皆さん、こんにちは。
トランプ米政権が医療保険制度改革法(オバマケア)の代替法案が事実上の撤回に追い込まれた事により、政権の実行力に対する懸念がマーケットには根強く残っているようです。
一方で、米経済指標は好調を維持しており、消費者景気信頼感指数は2000年12月以来の高水準となりました。昨年10月〜12月期の米実質GDP確定値は、季節調整済み年率換算で前期比2.1%増となり、改定値(1.9%増)から上方修正されました。とりわけ、GDPの約7割を占める個人消費が3.5%増(改定値3.0%増)と堅調でした。
米ボストン連銀のローゼングレン総裁は「今年計4回の利上げが、緩やかな引き上げに相当する」と発言しました。サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁は「今年の利上げ回数が計3回超になることを排除しない」と明言しました。これらの発言は米連邦準備制度理事会(FRB)による追加利上げペースの加速観測の再燃につながりました。
米ニューヨーク連銀のダドリー総裁はテレビインタビューで、「年内の利上げはデータ次第で、あと2回の想定は合理的だが、変動要因を除いたコアの物価上昇率は2%を下回っており、金利正常化を急ぐ必要はない」と発言し、今度は一遍して利上げペースの加速観測後退につながりました。
トランプ政権の運営懸念の高まりと、米経済指標の好調との強弱材料が交錯し、FRB高官の発言も一貫性がなく、NYダウは約5年8カ月ぶりの長さとなる8営業日連続の下落となりました。続落の後に反動高となってからは一進一退の動きとなっています。
4月27日に開催される欧州中央銀行(ECB)の定例理事会で金融引き締めに向けた政策メッセージを新たに変更することに慎重になっているとの報道があり、今後のユーロの波乱要因になりそうです。
マーケットの目線は、4月から始まる決算シーズンに移行しつつあるようですが、今回のオバマケア代替法案に反対した共和党の「フリーダム・コーカス」は予想以上に強硬だったために、今後のトランプ政権の大規模な減税策やインフラ投資にも反対するのではないかという市場関係者の懸念はあるようです。
4月6、7日は、米国のトランプ大統領と中国の習近平国家主席が米国南部のフロリダ州で、トランプ氏就任後初めての米中首脳会談が予定されています。首脳会談では北朝鮮の核・ミサイル開発や南シナ海情勢、通商・為替政策などが主要議題となるとのことですので、場合によっては対立する可能性もありますので注目していきましょう。
週間の概況
◆注目イベント
4月5日(水)(英国)3月サービス業PMI
4月5日(水)(米国)3月ADP全国雇用者数
4月5日(水)(米国)3月ISM非製造業景況指数
4月5日(水)(米国)FOMC議事録
4月6日(木)(独国)2月製造業受注
4月6日(木)(米国)3月チャレンジャー人員削減予定数
4月6日(木)(加国)2月建設許可件数
4月6日(木)(米国)新規失業保険申請件数
4月7日(金)(独国)2月鉱工業生産
4月7日(金)(独国)2月貿易収支
4月7日(金)(独国)2月経常収支
4月7日(金)(英国)2月鉱工業生産
4月7日(金)(英国)2月製造業生産
4月7日(金)(英国)2月貿易収支
4月7日(金)(英国)3月国立経済研究所(NIESR)GDP
4月7日(金)(米国)3月雇用統計
4月7日(金)(米国)3月卸売売上高
4月7日(金)(米国)2月卸売在庫
4月7日(金)(米国)2月消費者信用残高
4月10日(月)(日本)2月国際収支-経常収支
4月10日(月)(日本)2月国際収支-貿易収支
4月10日(月)(日本)3月景気ウォッチャー調査
4月11日(火)(英国)3月消費者物価指数
4月11日(火)(英国)3月小売物価指数
4月11日(火)(英国)3月生産者物価指数
4月11日(火)(ユーロ圏)2月鉱工業生産
4月11日(火)(ユーロ圏)4月ZEW景気期待指数
4月11日(火)(独国)4月ZEW景気期待指数
米国のFOMC議事録の内容での利上げに関する文言に注目です。米国の雇用統計は非常に重要です。その前に発表される3月ADP全国雇用者数と新規失業保険申請件数の結果にも注目しましょう。
チャート分析による銘柄診断
日経225分析
※移動平均線大循環分析の見方はこのレポートの最後にまとめてあります。ご参照ください。
◆現在のステージ
ステージ4
ステージ4は下降期となります。帯に傾きが出て間隔が広がるかどうかに注目しましょう。
◆今後を読み取る鍵
ステージ3からステージ4へ移行してきました。安定下降期となるのかどうかに注目です。
・上昇トレンドに移行する場合は短期移動平均線が帯を上抜けていきます。
・帯に傾きが出て間隔が広がってくれば下降トレンドに勢いが出てきます。
そこに注目していきましょう。
◆重要な価格
高値19,671円 安値18,643円
※抵抗線・支持線となりやすい価格です。そこを突破することに意味があります。
NYダウ分析
※移動平均線大循環分析の見方はこのレポートの最後にまとめてあります。ご参照ください。
◆現在のステージ
ステージ2
ステージ2は安定上昇期の終焉です。短期移動平均線と帯の関係に注目です。
◆今後を読み取る鍵
短期移動平均線は横向きとなっており、帯の上下どちらに抜けてくるかです。このまま順行してステージ3へ移行するのか、逆行してステージ2からステージ1に移行して1→2→1の押し目買いになるのかを見極めていきましょう。
・上昇トレンドに移行する場合は短期移動平均線が帯を上抜けていきます。
・下降トレンドに移行する場合は短期移動平均線が帯を下抜けていきます。
そこに注目していきましょう。
◆重要な価格
高値21,193ドル 安値19,682ドル
※抵抗線・支持線となりやすい価格、そこを突破することに意味があります。
小次郎講師のVトレーダー養成講座
先週はリスクリワード(RR)比率について勉強しました。RR比率は、勝率との関係をみて、どういう状態であれば勝てる状態なのかを教えてくれます。
勝率がすべての初心者トレーダーは、全体のトレードでの損益では負けてしまうケースが多いようです。勝率至上主義のトレーダーになってしまうと、勝つための要素のひとつでしかない勝率にこだわり過ぎて、自らの投資行動を歪める傾向があります。
例えば、「利益は僅かしかないのに損失回避から利益確定を急ぐ」などはその典型です。
実際には、利益確定を遅らせることで、より大きな利益を得られることもあるはずです。しかし、勝率至上主義のトレーダーは、利益の大小ではなく勝率にこだわります。それゆえに、利益確定を遅らせることで、今ある利益が損失になって勝率が下がることを極端に恐れるのです。
その一方で、ポジションを取った後に思惑が外れて含み損が出ると、いつまでも損切りをせずに我慢してしまいます。本来ならば、早く損切りをするという選択肢もあるはずです。勿論、我慢しているうちに含み損が含み益に転換する可能性は否定できません。しかし、往々にして含み損が更に広がり大きな損切りにつながるケースの方が多いのです。
勝率を重視し過ぎて利益が小さく、損失が大きい損大利小のトレーダーからは卒業し、RR比率を理解して損小利大のトレーダーを目指しましょう。
トレードで勝つための鉄則は「損小利大」です。損切りは早めに、利は伸ばせるだけ伸ばすことで実現します。多くの日本人トレーダーは、勝率重視の意識が強く、損切りを早めに行うというのが難しいようです。その一方で勝率と並んで重要な「RR比率」は殆どの方が知りません。
リスクリワード比率の計算式は、RR比率=平均利益÷平均損失、となっています。RR比率が1よりも大きいということは、トレード1回当たりの利益(平均利益)は同じく1回当たりの損失(平均損失)を上回っていることですので、すなわち損小利大のトレードとなります。逆に1未満であれば損大利小です。
このRR比率と勝率の関係を理解することで初めて「どういう状態が勝てる状態か」を知ることになるのです。
次週はRR比率をもっと意識できるように、更に掘り下げていきましょう。
移動平均線大循環分析の見方(簡易版)
移動平均線大循環分析とは?
3本の移動平均線の並び順と傾きで現状を分析し、今後の展開を予測する指標です。価格変動の中で買いにエッジ(優位性)が発生する局面、売りにエッジが発生する局面を見つけ出すことができます。
<移動平均線大循環分析>
ステージとは?
3本の線の並び順は全部で6種類。それをステージ1から6と名付けました。(下図参照)
価格変動の中でステージは基本的に時計回りで推移し、ときに一時的に反時計回りで推移します。
つまり現在がステージ1だとすると、次に移行するのはステージ2というのが基本で、ときにステージ6に戻ることがあるということです。これ以外の展開はありません。これにより今後の展開が読みやすくなります。
売買チャンス
ステージ1で3本の線が右肩上がりのときは買いトレードにエッジ(優位性)があります。ステージ4で3本の線が右肩下がりのときは売りトレードにエッジがあります。
帯
移動平均線大循環分析において中期移動平均線と長期移動平均線の間を「帯(おび)」と言います。帯は大局トレンドの状態を示します。
帯による分析
帯が傾きを持ち間隔が広がっている状態が、トレンドが勢いを持っている状態です。間隔が狭まったり傾きが緩やかになるとトレンドが勢いを失ったことがわかります。またもみあい相場では帯は横這いとなり、細くなります。
価格及び短期移動平均線が帯の上にいるのが買い時代、帯の下にいるのが売り時代を表します。
- ※3本の移動平均線は短期5日、中期20日、長期40日のEMA(指数平滑移動平均線)を利用しています。