皆さん、こんにちは。
1914年までロシア帝国の首都であったロシアの大都市サンクトペテルブルクの地下鉄で爆破テロが発生しました。米国は化学兵器の使用が疑われるシリアのアサド政権軍に対し、空軍基地を巡航ミサイル「トマホーク」で攻撃しました。これらのニュースにより投資家はリスク回避の動きを見せました。
米連邦準備制度理事会(FRB)は連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨(3月14日、15日両日開催分)を公表しました。大部分の参加者が、フェデラルファンド(FF)金利の漸進的な上昇が継続すると予想し、また、大半の参加者が過去の量的緩和で膨らんだ約4.5兆ドルもの保有資産の縮小を、年内に開始するのが適切であると考えていたことが判明しました。
米国のトランプ大統領と中国の習近平国家主席は、フロリダ州の高級別荘「マールアラーゴ」で2日間の首脳会談を行いました。両首脳は外交・安全保障や経済などで両国関係を発展させることで一致しました。表面上は笑顔と握手の友好会談を演出していましたが、その裏ではトランプ大統領はシリアへの軍事攻撃を実行し、北朝鮮の核・ミサイル問題封じ込みへの強烈なけん制を行いました。
米労働省が発表した3月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比9万8000人増と前月の21万9000人増から急減速し、市場予想の18万人増も大幅に下回りました。今回の雇用統計は3月中旬に米北東部を襲った寒波による建設業での伸びの鈍化など一時的な要因が大きく影響したようです。失業率は4.5%と9年10カ月ぶりの水準に低下し賃金も伸びていました。
今回の米雇用統計は市場予想を大きく下回りましたが、堅調な米経済に対する見方を大きく変更するような結果ではなかったという市場関係者の見方もあるようです。ただ、FRBの早期資産縮小や地政学的リスクなどが重石となり、NYダウは頭の重い動きを見せていました。
米中首脳会談や米雇用統計などのビッグイベントが終わりましたので、マーケットの主要テーマが徐々に企業決算に移行してくると思われますが、ロシアの地下鉄テロやエジプトの教会連続爆破、シリアへの攻撃など、地政学的リスクが高まってきており、この状況は暫く続くと思われますので慎重に対応していきましょう。
週間の概況
◆注目イベント
4月12日(水)(中国)3月消費者物価指数
4月12日(水)(中国)3月生産者物価指数
4月12日(水)(英国)3月雇用統計
4月12日(水)(英国)2月ILO失業率
4月12日(水)(米国)3月輸入物価指数
4月12日(水)(加国)中銀政策金利発表
4月13日(木)(中国)3月貿易収支
4月13日(木)(英国)3月RICS住宅価格
4月13日(木)(豪国)3月雇用統計
4月13日(木)(独国)3月消費者物価指数・速報値
4月13日(木)(仏国)3月消費者物価指数
4月13日(木)(加国)2月新築住宅価格指数
4月13日(木)(米国)3月生産者物価指数
4月13日(木)(米国)新規失業保険申請件数
4月13日(木)(米国)4月ミシガン大消費者信頼感指数・速報値
4月14日(金)(日本)2月鉱工業生産・確報値
4月14日(金)(米国)3月消費者物価指数
4月14日(金)(米国)3月小売売上高
4月14日(金)(米国)2月企業在庫
4月15日(土)(米国)米議会予算決議の成立期限
4月17日(月)(中国)3月小売売上高
4月17日(月)(中国)3月鉱工業生産
4月17日(月)(中国)1-3月期GDP
4月17日(月)(米国)4月NY連銀製造業景況指数
4月17日(月)(米国)4月NAHB住宅市場指数
4月17日(月)(米国)2月対米証券投資
4月18日(火)(豪国)RBA議事録
4月18日(火)(米国)3月住宅着工件数
4月18日(火)(米国)3月建設許可件数
4月18日(火)(米国)3月鉱工業生産
4月18日(火)(米国)3月設備稼働率
※今週は15日に米議会での予算決議の成立期限となりますので注目しておきましょう。米国の新規失業保険申請件数は毎週チェックしましょう。消費者物価指数や小売売上高、住宅着工件数などの米国経済の動向も注目です。17日の中国のGDPにも注目が集まります。
チャート分析による銘柄診断
日経225分析
※移動平均線大循環分析の見方はこのレポートの最後にまとめてあります。ご参照ください。
◆現在のステージ
ステージ4
ステージ4は安定下降期となります。帯の傾きと間隔の動向に注目しましょう。
◆今後を読み取る鍵
ステージ4の安定下降期となっています。下降トレンドに勢いが出るかどうかに注目です。
・上昇トレンドに移行する場合は短期移動平均線が帯を上抜けていきます。
・帯に傾きが出て間隔が広がってくれば下降トレンドに勢いが出てきます。
そこに注目していきましょう。
◆重要な価格
高値19,671円 安値18,520円
※抵抗線・支持線となりやすい価格です。そこを突破することに意味があります。
NYダウ分析
※移動平均線大循環分析の見方はこのレポートの最後にまとめてあります。ご参照ください。
◆現在のステージ
ステージ2
ステージ2は安定上昇期の終焉です。短期移動平均線と帯の関係に注目です。
◆今後を読み取る鍵
短期移動平均線は帯の間での推移となっており、帯の上下どちらに抜けてくるかです。このまま順行してステージ3へ移行するのか、逆行してステージ2からステージ1に移行して1→2→1の押し目買いになるのかを見極めていきましょう。
・上昇トレンドに移行する場合は短期移動平均線が帯を上抜けていきます。
・下降トレンドに移行する場合は短期移動平均線が帯を下抜けていきます。
そこに注目していきましょう。
◆重要な価格
高値21,193ドル 安値20,426ドル
※抵抗線・支持線となりやすい価格、そこを突破することに意味があります。
小次郎講師のVトレーダー養成講座
今回はリスクリワード(RR)比率を更に意識できるように、RR比率と勝率の関係を更に掘り下げて考えましょう。
RR比率と勝率の関係を理解することで「どういう状態が勝てる状態か」ということは理解できたと思います。
RR比率と勝率の関係を示しているのが下の表になります。
勝率 | 10% | 20% | 30% | 40% | 50% | 60% | 70% | 80% | 90% |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
その勝率で勝つためのRR比率 | 9.00 | 4.00 | 2.33 | 1.50 | 1.00 | 0.67 | 0.43 | 0.25 | 0.11 |
勝率20%でもRR比率が4.00より大きければ勝てること、勝率が80%でもRR比率が0.25より小さければ勝てないことが、上記の表からわかります。
勝率が50%のときに、RR比率(RR比率=平均利益÷平均損失)が1よりも大きければ勝てるというのはわかりやすいはずです。勝つ確率と負ける確率が同じ状態ならば、平均利益が平均損失を上回ることによって収益が発生し、つまりはトレードで勝てるということです。
それでは、勝率20%のときにRR比率が4.00より大きければ勝てるという理屈はどういうことでしょうか。これを計算式で表すと次のようになります。
勝つためのRR比率と勝率の関係は、「RR比率>(1−勝率)÷勝率」となります。
上記の式に基づいて、勝率20%のときに確保しなければならないRR比率を求めます。
勝率20%のときに確保すべきRR比率>(1−20%)÷20%
勝率20%のときに確保すべきRR比率>80%÷20%
勝率20%のときに確保すべきRR比率>4
これにより勝率が20%のときはRR比率が4.00より大きければ勝てることがわかりました。
では勝率40%のときに確保すべきRR比率は、(1−40%)÷40%=60%÷40%=1.5となり、勝率40%でもRR比率が1.5よりも大きければ勝てるということです。
平均損失が10万円とすると、15万円よりも大きな平均利益を上げていれば、RR比率が1.5より大きくなりますので勝率40%でもトータルの損益はプラスになるという事です。
勝率80%で10万円の平均利益で平均損失が40万円未満でも、RR比率は0.25より大きくなるのでトータルでは勝ちとなります。ただし、損大利小のトレードですので、平均損失の縮小が課題となりそうです。
今、自分のトレードを振り返って損大利小になっていると思い当たるなら、これからのトレードでは、何よりRR比率を意識することです。おそらく、勝率は下がるでしょう。しかし、これまで勝率を意識しながら結果として勝てないなら、RR比率に重点を移してみるべきです。
皆さんのトレード手法はいかがでしょうか。
移動平均線大循環分析の見方(簡易版)
移動平均線大循環分析とは?
3本の移動平均線の並び順と傾きで現状を分析し、今後の展開を予測する指標です。価格変動の中で買いにエッジ(優位性)が発生する局面、売りにエッジが発生する局面を見つけ出すことができます。
<移動平均線大循環分析>
ステージとは?
3本の線の並び順は全部で6種類。それをステージ1から6と名付けました。(下図参照)
価格変動の中でステージは基本的に時計回りで推移し、ときに一時的に反時計回りで推移します。
つまり現在がステージ1だとすると、次に移行するのはステージ2というのが基本で、ときにステージ6に戻ることがあるということです。これ以外の展開はありません。これにより今後の展開が読みやすくなります。
売買チャンス
ステージ1で3本の線が右肩上がりのときは買いトレードにエッジ(優位性)があります。ステージ4で3本の線が右肩下がりのときは売りトレードにエッジがあります。
帯
移動平均線大循環分析において中期移動平均線と長期移動平均線の間を「帯(おび)」と言います。帯は大局トレンドの状態を示します。
帯による分析
帯が傾きを持ち間隔が広がっている状態が、トレンドが勢いを持っている状態です。間隔が狭まったり傾きが緩やかになるとトレンドが勢いを失ったことがわかります。またもみあい相場では帯は横這いとなり、細くなります。
価格及び短期移動平均線が帯の上にいるのが買い時代、帯の下にいるのが売り時代を表します。
- ※3本の移動平均線は短期5日、中期20日、長期40日のEMA(指数平滑移動平均線)を利用しています。