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金はドル安が支援もインフレに対する見方を確認
2021/4/12
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金はETFの投資資金の動向も焦点
4月5日の週のニューヨーク金市場は、米国債の利回り低下によるドル安などを受けて堅調となった。中心限月となる6月限は2月26日以来の高値1,759.4ドルを付けた。米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では経済は改善しているものの、米連邦準備理事会(FRB)が見据える目標の達成には程遠いほか、新型コロナウイルスによるリスクが根強く、先行きはなお「極めて不確実」という見方が示された。パウエル米FRB議長のハト派的な発言もあり、低金利が継続されるとの見方が強い。ただ米中の生産者物価指数(PPI)の大幅上昇を受けてインフレリスクに対する警戒感が出ている。3月の中国PPIは前年比4.4%上昇し、2018年7月以来の高い伸びとなった。事前予想は3.6%上昇。米PPIは前月比1.0%上昇、前年同月比4.2%上昇し、事前予想の前月比0.5%上昇、前年比3.8%上昇を上回った。前年同月比の伸びは2011年9月以来の高水準となった。今週は3月の米消費者物価指数(CPI)などの発表があり、インフレに対する見方を確認したい。
国際通貨基金(IMF)は世界経済見通しで、今年の世界の成長率予想を6%に上方修正した。前回は5.5%。米国で1兆9,000億ドル規模の追加経済対策が成立したことなどを受けて1976年以降で最も高い成長率を見込んでいる。景気回復期待を背景に金ETF(上場投信)から投資資金の流出が続いていることは金の上値を抑える要因である。バイデン米大統領がインフラ投資計画と企業増税を発表しており、米議会で協議の行方も焦点である。
米上院外交委員会の指導者らは8日、中国に対抗するための「2021年の戦略的競争法」と題した法案を公表した。中国との経済的な競争に加え、ウイグル族などイスラム系少数民族に対する扱いや香港での反政府デモの抑圧、南シナ海での挑発的行為を含む、人道的、民主的価値観を推進する。14日に審議を行う。米国は同盟国に対して、中国の「攻撃的で積極的な態度」を抑制するように促すべきだと主張している。米ホワイトハウスは9日、台湾周辺で拡大している中国の軍事行動が同地域の「不安定化」を招く恐れがあるとし、中国の動きを注視しているとした。欧米諸国と中国の対立が金市場で材料視されるかどうかも確認したい。
4月9日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比6.76トン減の1,026.07トンとなった。景気回復見通しなどを背景に戻り場面で投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、4月6日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは18万9,509枚となり、前週の16万7,528枚から拡大した。今回は新規買いが1万2,250枚、買い戻しが9,731枚入り、2万1,981枚買い越し幅を拡大した。
プラチナは米景気回復期待が支援
ニューヨーク・プラチナ7月限はドル安や景気回復期待を受けて堅調となり、2月25日以来の高値1,252.5ドルを付けた。3月16日の戻り高値1,244.0ドルを上回り、テクニカル面で堅調である。ただ欧州の景気の先行き懸念が残っていることが上値を抑える要因である。欧州連合(EU)の医薬品当局が英アストラゼネカの新型コロナウイルスワクチンとまれな血栓症の発症が関連している可能性があると指摘しており、ワクチンの副作用と接種の行方も確認したい。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、8日のロンドンで19.13トン(前週末19.26トン)、ニューヨークで39.82トン(同40.13トン)、南アで16.36トン(同16.36トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、4月6日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは3万2,748枚(同3万0,606枚買い越し)に拡大した。
ニューヨーク金はテクニカル改善も景気回復見通しが圧迫
ニューヨーク金6月限はダブルボトムを形成したのち、ネックラインとなる3月18日の高値1,756.1ドルを上回り、2月26日以来の高値1,759.4ドルを付けた。米連邦準備理事会(FRB)の低金利継続見通しを背景としたドル安が支援要因になった。ただ米中の生産者物価指数(PPI)の大幅上昇でインフレリスクに対する懸念が出たことが上値を抑える要因になった。今週は3月の米消費者物価指数(CPI)などの発表があり、インフレに対する見方を確認したい。
4月12日からの週の注目ポイント
12日 | 英鉱工業生産指数(2月) | ☆☆ |
ユーロ圏小売売上高(2月) | ☆☆ | |
米財政収支(3月) | ☆☆ | |
13日 | 中国貿易収支(3月) | ☆☆ |
独ZEW景況感指数(4月) | ☆☆ | |
米消費者物価指数(3月) | ☆☆☆ | |
14日 | 機械受注(2月) | ☆☆ |
NZ準備銀行政策金利公表 | ☆☆☆ | |
ユーロ圏鉱工業生産(2月) | ☆☆ | |
米輸出入物価指数(3月) | ☆ | |
米地区連銀経済報告(ベージュブック) | ☆☆ | |
15日 | 独消費者物価指数(3月確報) | ☆☆ |
米小売売上高(3月) | ☆☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
米ニューヨーク連銀製造業景況指数(4月) | ☆☆ | |
米フィラデルフィア連銀製造業景況指数(4月) | ☆☆ | |
米鉱工業生産・設備稼働率(3月) | ☆☆ | |
米企業在庫(2月) | ☆ | |
対米証券投資(2月) | ☆☆ | |
16日 | 中国国内総生産(1-3月期) | ☆☆☆ |
中国小売売上高(3月) | ☆☆ | |
中国鉱工業生産(3月) | ☆☆ | |
ユーロ圏消費者物価指数(3月確報) | ☆☆☆ | |
米住宅着工・許可件数(3月) | ☆☆ | |
米ミシガン大消費者信頼感指数(4月速報) | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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