクがあります。 - 本取引は為替相場の変動により損失を被ることがあります。
- 本取引は、システム機器、通信機器等の故障等、不測の事態による取引の制限が生じるリスクがあります。
- 本取引は売値(Bid:お客さまが売ることの出来る値段)と買値(Ask:お客さまの買うことのできる値段)の差(スプレッド)があります。
- スプレッドは固定されるものではなく、需給バランスや、政治・経済情勢の変化にともない、当社の任意で変更いたします。