皆さん、こんにちは。
世界同時株高の様相を見せていた株式市場でしたが、ここにきて投資家は利益確定売りの動きが強まってきています。企業の決算報告のメインが終了し米国は23日の感謝祭を控えてマーケットが休日モードに入りつつあります。そのような利益確定売りが出やすい時期に弱い材料が続出しました。
トランプ政権が公約に掲げている法人税減税を柱とする税制改革法案が米下院において可決されました。このニュース自体は好材料ですが、法人税の35%から20%への引き下げ時期や、他の主な改革案に対する米下院と米上院とでの相違により年内成立は困難であるとの見方が強まっており、大型減税期待で買われていたプレミアムは一気に剥がれていきました。また、昨年の米大統領選にロシア政府がトランプ陣営と共謀して介入したとされる疑惑が再燃しています。報道によると、疑惑を捜査しているモラー特別検察官のチームが10月半ばにトランプ陣営の幹部10数人に対してロシア関連文書を提出するよう命じていたとのことです。これらのニュースが利益確定売りを急がせるきっかけになったようです。一方、北朝鮮が弾道ミサイルを搭載可能な新型潜水艦を強引なスケジュールで建造しているといったニュースもNYダウや日経225の利益確定売りを誘発しやすかったようです。
では、経済指標の動きはどうだったかというと、10月の卸売物価指数(PPI)は全体とコア指数共に前月比0.4%の上昇でした。10月の消費者物価指数(CPI)は前月比0.1%の上昇、エネルギーと食料品を除いたコア指数は0.2%上昇でした。10月の小売売上高は前月比0.2%増でした。最新週の新規失業保険申請件数は前週比1万件増の24万9,000件となり市場予想を上回る結果でした。米フィラデルフィア連銀が発表した11月の第3連邦準備地区の製造業景況指数は総合で22.7となり、前月の27.9から低下しました。10月の住宅着工件数は129万件と市場予想を上回る好結果となりました。これらを見る限り米国経済の足元は、未だ確りとしているのが分かります。
注目度が高かった欧州中央銀行(ECB)主催のカンファレンスでしたが、米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長が金融政策の先行きに関するガイダンスについて言及しましたが市場の反応は薄かったようです。
移動平均線大循環分析において、NYダウがステージ1の安定上昇期からステージ2の上昇相場終焉となりました。DAX®もステージ1からステージ2へと移行しています。FTSE100に関しては、ステージ1から一気にステージ2、ステージ3と下降相場の入り口へと移行してきました。日経225は短期移動平均線が下向きとなってきていますが、辛うじてステージ1を維持しています。とはいえ、NYダウもDAX®も長期移動平均線は横向きを維持していますので、押し目買いに戻る可能性もあります。ここからはステージの変化に注意を払い流れに反したトレードにならないようにしていきましょう。
週間の概況
◆注目イベント
11月22日(水)22:30(米国)新規失業保険申請件数
11月22日(水)22:30(米国)10月耐久財受注
11月22日(水)24:00(ユーロ圏)11月消費者信頼感・速報
11月22日(水)24:00(米国)11月ミシガン大消費者信頼感指数・確報
11月23日(木)04:00(米国)FOMC議事録(10月31・1日分)
11月23日(木)16:00(独国)7-9月期GDP・確報
11月23日(木)16:45(仏国)11月企業景況感
11月23日(木)17:00(仏国)11月製造業PMI・速報
11月23日(木)17:00(仏国)11月サービス業PMI・速報
11月23日(木)17:30(独国)11月製造業PMI・速報
11月23日(木)17:30(独国)11月サービス業PMI・速報
11月23日(木)18:00(ユーロ圏)11月製造業PMI・速報
11月23日(木)18:00(ユーロ圏)11月サービス業PMI・速報
11月23日(木)18:30(英国)7-9月期GDP・改定
11月24日(金)18:00(独国)11月Ifo景況感指数
11月27日(月)24:00(米国)10月新築住宅販売件数
11月28日(火)23:00(米国)9月住宅価格指数
11月28日(火)24:30(米国)11月リッチモンド連銀製造業指数
※今週は米国のFOMC議事録の内容に注目しましょう。ドイツと英国のGDPの結果にも注目しましょう。新規失業保険申請件数の結果も確認しましょう。
チャート分析による銘柄診断
日経225分析
※移動平均線大循環分析の見方はこのレポートの最後にまとめてあります。ご参照ください。
◆現在のステージ
ステージ1
ステージは安定上昇期です。短期移動平均線が下向きになってきています。
◆今後を読み取る鍵
ステージ1は安定上昇期です。帯と短期移動平均線の関係を見ていきましょう。
・上昇トレンドに勢いが出る場合は、短期移動平均線が上向きに戻り帯が傾きを持ち間隔が広がってきます。
・下降トレンドに移行する場合は短期移動平均線が帯を下抜けていきます。
そこに注目していきましょう。
◆重要な価格
高値23,466円 安値20,330円
※抵抗線・支持線となりやすい価格です。そこを突破することに意味があります。
NYダウ分析
※移動平均線大循環分析の見方はこのレポートの最後にまとめてあります。ご参照ください。
◆現在のステージ
ステージ2
ステージ2は上昇期の終焉です。短期移動平均線が帯の中に入ってきました。
◆今後を読み取る鍵
ステージ2は上昇期の終焉です。帯と短期移動平均線の関係を見ていきましょう。
・上昇トレンドに移行する場合は短期移動平均線が帯を上抜けていきます。
・下降トレンドに移行する場合は短期移動平均線が帯を下抜けていきます。
そこに注目していきましょう。
◆重要な価格
高値25,090ドル 安値22,193ドル
※抵抗線・支持線となりやすい価格、そこを突破することに意味があります。
小次郎講師のVトレーダー養成講座
先週までは長い時間をかけて資金管理の勉強をしましたので、資金管理を大切にすることは極めて重要であることをご理解いただけたと思います。では、資金管理だけを極めればVトレーダーになれるのでしょうか。答えは簡単ですね、違います。
今週からはVトレーダーを目指すために必ず身につける必要がある「リスク管理」を勉強していきましょう。トレードで勝つためには様々な自己管理(セルフマネジメント)が必要となります。日本の多くのトレーダーにとっての一番の関心は「どこで買うか、どこで売るか」といったところではないでしょうか。一方、資金管理やリスク管理といった分野に関しては、トレーダーの関心は薄く投資経験10年、20年のトレーダーでも、本当の意味での正しいテクニックを身につけている人はごくわずかにすぎません。ですから、投資歴何十年のトレーダーであっても同じ失敗を繰り返すのです。
先週まで勉強していた資金管理とは自分の投資用資金を明確にし、破産しないという前提のもとに自分の投資用資金を最大限効率的に運用する方法でしたよね。では、リスク管理とは何かというと、自分のリスク量を取引するたびに確認し、破産しないという前提のもとに自分の取れる最大限のリスクを取ることです。この「最大限のリスクを取る」という言葉に違和感やもっといえば恐怖心を抱いた人もいることでしょう。それは、リスクは低い方が良いのではないかという漠然とした先入観に根差しているからです。まず、「破産しないという前提のもとに」という注釈がついている点を見逃さないでください。そのうえで、リスクがあるからリターンがあること、リスクとリターンは表裏一体であること、リスクのないところにはリターンもないことを心に留めていてください。
一般的に、日本人にはリスクを悪だと考える傾向があります。ゆえに投資においても、高いリスクと低いリスクの商品があれば、リスクの低いものを選びがちです。勿論、低いリスク商品とノーリスク商品があれば、後者を選ぶはずです。その結果、銀行預金や国債など、一番買ってはいけないものにたどり着きます。実は、そういう看板の投資商品に限って一番リターンが少ないことに気づいていないのです。
これに対して海外の人々は、リスク性の投資商品を選ぶ傾向が見てとれます。「投資はお金を増やす為にするのだから、リスクのないもの=リターンのないものは選ばない」という理屈です。そして、そのとき、頭に思い描いているのが「適正リスク」なのです。
「適正リスク」とは、リスク管理の原点であり、ひと言でいえば「破産しない範囲で取る最大限のリスク」ということです。来週からは、この「破産しない範囲で取る最大限のリスク」とはどういったものかを勉強していきましょう。
移動平均線大循環分析の見方(簡易版)
移動平均線大循環分析とは?
3本の移動平均線の並び順と傾きで現状を分析し、今後の展開を予測する指標です。価格変動の中で買いにエッジ(優位性)が発生する局面、売りにエッジが発生する局面を見つけ出すことができます。
<移動平均線大循環分析>
ステージとは?
3本の線の並び順は全部で6種類。それをステージ1から6と名付けました。(下図参照)
価格変動の中でステージは基本的に時計回りで推移し、ときに一時的に反時計回りで推移します。
つまり現在がステージ1だとすると、次に移行するのはステージ2というのが基本で、ときにステージ6に戻ることがあるということです。これ以外の展開はありません。これにより今後の展開が読みやすくなります。
売買チャンス
ステージ1で3本の線が右肩上がりのときは買いトレードにエッジ(優位性)があります。ステージ4で3本の線が右肩下がりのときは売りトレードにエッジがあります。
帯
移動平均線大循環分析において中期移動平均線と長期移動平均線の間を「帯(おび)」と言います。帯は大局トレンドの状態を示します。
帯による分析
帯が傾きを持ち間隔が広がっている状態が、トレンドが勢いを持っている状態です。間隔が狭まったり傾きが緩やかになるとトレンドが勢いを失ったことがわかります。またもみあい相場では帯は横這いとなり、細くなります。
価格及び短期移動平均線が帯の上にいるのが買い時代、帯の下にいるのが売り時代を表します。
- ※3本の移動平均線は短期5日、中期20日、長期40日のEMA(指数平滑移動平均線)を利用しています。