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株価大幅安から反発が期待される好業績の新興株を探る

2018/10/17
投資情報部 長谷川 稔

10月に入ってから世界的に株式市場が波乱の局面を迎えています。これまで堅調だったNY株式ですが、ダウ工業株平均は10/3(水)の高値26,951ドルから10/11(木)には一時24,899ドルと、7.6%下落しました。日経平均も10/2(火)の高値24,448円から10/15(月)には22,261円と8.9%下落しています。

10/5(金)に発表された米国の雇用統計(9月)が好調で、金利上昇懸念が再燃してきたことが大きな背景です。また、米中の貿易摩擦も依然として相場の重石になっており、10/9(火)に発表されたIMF(国際通貨基金)の世界経済成長見通しでは、新興国の経済減速を主因に2018年、2019年の実質成長率は従来見通しからそれぞれ0.2ポイントずつ引き下げられました。日本株についてはリスクオフに伴う円高の進行も株価のマイナス要因となっています。

新興株市場の株価パフォーマンスについては、マザース指数でみると9/27(木)の高値1,086ポイントから10/11(木)には940ポイントと13.4%の下落と、日経平均株価に比べ悪くなっています。これは新興株市場株式の流動性が相対的に乏しいため、リスクオフに伴うマーケット要因でPERが低下したことが背景と思われます。個別企業の業績に関しては、新興市場のほうが内需依存度が高い上、為替に左右される要素も少ないため、現在の収益環境はむしろ大型株に比べ優位にあると思われます。

今週以降、日本はもちろん米国でも決算発表シーズンとなります。今期の企業業績は引き続き好調が見込まれ、株式市場全体もそれを確認した後は株価も持ち直すのではないかと考えています。その場合のリバウンドは、これまで売り込まれてきた新興株銘柄の方が大きいのではないかと思います。今回はそうした株価反発局面で活躍しそうな新興株銘柄をピックアップしてみようと思います。皆さまの銘柄選択のご参考にしていただければ幸いです。

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図1:東証マザーズ指数(日足)

図2:JASDAQ平均(日足)

  • ※図1・図2ともに当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。

表1:主要株式指標の騰落率(10/9〜10/16)

指数

終値(10/16)

騰落率

日経平均株価

22,549.24

-3.9%

東証マザーズ指数

972.14

-2.8%

JASDAQ平均株価

3,721.94

-1.0%

表2:主要新興市場銘柄の騰落率(10/9〜10/16)

コード

銘柄

終値(10/16)

騰落率

マザーズ市場の時価総額上位銘柄

 

4385

メルカリ

3,130

-5.0%

7806

MTG

5,910

-5.6%

2121

ミクシィ

2,630

-4.0%

4592

サンバイオ

3,595

-2.6%

3993

PKSHA Technology

10,210

-6.9%

JASDAQ市場の時価総額上位銘柄

 

2702

日本マクドナルドホールディングス

4,910

-2.2%

6324

ハーモニック・ドライブ・システムズ

3,555

-9.7%

2782

セリア

3,765

1.5%

7564

ワークマン

7,500

9.8%

6425

ユニバーサルエンターテインメント

3,505

6.1%

直近上場銘柄・市場で話題の銘柄

 

4382

HEROZ

16,900

-0.5%

9270

SOU

6,330

-10.5%

6185

ソネット・メディア・ネットワークス

2,120

-12.8%

4384

ラクスル

3,125

-4.4%

4381

ビープラッツ

8,070

-1.0%

  • ※表1・表2はBloombergデータをもとにSBI証券が作成。騰落率は10/9(火)終値と10/16(火)終値の比較による。時価総額は9月末基準。

1リバウンド局面で活躍が期待される新興市場銘柄をスクリーニングする

それでは早速スクリーニングにより、株価大幅安から反発が期待される好業績の新興株を抽出してみたいと思います。今回の条件は下記の5項目です。

(1)マザーズおよびJASDAQの上場銘柄であること
(2)年初来高値から30%以上株価が下落していること
(3)今期の会社予想の経常利益が20%以上の増益であること
(4)時価総額が100億円以上であること
(5)ROE(自己資本利益率)が15%以上であること
(6)原則として直近四半期までの経常利益の年度予想利益に対する進捗率が標準(9月決算なら75%、12月決算なら50%)を上回っていること

(2)については、マザーズ指数は1月の年初来高値1,367.86から10/16(水)の972.14までの下落率は28.9%ですが、まず指数以上に値下がりしている銘柄を候補にします。(3)、(6)の条件により増益確度の高い銘柄に絞り込みます。また、(5)により収益性が高く、なおかつ資本効率が高い銘柄に絞り込みます。(4)に関しては株価の乱高下に注意したい相場環境を考慮し、最低限の流動性が確保されている銘柄を抽出することが目的になっています。

上記の条件を満たす全ての銘柄をコード番号順に並べたのが表3の7銘柄となります。なお、(1)から(5)までのプロセスは当社WEBサイトのスクリーニング(銘柄条件検索)機能を使っています。

2浮かび上がった銘柄はコレ!?

それでは、表3の銘柄について事業内容、特徴、注目点などをご紹介いたします。

グリムス(3150)は、2009年3月にJASADAQ市場に上場しています。電力の自由化を背景に、中小企業等に電力料金の削減プランの提示や電子ブレーカーの販売を主な業務内容としています。一般消費者向けに住宅用の太陽光発電システムの販売も行っています。今期は電力コスト削減プランの好調に加え、電力の小売事業が好調です。

串カツ田中ホールディングス(3547)は、2016年9月にマザーズ市場に上場しています。文字通り「串カツ田中」ブランドで関東圏を中心に194店舗(2Q末で直営店85店、FC店109)を展開しています。関東では珍しい串カツが消費者に好評で、新規出店が収益拡大につながる成長期にあります。店舗の禁煙化が客数の増加につながっている模様です。

ZUU(4387)は、2018年6月にマザーズ市場に上場しています。フィンテックプラットフォームを通して一般消費者への情報提供を行う「ZUUオンライン」が主力事業です。自社メディアのUUは500万人を突破しています。金融機関向けにはITを使った営業支援サービスを行っています。

和井田製作所(6158)は、2005年6月にJASDAQ市場に上場しています。1946年に設立された古い歴史を持つ会社で、研削技術を基礎とした工作機械(各種精密CNC旋盤)企画開発・製造販売を行っています。海外の自動車や電子部品の設備投資拡大が追い風となって、好調な業績展開が続いています。

ジーニー(6562)は、2017年12月にマザーズ市場に上場しています。2010年に設立された新しい会社です。ウェブサイトやスマートフォンアプリ上に閲覧者にあった広告を瞬時に選択し表示させる技術を使って、インターネットメディアや広告主の広告収益や効果を最大化させるニッチな事業を行っています。広告媒体の変化が追い風となって、高い成長が続きそうです。

ビジョナリーホールディングス(9263)は、2017年11月にJASDAQ市場に上場しています。大手眼鏡小売チェーンの「メガネスーパー」が主力事業です。競争激化と高コスト構造から苦境に陥りましたが、ファンドの支援を得て企業再生が進行しています。顧客対象をミドル・シニア層に絞り、老眼向けレンズなどでオーダーメイドの製品に対応するなどの施策が奏功して、業績が回復軌道に乗っています。

アルファポリス(9467)は、2014年10月にマザーズ市場に上場しています。当社が運営するWEBサイトに投稿された小説(中高校生や若者向けのライトノベル)や漫画などのコンテンツから、サイト内でのユーザー評価を参考に、書籍として出版して収益化するビジネスモデルです。今期の業績はライトノベル、漫画でヒット作が生まれたことに加え、赤字のゲーム事業部門の切り離しで、急回復しています。

表3:「上方修正」が期待できるJASDAQ銘柄はコレ!?

取引 チャート ポート
フォリオ
コード 銘柄名 株価
(10/16)
(円)
年初来高値からの
株価下落率
(%)
通期会社予想
経常増益率
(%)
ROE
(%)
現買信買 チャート 追加 3150 グリムス 1,544 32.8 22.7 24.5
現買信買 チャート 追加 3547 串カツ田中ホールディングス 3,080 36.4 26.9 18.6
現買信買 チャート 追加 4387 ZUU 6,330 38.5 116.4 18.4
現買信買 チャート 追加 6158 和井田製作所 1,672 32.8 95.5 18.3
現買信買 チャート 追加 6562 ジーニー 1,505 34.0 52.5 15.8
現買信買 チャート 追加 9263 ビジョナリーホールディングス 100 50.7 79.7 56.5
現買信買 チャート 追加 9467 アルファポリス 1,962 33.6 58.5 18.1
  • ※当社Webサイト、各種資料および会社公表データをもとにSBI証券が作成。 ROEは今期予想ベース。株式分割の実施がある銘柄については、それを考慮した実質値で計算。串カツ田中ホールディングスの予想増益率は前期(単独決算)との比較による。

3今後の新規上場予定は?

表4:当面の新規上場予定銘柄

上場日

コード

社名

市場

会社概要

10/18

7805

プリントネット(株)

JASDAQ-S

インターネットを用いた印刷物の受注販売

10/19

9279

(株)ギフト

マザーズ

横浜家系ラーメンを主体とする直営店運営および食材供給など

10/19

4421

(株)ディ・アイ・システム

JASDAQ-S

システムインテグレーション事業及び教育サービス事業

10/23

3497

(株)リーガル不動産

マザーズ

不動産ソリューション、賃貸事業

10/30

4422

VALUENEX(株)

マザーズ

特許・文書解析ツールのASPライセンスサービスの提供

11/6

7042

(株)アクセスグループ・ホールディングス

JASDAQ-S

企業の販促支援、学校の学生・生徒募集支援など

  • ※各種資料、報道等をもとにSBI証券が作成
  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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