朝晩の通勤時に聞こえていたセミの声が聞こえなくなり、代わりに草むらから虫の声が聞こえるようになってきました。涼しくなるのは楽でいいのですが、少し寂しい気もします。

新興市場もやや寂しい相場となっています。マザーズやJASDAQなど新興株市場のパフォーマンスは過去6ヵ月ほど日経平均に対して大きく劣後し、特にマザーズの不振が目立っています。

なぜでしょうか。成長株が多いマザーズの場合、バリュエーションが高く、相対的に流動性の小さい銘柄が多いことが指摘できると思います。しかし、世界的な貿易摩擦への懸念など、相場全体に不透明感が出てきた今の相場では、投資家が、よりバリュエーションが低く、割安感が強い、流動性の高い銘柄を選好していると考えられます。このため、バリュエーションが高く、相対的に流動性の小さい銘柄の多い新興市場はあおりを受けていると考えられます。

しかし、新興市場にもバリュエーションが低く、割安感が強い銘柄は存在します。それらの銘柄はむしろ、新興市場の銘柄ということで売り込まれ、さらに割安感が強まっているかもしれません。そこで今週は、こうした相場環境だからこそ、買い場到来を期待できそうな新興株銘柄をスクリーニングによって選んでみました。

図1：東証マザーズ指数（日足）

図2：JASDAQ平均（日足）

• ※図1・図2ともに当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。

• ※表1・表2はBloombergデータをもとにSBI証券が作成。騰落率は8/28（火）終値と9/4（火）終値の比較による。時価総額は8月末基準。

図3は過去6ヵ月の日経平均とマザーズ指数の比較です。日経平均が約4％上昇しているのに対し、マザーズ指数はおよそ16％下落しています。図には載せていませんが、JASDAQ平均は約7％下落しています。新興市場、特にマザーズ指数がアンダーパフォームしている理由としては以下の3点が考えられます。

（1）世界的に株式市場では貿易摩擦が懸念され、投資家は相対的にバリュエーションが割高で、流動性に乏しい新興市場よりも、バリュエーション面で割安感が強く、流動性に富んだ大型株を選好した。
（2）特にマザーズでは、メルカリ（4385）、MTG（7806）などの時価総額の大きい大型上場が相次いだため、他の銘柄から資金が吸収された。
（3）指数に大きな影響を与えるこれら大型の新規上場銘柄の株価が上場後に初値から大きく下落している。

ただ、新興市場にもバリュエーションが低く、割安感が強い銘柄は存在します。それらの銘柄はむしろ、新興市場の銘柄ということで売り込まれ、さらに割安感が強まっているかもしれません。

図3：過去6ヵ月の日経平均とマザーズ指数の比較

• ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。6ヵ月前を100として表示。

そこで「新興株ウィークリー」では、新興市場上場銘柄中から、バリュエーション指標でみて割安感が強く、なおかつ今期の好業績が見込め、さらには経営効率が良好とみられる銘柄を「新興株ウィークリー」特選の「割安バリュエーション銘柄」としてご紹介することにしました。スクリーニング条件は以下の4点です。

（1）予想PERが15倍以下であること
（2）PBRが1.5倍以下であること
（3）今期の会社予想経常利益が20％以上の増益であること
（4）ROEが10％以上であること

上記の条件を満たす11銘柄を、コード番号順に並べたのが表3です。

それでは、表3の中から数銘柄をピックアップし、事業内容、特徴などを簡単にご紹介いたします。

ACKグループ（2498）は、2006年に創立した建設コンサルタントの大手です。海外でのインフラ関連工事に強みを持っています。東南アジアを中心に鉄道やインフラ工事案件が増加しており、業績拡大が続いています。

ニッパンレンタル（4669）は、建設用重機を主体とするリース会社です。建設工事の好調に加え、同社独自の要因として信越・北関東中心から南関東を中心に営業エリアの拡大による成長も期待できます。

共和工業所（5971）は、昭和25年創業の歴史のある会社です。高品位のボルト専門メーカーで、鍛造技術、熱処理などに強みを持っています。同社の製品は建設機械や船舶の内燃機関、自動車の部品などに採用されています。小松製作所が重要な顧客となっています。

ニューフレアテクノロジー（6256）は、東芝機械から分社化された半導体製造装置メーカーです。65％を東芝グループが保有しています。電子ビームマスク描画装置では世界のトップシェアを有しており、高い利益率が特徴です。

セフテック（7464）は、道路工事を主体とする建設現場などで使用される規制材（電光表示板、警告灯、カラーコーン）、保安機材などを取り扱っている会社です。販売先は大手ゼネンコンが主力です。道路や橋梁などの老朽化対策工事の現場が増加しているのが追い風になっているようです。機材自体の高付加価値化も進行しています。

アールビバン（7523）は、催事などで絵や版画の展示販売を行っている会社です。アーティストの発掘にも注力しており、シルクスクリーンで著名なクリスチャン・ラッセンやファンタジー作家のカーク・レイナートは同社がプロモーションした画家たちです最近ではディズニー公認作家の高橋宣光の作品を取り扱ったのが注目されます。健康産業にも進出しており、ホットヨガのチェーン店展開を図っています。

プラッツ（7813）は、1992年に創業した介護用ベッドの製造・販売会社です。生産は主としてベトナム工場で行っています。高齢者人口の増加、介護保険の導入などでパイが拡大しているうえ、ベッドの機能拡大での付加価値上昇が進んでいます。

表3：「新興株ウィークリー」特選の「低バリュエーション銘柄」

取引	チャート	ポート フォリオ	コード	銘柄名	株価 （9/4） （円）	PER （倍）	PBR （倍）	ROE （今期会社予想ベース） （％）	今期の経常増益率 （会社予想） （％）
		追加	2498	ACKグループ	1,820	10.1	1.1	11.6	22.7
		追加	4669	ニッパンレンタル	852	9.7	1.0	10.3	43.0
		追加	5971	共和工業所	6,020	7.4	0.8	10.2	30.3
		追加	6256	ニューフレアテクノロジー	6,120	8.2	1.1	13.5	27.1
		追加	7464	セフテック	8,370	8.0	0.9	11.7	40.4
		追加	7523	アールビバン	767	5.9	0.8	13.6	28.8
		追加	7638	NEW　ART	27	12.9	1.3	10.2	66.9
		追加	7813	プラッツ	891	11.1	1.5	13.3	26.0
		追加	8886	ウッドフレンズ	3,565	6.2	0.9	14.9	20.6
		追加	8887	リベレステ	932	9.2	1.0	10.5	59.1
		追加	8893	新日本建物	316	5.6	1.4	25.8	25.6

• ※Bloombergデータ、会社公表データをもとにSBI証券が作成。ROEは当社WEBサイトで使用している今期予想ベース

• ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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