12月に入りました。先週までの暖冬から一転し、首都圏は真冬並みの寒波に見舞われています。街行く人たちも一斉に冬支度となった感じです。通勤路に大きなイチョウの木があるのですが、朝は道路が落葉で黄色の絨毯に変わっています。

株式市場では「ファーウェイ・ショック」や、米国債市場の「逆イールドカーブ」状態の出現などから、日米とも大幅な調整となるなど、「師走相場」は波乱気味のスタートになっています。今後の重要日程としては、12/14（金）のメジャーSQ、日銀短観、12/19（水）のソフトバンク（9434）上場およびFOMC（米連邦公開市場委員会）開催などでしょうか。

先週の「新興株ウィークリー」では、「『新規上場』で好パフォーマンス銘柄の共通点は?」と題し、今年後半に上場したマザーズ銘柄パフォーマンスをチェックしてみました。今週はJASDAQおよび東証2部の新規上場銘柄を対象に同様の試みを行ってみたいと思います。銘柄によってかなりの格差が見受けられました。投資家の皆様が今後の「テンバガー」を見つけるヒントになれば幸いです。

• ※図1・図2ともに当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。

• ※表1・表2はBloombergデータをもとにSBI証券が作成。騰落率は12/4（火）終値と12/11（火）終値の比較による。時価総額は11月末基準。

東証マザーズ指数は11月下旬以降は反発に転じ、11/22（木）〜12/3（月）には7営業日続伸となりました。こうした中、東京株式市場では12/4（火）に日経平均株価が538円下げる波乱となりました。NY株式も799ドルの大幅下落となりました。「ファーウェイショック」に加え、「逆イールドカーブ」の発生による先行きの景気後退懸念などが背景です。

この影響を受け、マザーズ指数は12/4（火）〜12/11（火）で9.3％の大幅下落と、同じ期間の日経平均株価の下落率4.0％を上回る下げとなりました。これまで日経平均を上回る上昇を見せてきた反動が出た模様です。また流動性の問題から、日経平均株価に比べ株価の変動幅が大きい特徴が表れました。個別銘柄では、11月に急騰したサンバイオ（4592）の大幅下落が、指数全体の下落にも大きく影響しています。この他ではミクシィ（2121）、ティーケーピー（3479）などの時価総額の大きな銘柄の下げが目立ちました。JASDAQ市場は4.1%の下落と日経平均株価並みの下げとなりました。

なお、これから年末まで、表4に見るように、ソフトバンク（9434）を筆頭に、現在までのところ17社の新規上場が予定されており、ラッシュ状態を呈しています。将来の成長株を慎重に見極めたいところです。

※東証マザーズ指数について：東証マザーズ市場は近い将来東証1部へのステップアップを視野に入れた成長企業向けの市場です。マザーズ指数は、マザーズ市場に上場する全銘柄の時価総額加重平均型の指数です。ただし、一部の時価総額の大きい銘柄の影響度が大きい点に注意を要します。ちなみに11月末のマザーズ市場の時価総額に占める、サンバイオのシェアは9.6％、メルカリが6.8％、ミクシィが5.0％などとなっています。

表3は2018年1月以降10月末までの間に、東証2部およびJASDAQ市場に新規上場した16銘柄について、現在の株価と上場日の終値を比較したものです。値上がり率が高い順に並べています。相場全体が下落基調だったため、上場時の株価を現在の株価が上回っている銘柄は2社にとどまり、逆に下回っている銘柄が14社となりました。

ここでは、パフォーマンス上位の3銘柄と、パフォーマンスはマイナスながら業態がユニークと「新興株ウィークリー」で考える2銘柄について簡単に事業内容、ポイントをご紹介したいと思います。

ブロードバンドセキュリティ（4398）は9月にJASDAQ市場に上場しました。企業における情報漏えいの予防や防止、セキュリティー機器の遠隔監視、未知のマルウィルス検知によるネットワーク遮断等により、情報漏えいリスクから企業を守るサービスを主な事業内容としています。顧客は大企業を中心とした民間企業や官公庁等です。情報漏えいリスクの排除は、現在においては企業にとって喫緊の経営課題であり、市場拡大が想定され、同社の今後の事業環境は良好と思われます。

極東産機（6233）は9月にJASDAQ市場に上場しました。自動壁紙糊付機、コンピューター式畳製造機、などのインテリアを中心とする省力化、自動化機械の開発販売を主な事業内容としています。太陽光発電による売電事業も行っています。製品の多角化、多様化や自社によるBtoC製品の開発などにより、住宅着工数に依存しない事業内容に変化しています。

イボキン（5699）は、8月にJASDAQ市場に上場しました。解体事業、環境事業、金属事業を3本柱とする、資源循環型社会形成のための総合リサイクル事業を行っています。当初は近畿および中国地方をカバーしてきましたが、3年ほど前から全国の同業者と合計7社で。包括業務提携を結び、全国的なアライアンスネットワークを展開しています。同社の強みは解体から運搬、リサイクル、最終処分までを一括して請け負うことができるワンストップサービス体制を整えていることです。重厚長大型産業の設備集約、老朽化などで、解体作業の需要は今後も一段と高まることが予想されます。

ナルミヤ・インターナショナル（9275）は、9月に東証2部市場に上場しました。1952年に呉服問屋として設立されましたが、1990年代に子供服（含むジュニア）の製造・小売をスタートしました。渋谷の109への出店や、モーニング娘。が好んで同社のTシャツを着用したことから急成長し、2005年にJASDAQに上場しました。ただしブーム一巡でその後は業績が低迷し、上場廃止となり再建に努めました。社外から石井社長を招き、不振ブランドの整理、百貨店や専門店以外の販路開拓（SCやEコマース）などで業績が回復しました。同社の特徴は、�@乳児からジュニアまでの幅広い年齢層に対応、�Aミキハウスやファミリアなどよりも低価格だが品質やデザインに優れる（西松屋よりは単価は高い）、など。成長戦略としては、中国進出をあげています。中国では子供用品での日本製品の信頼が高いため、子供服もブランド力で勝負できると会社側では見ています。アリババのモールに出店の準備を行い、実店舗も考慮している模様です。

アクセスグループ・ホールディングス（7042）は、11月にJASDAQ市場に上場しました。企業・法人の販売促進活動のサポート、学校など教育機関の広報活動や業務代行、人材採用のための広報活動などが主な事業内容です。住宅や旅行、シニア居住施設など専門知識を求められるエリアに特化しており、クライアントの業務代行だけではなく、提案型のプロモーションを行えるのが特徴です。学校などの広報活動支援でも、外国人留学生向け説明会の開催など重点エリアを絞り込んでいる点が差別化のポイントとなっています。

• ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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