新年明けましておめでとうございます。今年もタイトルにふさわしく、「出世株」を探すべく、皆様の資産運用のご参考になりますように銘柄を発掘していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。日経平均株価は、NY株式と連動してクリスマスまでは急落、年末から年が明けてからが急反発と、まるでジェットコ―スターに乗っているような展開となりました。
さて2019年はどういう年になるのでしょうか。一般的に新年の相場では、その年に話題となる「相場テーマ」の銘柄が注目されやすいと考えられます。12/26(水)の「新興株ウィークリー」では、2019年相場で注目されるとみられる「相場テーマ」の中から「人生100年時代」をチョイスし、それに関連した銘柄をご紹介しましたが、今回は「キャッシュレス決済」関連銘柄をピックアップしてみたいと思います。
日本は先進諸国の中では、キャッシュレス決済の分野では大きく遅れを取っています。政府は2020年の東京五輪開催を視野に入れ、キャッシュレス化比率を2027年までに現在の2倍以上の4割に引き上げることを政策目標としてして掲げています。このため関連銘柄には息の長い成長が期待できる見通しです。
図1:東証マザーズ指数(日足)
図2:JASDAQ平均(日足)
- ※図1・図2ともに当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
表1:主要株式指標の騰落率(12/25〜1/8)
指数 |
終値(1/8) |
騰落率 |
---|---|---|
日経平均株価 |
20,204.04 |
5.5% |
東証マザーズ指数 |
887.50 |
17.2% |
JASDAQ平均株価 |
3,278.34 |
8.0% |
表2:主要新興市場銘柄の騰落率(12/25〜1/8)
コード |
銘柄 |
終値(1/8) |
騰落率 |
---|---|---|---|
マザーズ市場の時価総額上位銘柄 |
|
||
4592 |
サンバイオ |
9,700 |
25.6% |
4385 |
メルカリ |
2,041 |
18.7% |
7806 |
MTG |
5,120 |
-1.2% |
2121 |
ミクシィ |
2,502 |
16.5% |
4565 |
そうせいグループ |
1,078 |
43.4% |
JASDAQ市場の時価総額上位銘柄 |
|
||
2702 |
日本マクドナルドホールディングス |
4,780 |
6.8% |
6324 |
ハーモニック・ドライブ・システムズ |
2,966 |
6.5% |
7564 |
ワークマン |
7,690 |
10.3% |
2782 |
セリア |
3,725 |
6.0% |
6425 |
ユニバーサルエンターテインメント |
3,430 |
20.4% |
直近上場銘柄・市場で話題の銘柄 |
|
||
3967 |
エルテス |
2,326 |
11.5% |
4593 |
ヘリオス |
1,783 |
20.6% |
6572 |
RPAホールディングス |
3,280 |
12.5% |
4384 |
ラクスル |
2,440 |
6.1% |
6544 |
ジャパンエレベーターサービスホールディングス |
1,728 |
12.7% |
- ※表1・表2はBloombergデータをもとにSBI証券が作成。騰落率は12/25(火)終値と1/8(火)終値の比較による。時価総額は12月末基準。
東証マザーズ指数の1/8(火)の終値は887.50と、12/25(火)の終値757.02から17.2%の大幅反発となりました。米国株式市場でNYダウがクリスマスの小売売上高の好調やFRBのパウエル議長が金融政策に柔軟な姿勢を示したことなどから反発に転じたことが、日本株市場にも買い安心感となりました。
同じ期間の日経平均株価の上昇率は5.5%で、東証マザーズ指数はそれを上回る上昇率となりました。主要銘柄やバイオ関連株などの好調が目立ちました。これまで日経平均株価よりも大きく下げてきた反動が出ました。流動性の問題から、日経平均株価に比べ株価の変動幅が大きい特徴も表れていると思われます。
12/25(火)〜1/8(火)の主な個別銘柄の値動きでは、サンバイオ(4592)やそうせいグループ(4565)などバイオ関連銘柄の上昇が目立ちました。これまで大きく下げてきたメルカリ(4385)も反発しました。
この期間のJASDAQ市場は8.0%の上昇と、やはり日経平均株価を上回る上昇率となりました。個別銘柄ではワークマン(7564)、ユニバーサルエンターテインメント(6425)などの上げが目立ちました。
※東証マザーズ指数について:東証マザーズ市場は近い将来東証1部へのステップアップを視野に入れた成長企業向けの市場です。マザーズ指数は、マザーズ市場に上場する全銘柄の時価総額加重平均型の指数です。ただし、一部の時価総額の大きい銘柄の影響度が大きい点に注意を要します。ちなみに12月末のマザーズ市場の時価総額に占める、サンバイオのシェアは11.8%、メルカリが5.6%、ミクシィが5.4%などとなっています。
株式の格言に、「国策に売りなし」というのがあります。国が実行しようとしている政策によって追い風を受ける銘柄は買うべし、と言う意味です。国の政策ですから、税金が投入されたり、政策を行うための規制緩和が進行します。この結果、このテーマに沿った企業の行動半径が広がったり、多くの場合売上高が増加するメリットを享受できるわけです。
冒頭でも触れましたが、「キャッシュレス決済」は、2020年の東京五輪を視野に入れながらも、わが国が目指している重要な施策です。日本は図3に見るように、キャッシュレス決済の比率が18.4%(2015年時点)と、世界的に見て最も遅れている国の一つとなっています。ちなみにトップの韓国の同比率は89.1%、2位の中国は60.0%となっています。
日本ではクレジットカード、デビットカード、交通系のカード(電子マネー)などの支払い手段の普及自体は世界的に見ても進んでいますが(支払い手段を有するカードの1人当たり保有枚数では7.7枚とシンガポールに次ぎ世界2位)、使用頻度や金額が小さいのがキャッシュレス決済比率の低さとなって表れています。
これは日本の場合、現金決済が主流となっていることが大きく作用しています。日本の「治安の良さ」、「貨幣=現金に対する信用力の高さ」などが背景となっています。また、世界的には稀有な銀行振り込みや銀行口座からの自動決済などのシステム普及も一因となっているようです。業者側の立場からも、クレジットカードの手数料、現金化までの期間の長さ、などの問題点が指摘できます。
しかし、日本の将来を考えた場合、少子高齢化や人口減少に伴う、労働力不足の時代を迎え、国の生産性向上は喫緊の課題となっています。キャッシュレス化の進展は、実店舗等の無人化・省力化につながるだけでなく、支払いデータの活用による消費の利便性や消費の活性化にもつながります。また、国としては不透明な現金資産の見える化や税収向上につながるメリットもあります。
こうした背景の中、政府は東京五輪での外国人訪日客の利便性向上、さらには10月に予定されている消費税増税に伴う景気対策としてキャッシュレス決済でのポイント還元策などを契機に、一気にキャッシュレス決済の普及を目指しているものと思われます。
図3:世界各国のキャッシュレス決済比率(2015年)
- ※経済産業省「キャッシュレス・ビジョン」よりSBI証券が作成。
それでは具体的に、銘柄をピックアップしてしましょう。「新興株ウィークリー」では、当社の銘柄検索ツールを使い、「決済サービス」、「クレジット」、「QRコード」、等のキーワードを入力し、「キャッシュレス決済」関連銘柄をピックアップしてみました。また、弊社の「テーマキラー!」投資でも、今月の注目テーマとして「キャッシュレス決済」を取り上げていますので、その銘柄も参考にしました。なお、範囲としては、東証マザーズおよびJASDAQに限定していますのでご注意ください。
※「テーマキラー!」投資に組み入れられている銘柄には、*印を付与しています
表3の14銘柄が、「新興株ウィークリー」が選んだ「キャッシュレス関連銘柄」です。今期の会社側の営業利益予想で増益率の高い順に並べたものです。これらの「キャッシュレス決済」関連銘柄が、2019年相場の主役の一つになる可能性は十分にあると考えられます。
これら銘柄は、概ね以下の3つのカテゴリーに分類されます。新興株市場に上場している条件をつけたため、会社規模が小さくニッチな市場に特化している、②のカテゴリーの会社が多くなったのが特徴です。
- ①ハード系 :キャッシュレス決済に必要な機器類の開発・販売
高見沢サイバネティックス(6424)、日本プリメックス(2795)、テクノホライゾン・ホールディングス(6629)
オプトエレクトロニクス(6664) - ②IT、ソフト系:キャッシュレス決済に必要なシステム開発・メンテナンスなど
メディアシーク(4824)、ビリングシステム(3623)、サインポスト(3996)、アイエックス・ナレッジ(9753)
テックファームホールディングス(3625)、バリューデザイン(3960)、アイリッジ(3917)、メタップス(6172) - ③小売業者・事業者系:キャッシュレス決済を活用し売り上げ増加を図る
メルカリ(4385)、SKIYAKI(3995)
表3:「キャッシュレス決済」関連有力銘柄はコレ!?
取引 | チャート | ポート フォリオ |
コード | 銘柄名 | 株価(円) (1/8) |
予想営業増益率 (今期) |
ポイント |
---|---|---|---|---|---|---|---|
追加 | 4824 | メディアシーク* | 706 | 黒字転換 | スマホ向けQRコード読み取りアプリ「アイコニット(ICONIT)」を提供 | ||
追加 | 6424 | 高見沢サイバネティックス* | 1,600 | 161.4% | 駅関係の電子マネー機器 チャージ機器を開発 | ||
追加 | 6629 | テクノホライゾン・ホールディングス* | 365 | 20.0% | 子会社がモバイル決済端末を販売 | ||
追加 | 3623 | ビリングシステム | 4,345 | 11.8% | QRコードがベースのスマホ決済ツール「PayB」を開発 | ||
追加 | 3996 | サインポスト* | 3,955 | 8.4% | 開発コンサル、無人レジ・セルフレジを手掛ける | ||
追加 | 9753 | アイエックス・ナレッジ | 747 | 7.7% | 独立系のシステム開発会社で金融機関向けに強み | ||
追加 | 2795 | 日本プリメックス | 895 | 0.6% | ミニプリンタの専門卸、セルフサービス情報端末「KIOSK」を手がける | ||
追加 | 3625 | テックファームホールディングス | 906 | -18.5% | カジノ向け電子マネーシステムを開発 | ||
追加 | 6664 | オプトエレクトロニクス* | 919 | -22.4% | 小売店向けのバーコードリーダーやQRコードリーダー読みとり機器 | ||
追加 | 3995 | SKIYAKI | 665 | -54.1% | イベント会場でのスマホ決済サービス「SKIYAKI PAY」を開発 | ||
追加 | 3960 | バリューデザイン | 2,121 | 赤字転落 | バリューカード(電子マネープラットフォーム)を開発 | ||
追加 | 4385 | メルカリ | 2,041 | ※赤字継続 | キャッシュレスサービス「メルペイ」を開発 | ||
追加 | 3917 | アイリッジ | 762 | 決算期変更 | QRコード活用の電子通貨サービス「MONEY EASY」を開発 | ||
追加 | 6172 | メタップス | 1,566 | 決算期変更 | 子会社がQRコードを用いた「pring(プリン)」を開発 |
- ※弊社検索ツール、各種資料等もとにSBI証券が作成。銘柄名に*がついているものは、弊社の「テーマキラー!」の組み入れ銘柄を示しています。予想営業増益率は会社予想です。なお※のメルカリのは会社予想業績が未公表のため、Bloomberg調べの市場コンセンサスを参考にしています。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
- ※NISA口座で上場株式等の配当金を非課税で受け取るためには、配当金の受領方法を「株式数比例配分方式」に事前にご登録いただく必要があります。
- ※信用取引において必要となるその他諸費用の詳細は信用取引のサービス概要をご確認ください。