皆さん、こんにちは。
米中貿易戦争に突入するのか、それとも回避するのか、その行方にマーケットが振り回されています。米中両国が通商問題の解決に向けて水面下で交渉を開始したとの報道が出ました。ムニューシン米財務長官とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は、中国の劉鶴副首相にあてた書簡で、貿易不均衡是正に向けて米政府側の具体的な要求を提示しました。ムニューシン財務長官は交渉を推進するために中国訪問を検討しているとのことです。貿易戦争回避の可能性が高まったことでNYダウは買いが優勢となり上昇の動きを見せましたが、引き続き不安定は続きそうです。
中国財務省は4月2日以降、米国からの輸入品128項目に高関税をかける措置を始めると公表しました。米トランプ政権が中国産の鉄鋼とアルミニウム製品に新たな関税をかける措置を発動したことへの報復措置で、果物など120項目に15%、豚肉など8項目に25%の関税をそれぞれ上乗せするようです。米中貿易戦争回避に期待がかかっていただけに、雲行きは再び怪しくなりそうです。
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は3月25〜28日に中国を非公式で訪問し、習近平国家主席と26日に会談を行い非核化への意欲を示したと中朝両国の国営メディアが報じました。南北の首脳会談が4月27日に決定し、5月に米朝首脳会談が予定されており、北朝鮮が中国との関係強化に動いたとの見方もあるようです。マーケットにとっては北朝鮮リスクが後退したと受け止められたようです。
一方、株式市場をけん引してきたIT・ハイテク関連が軟調です。米半導体大手エヌビディアは、米配車大手ウーバー・テクノロジーズの自動運転車の死亡事故を受けて、全世界で自動運転の公道試験を停止したとの報道から半導体関連株に売りが出ました。2016年の米大統領選で利用者の個人情報が不正利用されていた問題で、フェイスブックのザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が米議会で証言する意向を示しているとの報道から、個人情報を扱うIT企業に対する規制強化への警戒が高まっています。トランプ大統領はインターネット通販大手アマゾン・ドット・コムを独占禁止法による訴追や課税強化で追い詰めることに執着していると報道がありました。その報道後、トランプ氏は自身のツイッターでアマゾンを、適正な税金を支払っていない上に米郵政公社をこき使っていると批判しました。
IT・ハイテク関連株が不安定な動きを見せるなか、米国経済は順調に推移していると感じさせる経済発表が続きました。米商務省が発表した2017年10〜12月期の実質GDP(国内総生産)確定値は、季節調整済み年率換算で前期比2.9%増と、2月に発表された改定値(2.5%増)から上方修正されました。10月〜12月期の個人消費確定値も4.0%増と予想を上回り、新規失業保険申請件数も21.5万件と予想を下回る好結果となりました。
英国で起きた元ロシア情報員暗殺未遂事件をめぐる米欧とロシアの対立が激しくなってきました。米政府は26日、欧州諸国と連携し、元ロシア情報員暗殺未遂事件への対抗措置としてロシア外交官を追放する方針を決定しました。これに対して、ロシア政府は対抗措置を取り、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相が29日、ロシアに駐在する米外交官60人を国外退去処分とし、在サンクトペテルブルク米総領事館の閉鎖を命じると発表しました。欧米とロシアの関係悪化が懸念されます。
強弱材料が入り乱れてマーケットも不安定な動きを見せています。日々のニュースに振りまわされている方も多いかもしれませんが、移動平均線大循環分析のステージを確認しながら対応していきましょう。
週間の概況
◆注目イベント
4月4日(水)17:30(英国)3月建設業PMI
4月4日(水)18:00(ユーロ圏)2月失業率
4月4日(水)18:00(ユーロ圏)3月消費者物価指数(HICP)・速報
4月4日(水)21:15(米国)3月ADP全国雇用者数
4月4日(水)23:00(米国)3月ISM非製造業景況指数
4月4日(水)23:00(米国)2月製造業受注指数
4月5日(木)10:30(豪国)2月貿易収支
4月5日(木)15:00(独国)2月製造業受注
4月5日(木)17:30(英国)3月サービス業PMI
4月5日(木)18:00(ユーロ圏)2月小売売上高
4月5日(木)18:00(ユーロ圏)2月生産者物価指数
4月5日(木)20:30(米国)3月チャレンジャー人員削減予定数
4月5日(木)21:30(米国)新規失業保険申請件数
4月5日(木)21:30(米国)2月貿易収支
4月5日(木)21:30(加国)2月貿易収支
4月6日(金)15:00(独国)2月鉱工業生産
4月6日(金)21:30(米国)3月非農業部門雇用者数
4月6日(金)21:30(米国)3月失業率
4月6日(金)21:30(米国)3月平均時給
4月9日(月)08:50(日本)2月国際収支-経常収支、貿易収支
4月9日(月)15:00(独国)2月経常収支、2月貿易収支
4月10日(火)21:30(米国)3月生産者物価指数
4月10日(火)23:00(米国)2月卸売在庫
※今週は米国の雇用統計に注目、また平均時給の結果が重要です。ADP全国雇用者数や新規失業保険申請件数の結果も確認しましょう。
チャート分析による銘柄診断
日経225分析
※移動平均線大循環分析の見方はこのレポートの最後にまとめてあります。ご参照ください。
◆現在のステージ
第4ステージ
第4ステージは安定下降期です。短期移動平均線が上向きになっています。
◆今後を読み取る鍵
第4ステージは安定下降期です。短期移動平均線と帯の関係に注目していきましょう。
・上昇トレンドに移行する場合は、短期移動平均線が帯を上抜けていきます。
・下降トレンドに更に勢いが出る場合は、帯に傾きが出て間隔が広がってきます。
そこに注目していきましょう。
◆重要な価格
高値22,626円 安値20,369円
※抵抗線・支持線となりやすい価格です。そこを突破することに意味があります。
NYダウ分析
※移動平均線大循環分析の見方はこのレポートの最後にまとめてあります。ご参照ください。
◆現在のステージ
第4ステージ
第4ステージは下降期です。下降帯に傾きが出て間隔が広がってきています。
◆今後を読み取る鍵
第4ステージは下降期です。帯の間隔や傾きに注目しましょう。
・上昇トレンドに移行する場合は、短期移動平均線が帯を上抜けていきます。
・下降トレンドに勢いが出る場合は、帯に傾きが出て間隔が広がっていきます。
そこに注目していきましょう。
◆重要な価格
高値25,895ドル 安値23,027ドル
※抵抗線・支持線となりやすい価格、そこを突破することに意味があります。
小次郎講師のVトレーダー養成講座
今週はロスカットラインのエッジを見ていきましょう。エッジの発生というのは、ときにはロスカットによるエッジが発生することもあります。
買ってから価格が下がったとしても、トレーダーは、ある程度までは我慢するはずです。しかし、ある一定以上まで価格が下がってしまうと我慢しきれずに、投げ売りをしはじめるトレーダーが出てきます。この投げ売りがまとまると売りのパワーは増幅するので、価格はさらに押し下げられます。結果、投げ売りをするトレーダーが続出して、マーケットは投げ売りの連鎖となります。
その一方で、安値を拾うトレーダーもいるので、ある程度の下げの場合はその安値拾いの買いにより、価格が上昇するという展開も見られます。現に、その間に上昇するという展開も見られます。
ところが、先述したように、あるラインを超えた瞬間に投げ売りが次の投げ売りを呼び、マーケットは売り一色になります。その分岐点が投げ売りラインであり、売りにエッジが出てくる理屈です。
上記のチャートを参照ください。買ってから価格が下がってもトレーダーは、ある程度までは我慢しています。安値拾いの買いも出ています。しかし、ある一定以上まで価格が下がってしまうと我慢しきれずに、投げ売りが出て、更に投げ売りラインを下回ると、いっそう投げ売りをするトレーダーが続出して、投げ売りの連鎖となって価格が一気に下落しているのが分かります。
主なトレードエッジについて見てきましたが、来週はエンベロープでエッジが発生している局面を見ていきましょう。
移動平均線大循環分析の見方(簡易版)
移動平均線大循環分析とは?
3本の移動平均線の並び順と傾きで現状を分析し、今後の展開を予測する指標です。価格変動の中で買いにエッジ(優位性)が発生する局面、売りにエッジが発生する局面を見つけ出すことができます。
<移動平均線大循環分析>
ステージとは?
3本の線の並び順は全部で6種類。それをステージ1から6と名付けました。(下図参照)
価格変動の中でステージは基本的に時計回りで推移し、ときに一時的に反時計回りで推移します。
つまり現在がステージ1だとすると、次に移行するのはステージ2というのが基本で、ときにステージ6に戻ることがあるということです。これ以外の展開はありません。これにより今後の展開が読みやすくなります。
売買チャンス
ステージ1で3本の線が右肩上がりのときは買いトレードにエッジ(優位性)があります。ステージ4で3本の線が右肩下がりのときは売りトレードにエッジがあります。
帯
移動平均線大循環分析において中期移動平均線と長期移動平均線の間を「帯(おび)」と言います。帯は大局トレンドの状態を示します。
帯による分析
帯が傾きを持ち間隔が広がっている状態が、トレンドが勢いを持っている状態です。間隔が狭まったり傾きが緩やかになるとトレンドが勢いを失ったことがわかります。またもみあい相場では帯は横這いとなり、細くなります。
価格及び短期移動平均線が帯の上にいるのが買い時代、帯の下にいるのが売り時代を表します。
- ※3本の移動平均線は短期5日、中期20日、長期40日のEMA(指数平滑移動平均線)を利用しています。