3月も半ばとなり、じりじりと気温が上がっていくのを感じます。もう少しで重いコートを脱ぐことができると思うと、心も軽くなります。女子のプロゴルフは先週に沖縄で開幕戦が行われました。プロ野球もあと2週間ちょっと(3/29〜)で開幕です。
そうした中、3月相場がスタートし、米中貿易問題は織り込まれつつあるようですが、世界景気に対する懸念はいまだ払拭できず、株式市場は一進一退の展開となっています。
過去6ヵ月の新興株市場の株価パフォーマンスについては、東証マザーズ指数でみると2018/9/27(木)の高値1,086ポイントから3/12(火)には931ポイントと14.3%の下落となっています。これは日経平均株価に比べ若干ですが悪くなっています。新興株市場の流動性が相対的に乏しいうえ、リスクオフに伴うマーケット要因でPERが低下したことが背景にあると思われます。個別企業の業績に関しては、新興市場のほうが大型株に比べ相対的に内需依存度が高いのに加え、為替に左右される要素も少ないため、現在の収益環境はむしろ大型株に比べ優位にあると思われます。
今回の「新興株ウィークリー」では、新興市場の中でも個別の業績とはあまり関係なく、市場要因で売り込まれたと思われる銘柄にスポットを当てて、そのリバウンドを狙いたいと思います。皆さまの銘柄選択のご参考にしていただければ幸いです。
それでは早速スクリーニングにより、株価大幅安から反発が期待される好業績の新興株を抽出してみたいと思います。今回の条件は下記の6項目です。
(1)東証マザーズまたはJASDAQの上場銘柄であること
(2)過去6ヵ月の高値から40%以上、株価が下落していること
(3)原則として今期の会社予想経常利益が15%以上の増益であること
(4)ROE(自己資本利益率)が15%以上であること
(5)過去3年間の平均増収率が15%を上回っていること
(6)原則として直近四半期までの経常利益の年度予想利益に対する進捗率が標準(3Q決算なら75%、2Q決算なら50%)を上回っていること。ただし12月決算銘柄などで、現在まで四半期決算の開示がないものは、前期実績が15%以上の経常増益ならば可としました。
マザーズ指数は2018年9月の高値1,086.54から3/12(火)の931.04までの下落率は14.3%ですが、まず(2)によって、指数以上に大幅に値下がりしている銘柄を候補にします。次に(3)、(6)の条件により増益確度の高い銘柄に絞り込みます。また(4)、(5)により成長性および収益性が高く、なおかつ資本効率が高い銘柄に絞り込んでみました。
上記の条件を満たすすべての銘柄をコード番号順に並べたのが表1の7銘柄となります。なお、(1)から(5)までの抽出プロセスは当社WEBサイトのスクリーニング(銘柄条件検索)機能を使っています。投資家の皆様もご活用してみることをお勧めいたします。
表1の銘柄のうち数銘柄について、簡単に事業内容や投資のポイントをまとめてみました。
GA technologies(3491):2013年に創業した不動産テック企業です。AIやRPAを駆使し、自社で開発した中古不動産流通プラットフォーム「Renosy」により、物件関連情報の提供、投資用・住居用不動産の売買・仲介、リノベーション、資産管理を行っています。従業員の3〜4割がエンジニアで、システムやソフトウェアはほとんどすべてを内製化しています。AI導入で大幅な合理化を達成している点が注目されます。
アドベンチャー(6030):格安国内航空券の比較予約サイト「スカイチケット」の運営を行っている会社です。現在の主力は国内の航空券ですが、「スカイチケット」の多言語化を進めており、中長期的には世界のOTA(オンライン・トラベル・エージェント)を志向しています。一方、航空券周辺のパックツアー、ホテル、高速バス、空港送迎、外貨両替などの事業も取り込もうとしています。先行投資的意味合いのある広告宣伝費が負担となっていましたが、今後は利益が表面化するステージを迎えようとしています。大型連休関連銘柄としても注目されます。
リンクバル(6046):街コン主力のイベントECサイト「machicon JAPAN」を運営しています。婚活マッチングや恋愛情報等のWEBサービスも提供しています。知名度を活かし、他社開催のイベント掲載を増加させたことによる、イベント参加者拡大、費用の効率化で業績が好調です。今後は「街コン・婚活市場」から、さらに市場規模の大きい「コト消費市場」や、海外での事業展開が予想されます。
ピアラ(7044):2018年12月にマザーズに上場した新しい会社です。化粧品と健康食品に特化したECマーケティング支援が主な事業です。従来の広告代理店とは異なり、顧客のKPI保証型のマーケティング(成果報酬型)を実行しているのが特徴です。 化粧品や食品は定番品が多くリピートする商品のため、過去のデータの活用がしやすい市場です。同社は15年のコンサルティング経験から習得したデータを独自のAI学習で顧客のマーケティング費用を最適化します。
表1:株価大幅下落で狙いたい新興市場銘柄はコレ!?
取引 | チャート | ポート フォリオ |
コード | 銘柄名 | 株価(円) 3/12(火) |
過去6ヵ月間の高値からの下落率 % |
年間予想 経常増益率 % |
事業内容 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
追加 | 3491 | GA technologies | 2,705 | 41.4 | 75.7 | 中古不動産流通プラットフォーム「Renosy」を運営 | ||
追加 | 6030 | アドベンチャー | 5,110 | 56.7 | NA | 格安国内航空券の比較予約サイトを運営 | ||
追加 | 6046 | リンクバル | 971 | 45.0 | 39.6 | 街コン主力のイベントECサイトを運営 | ||
追加 | 7034 | プロレド・パートナーズ | 9,010 | 41.7 | 25.5 | ローコスト戦略が特徴の経営コンサル | ||
追加 | 7044 | ピアラ | 3,455 | 43.7 | 29.4 | 化粧品、健康食品特化のECマーケティング支援 | ||
追加 | 8938 | LCホールディングス | 1,108 | 41.5 | 52.4 | 倉庫などの不動産サブリース、ファンド事業 | ||
追加 | 9266 | 一家ダイニングプロジェクト | 1,561 | 40.7 | 20.4 | 首都圏主体の和食居酒屋チェーン運営 |
- ※弊社スクリーニングツール、会社資料等をもとにSBI証券が作成。GA technologiesは、今期から連結決算に移行しますが、予想増益率は従来の単体ベースを採用。アドベンチャーは会社予想利益を公表していませんが、第2四半期までの税引前利益増益率は71.0%増となっています。なお、過去6ヵ月間に株式分割が実施されている場合、それを加味した実質的な株価下落率になっています。
東証マザーズ指数の3/12(火)の終値は931.04と、3/5(火)の終値943.96から1.4%の下落となりました。JASDAQ平均も1.8%の下落となりました。いずれも日経平均の下落率1.0%を上回る下げとなりました。NY株式および日経平均株価は、米中通商問題というリスクイベントを、とりあえず無事に通過しましたが、その後は、世界景気の先行き懸念や2018年の米国の対中貿易赤字が最大となったことなどから先行きを警戒する姿勢が強まりました。
3/5(火)〜3/12(火)のマザーズ市場の個別銘柄では、先週大手証券会社のアナリストの買い推奨継続で急反発したサンバイオ(4592)が反落しました。またこれまで続伸を続けてきたメルカリ(4385)、ミクシィ(2121)などの時価総額比重の大きい主要銘柄が軒並み下落しました。
JASDAQ市場の主要銘柄では、2月の月次売上高で既存店売上高が11.9%増と好調だったワークマン(7564)が続伸となりましたが、それ以外の主力銘柄は軒並み値を下げました。
※東証マザーズ指数について:東証マザーズ市場は近い将来東証1部へのステップアップを視野に入れた成長企業向けの市場です。マザーズ指数は、マザーズ市場に上場する全銘柄の時価総額加重平均型の指数です。ただし、一部の時価総額の大きい銘柄の影響度が大きい点に注意を要します。ちなみに2月末のマザーズ市場の時価総額に占めるメルカリのシェアは8.2%、ミクシィが5.4%、アンジェスが4.9%、などとなっています。
図1:東証マザーズ指数(日足)
図2:JASDAQ平均(日足)
- ※図1、図2ともに当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
表2:主要株式指標の騰落率(3/5〜3/12)
指数 |
終値(3/12) |
騰落率 |
---|---|---|
日経平均株価 |
21,503.69 |
-1.0% |
東証マザーズ指数 |
931.04 |
-1.4% |
JASDAQ平均株価 |
3,423.50 |
-1.8% |
表3:主要新興市場銘柄の騰落率(3/5〜3/12)
コード |
銘柄 |
終値(3/12) |
騰落率 |
---|---|---|---|
マザーズ市場の時価総額上位銘柄 |
|
||
4385 |
メルカリ |
3,160 |
-5.4% |
2121 |
ミクシィ |
2,640 |
-4.7% |
3993 |
PKSHA Technology |
5,320 |
-0.7% |
4592 |
サンバイオ |
3,035 |
-6.9% |
3479 |
ティーケーピー |
3,360 |
-2.3% |
JASDAQ市場の時価総額上位銘柄 |
|
||
2702 |
日本マクドナルドホールディングス |
5,100 |
0.4% |
6324 |
ハーモニック・ドライブ・システムズ |
3,575 |
-5.0% |
7564 |
ワークマン |
9,510 |
3.0% |
2782 |
セリア |
3,835 |
-1.5% |
6425 |
ユニバーサルエンターテインメント |
3,350 |
-6.8% |
直近上場銘柄・市場で話題の銘柄 |
|
||
3967 |
エルテス |
1,845 |
-7.1% |
4593 |
ヘリオス |
1,803 |
-6.4% |
6572 |
RPAホールディングス |
3,060 |
-3.9% |
4384 |
ラクスル |
4,200 |
-4.9% |
6544 |
ジャパンエレベーターサービスホールディングス |
2,207 |
0.5% |
- ※表2・表3はBloombergデータをもとにSBI証券が作成。騰落率は3/5(火)終値と3/12(火)終値の比較による。時価総額は2月末基準。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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