金・銀・プラチナ > 金・プラチナ取引とは(金・銀・プラチナの特徴) > 金・銀・プラチナについてもっと知ろう!「マーケットレポート・コラム」 > 金はリスク回避に対する警戒感に上値を抑えられる
金はリスク回避に対する警戒感に上値を抑えられる
2021/2/1
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は銀の投機的な値動きも確認
1月25日の週のニューヨーク金市場は、ドル安見通しが下支えになったが、欧州諸国の制限措置延長でリスク回避の動きに対する警戒感に上値を抑えられた。中心限月となる4月限は8日以来の高値1,878.9ドルを付けたのち、上げ一服となった。ドイツ政府は、今年の経済成長率見通しを3.0%と昨秋時点の4.4%から大幅に引き下げた。新型コロナウイルスの感染抑制に向けて導入した2回目のロックダウン(都市封鎖)措置が要因となった。ジョンソン英首相は新型コロナウイルス感染拡大防止に向けて導入しているロックダウン措置を少なくとも3月8日まで維持するとし、ポルトガルとデンマークも制限措置を延長しており、短期的な景気の下振れリスクが残っている。ただ欧州中央銀行(ECB)は新型コロナウイルスで打撃を受けている域内経済に対し、利下げによる押し上げ効果はほとんど期待できないとした。利下げ観測の後退からドル安に振れる場面も見られた。
米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利を現行のゼロ%近辺に据え置くと同時に、国債などを買い入れる量的緩和も現行水準を維持すると全会一致で決定した。声明文では、経済活動と雇用の回復ペースはここ数カ月間で鈍化し、パンデミックによって最も悪影響を受けた業種が特に脆弱になっている、とされた。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は高水準の緩和状態が非常に適切と述べており、低金利が長期間続く見通しである。ただ景気減速に対する懸念が出ており、リスク回避の動きが警戒された。今週は1月の米雇用統計の発表がある。事前予想は非農業部門雇用者数が5万人増と8カ月ぶりに悪化した前月の14万人減から回復するとみられている。
銀市場で投機的な動きが出ており、金が乱高下する場面も見られた。米株式市場でゲームストップなどの売り玉が狙われて高騰した動きが、銀ETF(上場投信)のアイシェア・シルバー・トラスト(SLV)でも起きた。個人投資家らが掲示板でSLVの買いを促していたという。ネット証券のロビンフッドがゲームストップなどの取引を制限し、個人投資家から批判が殺到すると、取引を限定的に認めるとした。貴金属は上昇すると、現物が出てくることが上値を抑える要因となるため、株式のように急騰するのは難しいとみられる。ただ銀で投機的な動きが続くと、金の乱高下も続きやすい。
1月29日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比13.12トン減の1,160.13トンとなった。ドル安見通しが下支えだが、リスク回避の動きに対する警戒感を受けて投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、1月26日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは25万7,546枚となり、前週の24万6,638枚から拡大した。今回は新規買いが6,025枚、買い戻しが4,883枚入り、1万0,908枚買い越し幅を拡大した。
プラチナはリスク回避警戒で調整局面が続く
ニューヨーク・プラチナ4月限は、リスク回避の動きに対する警戒感を受けて調整局面を継続し、12日以来の安値1,049.5ドルを付けた。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて欧州諸国が制限措置延長を発表した。ただ欧州中央銀行(ECB)は3月末までの解除を見込んでおり、中長期の景気回復見通しに変わりはない。ワクチンが普及するとともに北半球で寒さが和らぐと感染拡大が落ち着くとみられる。しかし、感染力の強い変異種で見通しが変わる可能性もあり、今後の感染拡大の行方を確認したい。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、28日のロンドンで19.31トン(前週末19.29トン)、ニューヨークで39.45トン(同39.44トン)、南アで16.07トン(同16.07トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、1月26日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万9,538枚(前週2万7,886枚)に拡大した。
ニューヨーク金はレンジ相場を形成
ニューヨーク金4月限は1,804.7〜1,878.9ドルの新たなレンジを形成した。米連邦準備理事会(FRB)の量的緩和でドル安が見込まれていることが支援要因だが、欧州諸国の制限措置延長でリスク回避の動きに対する警戒感が出ていることに上値を抑えられた。200日移動平均線に上値を抑えられ、金ETF(上場投信)から投資資金が流出したことも上値を抑える要因である。今週は米雇用統計などの発表があり、短期的な景気の下振れリスクが意識されると、手じまい売り主導で一段安となる可能性もある。
2月1日からの週の注目ポイント
1日 | 中国財新製造業購買担当者景況指数(1月) | ☆☆ |
ユーロ圏雇用統計(12月) | ☆☆ | |
米ISM製造業景況指数(1月) | ☆☆☆ | |
2日 | オーストラリア準備銀行政策金利発表 | ☆☆☆ |
ユーロ圏域内総生産(10-12月期速報) | ☆☆☆ | |
3日 | 中国財新サービス業購買担当者景況指数(1月) | ☆☆ |
ユーロ圏消費者物価指数(1月速報) | ☆☆☆ | |
全米雇用報告(1月) | ☆☆☆ | |
米ISM非製造業景況指数(1月) | ☆☆☆ | |
4日 | ユーロ圏小売売上高(12月) | ☆☆ |
英中銀政策金利発表 | ☆☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
米製造業新規受注(12月) | ☆☆ | |
5日 | 全世帯家計調査・消費支出(12月) | ☆ |
独製造業受注(12月) | ☆☆ | |
米貿易収支(12月) | ☆☆ | |
米雇用統計(1月) | ☆☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
金・銀・プラチナについてもっと知ろう!
当コラムに関してご留意頂きたい事項
- 当コラムは投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定はお客さまご自身の判断でなさるようお願いいたします。
- 当資料に示す意見等は、特に断りのない限り当資料作成日現在の(株)ミンカブ・ジ・インフォノイドの見解です。当資料に示されたコメント等は、当資料作成日現在の見解であり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
- 本資料は当社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、完全性等について保証・約束するものではありません。
ご注意事項
- 買付時の手数料は、売買代金の2.2%(税込)、売却時の手数料は無料です。
- 本取引は金・銀・プラチナの価格変動により、投資元本を割り込むことがあります。
- 本取引は、政治・経済情勢の変化および各国政府の貴金属地金取引への規制等による影響を受けるリスクがあります。
また、かかるリスクが顕在化した場合、当社の提供するサービスの全部、または一部が変更、停止されるリスクがあります。 - 本取引は為替相場の変動により損失を被ることがあります。
- 本取引は、システム機器、通信機器等の故障等、不測の事態による取引の制限が生じるリスクがあります。
- 本取引は売値(Bid:お客さまが売ることの出来る値段)と買値(Ask:お客さまの買うことのできる値段)の差(スプレッド)があります。
- スプレッドは固定されるものではなく、需給バランスや、政治・経済情勢の変化にともない、当社の任意で変更いたします。