皆さん、こんにちは。
米連邦準備制度理事会(FRB)は14日、15日の両日に開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を年0.50〜0.75%から年0.75〜1.00%に引き上げました。政策金利の引き上げに対する採決では投票権のある10人のうち、イエレンFRB議長を含む9人が賛成しました。昨年12月時点と同じ年内計3回の利上げを想定していることが明らかになりました。年内4回の利上げの可能性もあるとみていた市場関係者にとっては、想定していたほど「タカ派」的な内容ではなく、「ハト派」的な内容となりました。
NYダウはFOMCの結果が「ハト派」的な内容だったことによる安心感から買いが優勢となり反発しました。ただ、週末にかけてはFOMCなどの注目イベントが通過したことなどから利益確定売りが優勢となったようです。
オランダで15日に行われた議会下院選挙では、ルッテ首相率いる与党の中道右派、自由民主党が第1党を維持しました。移民の受け入れの是非などを争点に行われましたが、ナショナリズム拡大を懸念する欧州の各国政府にとっては安心感をもたらす結果となりました。
一先ず大きな波乱も無くオランダの選挙は終わりました。2017年の欧州は「選挙イヤー」となっており、4月、5月にはフランス大統領選挙、6月にはフランス国民議会選挙、そして秋にはドイツ議会選挙が予定されています。
米国のトランプ大統領とドイツのメルケル首相との首脳会談は注目度が高かったが、会談後の記者会見では、通商政策などの言及はあったものの目新しさはなく、相場への影響は限定的だったようです。
日銀は16日の金融政策決定会合で金融政策の現状維持を決めました。黒田東彦総裁の記者会見でも新たな売買材料が無く、円買いドル売りの動きとなったようです。市場関係者の間では、学校法人「森友学園」を巡る寄付金疑惑が安倍晋三首相にも飛び火するとの懸念から、投資家がリスク回避に動いたとの見方も出ているようです。
ドイツで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は18日に閉幕し、「経済に対する貿易の貢献の強化に取り組んでいる」と共同声明では表現しました。米国が求めていた公正な貿易を確実にするといった具体的な約束は盛り込まれなかったものの、前回まで共同声明にあった「あらゆる形態の保護主義に対抗する」との文言は削除され、国際協調においては明らかに亀裂が入った形となりました。
G20に初めて出席したムニューシン米財務長官は、日本が警戒していた通貨問題はあっさりと過去の声明文の踏襲を認めましたが、トランプ時代のG20は今後も波乱の様相となりそうです。振り回されないようにチャート分析に基づいて売買していきましょう。
週間の概況
◆注目イベント
3月22日(水)(日本) 日銀金融政策決定会合議事要旨(1月30・31日開催分)
3月22日(水)(日本)2月貿易収支(財務省)
3月22日(水)(米国)1月住宅価格指数
3月22日(水)(米国)2月中古住宅販売件数
3月22日(水)(NZ)RBNZオフィシャル・キャッシュレート
3月23日(木)(英国)2月小売売上高
3月23日(木)(米国)新規失業保険申請件数
3月23日(木)(米国)2月新築住宅販売件数
3月23日(木)(ユーロ圏)3月消費者信頼感・速報値
3月24日(金)(仏国)10-12月期GDP・確報値
3月24日(金)(仏国)3月製造業PMI・速報
3月24日(金)(仏国)3月サービス業PMI・速報
3月24日(金)(独国)3月製造業PMI・速報
3月24日(金)(独国)3月サービス業PMI・速報
3月24日(金)(ユーロ圏)3月製造業PMI・速報
3月24日(金)(ユーロ圏)3月サービス業PMI・速報
3月24日(金)(加国)2月消費者物価指数
3月24日(金)(米国)2月耐久財受注
3月27日(月)(独国)3月Ifo景況感指数
3月28日(火)(米国)2月卸売在庫
3月28日(火)(米国)3月リッチモンド連銀製造業指数
FOMCやオランダ議会選挙、G20が終わり、重要イベントが通過した後のマーケットの動向が気になるところです。一先ず、22日、23日の米住宅関連指標や23日の新規失業保険申請件数の結果に注目しましょう。
チャート分析による銘柄診断
日経225分析
※移動平均線大循環分析の見方はこのレポートの最後にまとめてあります。ご参照ください。
◆現在のステージ
ステージ1
ステージ1は安定上昇期です。ステージ1からステージ2、そして、逆行してステージ1と押し目買いの流れが断続的に続いています。
◆今後を読み取る鍵
1→2→1の押し目買いの流れが断続的に続いています。帯の傾きは小さいながらも上向きを維持していますが、短期移動平均線は下向きになってきています。
・安定上昇期のトレンドに勢いが出るには、短期移動平均線が上向き、中期移動平均線と長期移動平均線の帯に傾きが出てきて、帯が拡大してきます。
・下降トレンドに移行する場合は短期移動平均線が帯を下抜けていきます。
そこに注目していきましょう。
◆重要な価格
高値19,671円 安値18,990円
※抵抗線・支持線となりやすい価格です。そこを突破することに意味があります。
NYダウ分析
※移動平均線大循環分析の見方はこのレポートの最後にまとめてあります。ご参照ください。
◆現在のステージ
ステージ1
ステージ1は安定上昇期です。帯に傾きが出ており間隔も広がっており、トレンドに勢いが出ている状態が続いています。
◆今後を読み取る鍵
帯の状態からトレンドに勢いがあるのが分かります。短期移動平均線は下向きとなっていましたが、ステージ1を維持して上向きに戻ってきています。
・短期移動平均線が更に上向きとなればトレンドの勢いの強さが継続します。
・下降トレンドに移行する場合は短期移動平均線が帯を下抜けていきます。
そこに注目していきましょう。
◆重要な価格
高値21,193ドル 安値19,682ドル
※抵抗線・支持線となりやすい価格、そこを突破することに意味があります。
小次郎講師のVトレーダー養成講座
先週は競馬の問題を出題しました。
馬券は1枚100円とします。配当は1着になった場合、100円が幾らになって返ってくるかということです。150円の配当であれば100円が150円になって返ってきて50円の儲けになるという計算です。
- 1番人気Aは、勝率60%、配当150円です。
- 2番人気Bは、勝率40%、配当300円です。
- 3番人気Cは、勝率25%、配当500円です。
これをエッジのある順番に並べましょう。
一番人気Aのエッジを計算すると、勝率×平均利益(勝率は60%、平均利益は配当150円から馬券100円を引いた分の50円)は30円、負ける確率×平均損失(負ける確率40%、平均損失は1回の馬券代である100円)は40円です。
つまり、60%×50円−40%×100円となり、一番人気Aのエッジは、30円−40円=−10円となります。
二番人気のBのエッジは、40%×(300円−100円)−60%×100円=80円−60円=20円となります。
三番人気のCのエッジは、25%×(500円−100円)−75%×100円=100円−75円=25円となります。
Aは−10円、Bは20円、Cは25円ですので、これをエッジのある順番に並べると、C、B、Aとなります。また、一番人気のAだけはマイナスとなっておりエッジが効いていません。よって、一番人気のAだけは買ってはいけない馬となります。
上記で求めた数値は「期待値」です。同じ確率の賭けを続けていると、1回当たり幾らの利益または損失につながるかが分かります。
「期待値」ですので、毎回利益を稼ぎ出すわけではありません。大数の法則に基づき、三番人気のCに賭け続けた場合、100回なら2,500円(25円×100回)の利益が期待でき、1,000回ならば25,000円の利益が期待できることを意味します。
勝利の方程式で求められるトレードエッジとは「期待値」のことです。その数値が大きくなればなるほど1回の利益が大きくなります。
本当に重要ですので何度も繰り返しますが、トレーダーが注目するべきことは、勝率ではなく、期待値が高いかどうかです。そして、期待値の高いものを見つけて、そのトレードを繰り返すことです。
「Vトレーダー」を目指して、一歩ずつ着実にレベルアップしていきましょう。
移動平均線大循環分析の見方(簡易版)
移動平均線大循環分析とは?
3本の移動平均線の並び順と傾きで現状を分析し、今後の展開を予測する指標です。価格変動の中で買いにエッジ(優位性)が発生する局面、売りにエッジが発生する局面を見つけ出すことができます。
<移動平均線大循環分析>
ステージとは?
3本の線の並び順は全部で6種類。それをステージ1から6と名付けました。(下図参照)
価格変動の中でステージは基本的に時計回りで推移し、ときに一時的に反時計回りで推移します。
つまり現在がステージ1だとすると、次に移行するのはステージ2というのが基本で、ときにステージ6に戻ることがあるということです。これ以外の展開はありません。これにより今後の展開が読みやすくなります。
売買チャンス
ステージ1で3本の線が右肩上がりのときは買いトレードにエッジ(優位性)があります。ステージ4で3本の線が右肩下がりのときは売りトレードにエッジがあります。
帯
移動平均線大循環分析において中期移動平均線と長期移動平均線の間を「帯(おび)」と言います。帯は大局トレンドの状態を示します。
帯による分析
帯が傾きを持ち間隔が広がっている状態が、トレンドが勢いを持っている状態です。間隔が狭まったり傾きが緩やかになるとトレンドが勢いを失ったことがわかります。またもみあい相場では帯は横這いとなり、細くなります。
価格及び短期移動平均線が帯の上にいるのが買い時代、帯の下にいるのが売り時代を表します。
- ※3本の移動平均線は短期5日、中期20日、長期40日のEMA(指数平滑移動平均線)を利用しています。