10月に入ってからこれまで好調だったNY株式が下落に転じ、世界的に株式市場が波乱の局面を迎えています。日経平均株価も10/2(火)の取引時間中に24,448円というバブル後の戻り高値をつけましたが、その後は下落傾向となり、10/30(火)の終値は21,457円と、高値から12.2%下落した水準となっています。
こうした中、現在は3月期決算の第2四半期決算の発表が相次いでいます。先行指標的な存在である2月決算銘柄の安川電機(6506)が下方修正を発表。またJASDAQ上場の精密減速機メーカーであるハーモニック・ドライブ・システムズ(6324)も受注悪化・売上高の下方修正を発表するなど、世界的な設備投資動向を反映するこれらの企業の業績悪化は、企業業績が踊り場を迎えていることを示しているのではないでしょうか。企業業績への懸念を背景に、東証マザーズ、JASDAQなど新興株市場の株価も、日経平均株価同様に冴えない状況となっています。
逆に、決算発表の終わった銘柄は「決算リスクの後退」で投資しやすくなります。そこで、今週の「新興株ウィークリー」では、決算発表が終ったばかりの2月決算銘柄にスポットを当ててみました。2018年6〜8月期の決算発表終了直後で、「決算リスク」は当面後退したと考えられる上、好業績が今後の株式市場で評価される銘柄も少なくないと思われます。これらの銘柄が、株式市場全般の波乱でツレ安しているならば逆に投資チャンスとなるかもしれません。皆様のご参考になれば幸いです。
図1:東証マザーズ指数(日足)
図2:JASDAQ平均(日足)
- ※図1・図2ともに当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
表1:主要株式指標の騰落率(10/23〜10/30)
指数 |
終値(10/30) |
騰落率 |
---|---|---|
日経平均株価 |
21,457.29 |
-2.5% |
東証マザーズ指数 |
870.10 |
-9.9% |
JASDAQ平均株価 |
3,499.89 |
-6.1% |
表2:主要新興市場銘柄の騰落率(10/23〜10/30)
コード |
銘柄 |
終値(10/30) |
騰落率 |
---|---|---|---|
マザーズ市場の時価総額上位銘柄 |
|
||
4385 |
メルカリ |
2,800 |
-9.2% |
7806 |
MTG |
5,230 |
-12.1% |
2121 |
ミクシィ |
2,396 |
-2.4% |
4592 |
サンバイオ |
3,360 |
-12.6% |
3993 |
PKSHA Technology |
9,410 |
-8.6% |
JASDAQ市場の時価総額上位銘柄 |
|
||
2702 |
日本マクドナルドホールディングス |
4,945 |
-0.8% |
6324 |
ハーモニック・ドライブ・システムズ |
3,195 |
-2.7% |
2782 |
セリア |
3,665 |
-0.1% |
7564 |
ワークマン |
6,850 |
-12.5% |
6425 |
ユニバーサルエンターテインメント |
3,400 |
-5.4% |
直近上場銘柄・市場で話題の銘柄 |
|
||
4382 |
HEROZ |
14,440 |
-14.9% |
9270 |
SOU |
5,750 |
-18.3% |
6185 |
ソネット・メディア・ネットワークス |
1,663 |
-13.6% |
4384 |
ラクスル |
2,656 |
-21.9% |
4381 |
ビープラッツ |
7,100 |
-7.4% |
- ※表1・表2はBloombergデータをもとにSBI証券が作成。騰落率は10/23(火)終値と10/30(火)終値の比較による。時価総額は9月末基準。
それでは早速、好業績の2月決算銘柄について、スクリーニングを行ってみたいと思います。条件は以下の6点です。
(1)マザーズまたはJASDAQの上場銘柄であること
(2)2月決算銘柄で、第2四半期(2018年6〜8月期)の決算発表が終了した銘柄であること
(3)第2四半期までの経常利益の進捗が、通期の会社予想経常利益に対し50%以上の銘柄であること
(4)第2四半期累計(2018年3〜8月期)の経常増益率が、通期(2019年2月期)会社予想経常増益率を原則として上回っていること
(5)通期の会社予想経常利益が増益であること
(6)第2四半期決算発表前後に上方修正を行っていないこと
上記の全条件を満たした銘柄を、今期予想経常増益率の高い順に並べたものが表3の8銘柄となります。これらの銘柄については、「決算リスク」が当面後退したと考えられる上、好業績が今後の株式市場で評価される銘柄も少なくないと思われます。また、これらの銘柄が、株式市場全般の波乱でツレ安すれば、投資チャンスとなるかもしれません。
表3:「決算リスク」が小さい好業績の2月決算銘柄はコレ!?
取引 | チャート | ポート フォリオ |
コード | 銘柄名 | 株価(10/30)円 | 今期予想 経常増益率 % |
第2四半期 までの増益率 % |
第2四半期 の進捗率 % |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
追加 | 6086 | シンメンテホールディングス | 2,113 | 50.4 | 71.1 | 74.0 | ||
追加 | 3080 | ジェーソン | 427 | 21.0 | 20.7 | 67.3 | ||
追加 | 3479 | ティーケーピー | 3,355 | 16.5 | 15.8 | 65.7 | ||
追加 | 7624 | NaITO | 204 | 9.3 | 16.9 | 54.1 | ||
追加 | 3550 | スタジオアタオ | 2,634 | 8.5 | 40.3 | 92.8 | ||
追加 | 9903 | カンセキ | 1,200 | 5.6 | 34.4 | 94.9 | ||
追加 | 8931 | 和田興産 | 817 | 3.1 | 8.1 | 85.9 | ||
追加 | 2706 | ブロッコリー | 1,956 | 0.9〜51.4 | 244.5 | 37.8〜56.8 |
- ※会社発表資料等をもとにSBI証券が作成。シンメンテホールディングスの第2四半期の増益率は前期が単体で今期が連結との比較。ティーケーピーの第2四半期増益率は、
通期増益率に比べわずかに小さいが進捗率が高いため、銘柄に採用。ブロッコリーの会社予想はゾーン表示。
冒頭でご説明したように、安川電機(6506)が業績予想の下方修正を発表し、さらに、10/18(木)には、ジャスダック市場に上場している精密減速機メーカーであるハーモニック・ドライブ・システムズ(6324)が売上高および受注の減少を発表しました。世界的な設備投資動向を反映するこれらの企業の業績悪化は、企業業績が踊り場を迎えていると考えることができるかもしれません。米中貿易摩擦激化の影響が表面化してきた可能性もありそうです。
仮に、投資した銘柄またはすでに保有している銘柄について、業績予想の下方修正が発表された場合、株価が大きく下がる可能性があります。したがって、投資に際しては、企業業績に対する分析を十分行うことが必要です。しかし、企業訪問等を行なえない個人投資家が外部からの分析で対応することは極めて困難であると考えられます。したがって、決算発表のタイミングが到来した時、保有銘柄のポジションについては細心の注意が必要です。
今回、スクリーニングで抽出した銘柄は決算発表が終了した直後であり、業績予想修正による株価変動リスクは小さいと考えられます。むしろ、決算発表前で持ち高を落としていた投資家が再度、買いポジションを増やしてくる可能性も十分あると考えられます。特に、全般的な株価下落でツレ安した時は、投資の好機となる可能性もありそうです。
表4:当面の新規上場予定銘柄
上場日 |
コード |
社名 |
市場 |
会社概要 |
---|---|---|---|---|
11/6 |
7042 |
(株)アクセスグループ・ホールディングス |
JASDAQ-S |
企業の販促支援、学校の学生・生徒募集支援など |
11/28 |
3496 |
霞ヶ関キャピタル(株) |
マザーズ |
太陽光発電施設の開発・販売および売電事業 |
- ※東京証券取引所の資料等をもとにSBI証券が作成
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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