東京では桜がかなり散ってしまいました。雨となった4/8(月)の朝の通勤は、桜並木の道路がピンクのカーペットとなってとても綺麗でした。ゴルフ場によっては、この時期グリーンならぬピンクの上でパターをするという珍事にめぐり合うこともたまにあります。ゴルフと言えば4/11(木)〜4/14(日)に米国でゴルフのマスターズが開催されます。日本からは松山選手をはじめ、アマチュアを含む4人が出場の予定です。できれば、日本時間の4/15(月)の朝にワクワクさせてもらいたいものです。
海の向こうでは、米国株が過去最高値付近まで回復し、中国株も1年振りの高値水準を取り戻しています。これら海外市場の回復を受けて東京市場にも転機が訪れているようで、日経平均株価は4/8(月)に一時、年初来高値を更新しました。
日経平均株価がこれから高値水準を回復してくる流れの中で、出遅れている新興株市場の銘柄の中にも年初来高値や昨年付けた高値を更新してくる銘柄が出てくると考えられます。
今回の「新興株ウィークリー」では、従来とは趣向を変えて、市場の平均的な動きに先んじて、既に株価がリバウンド基調に入ったと思われる銘柄、チャート的に「リバウンド形状の銘柄」の抽出を試みてみました。よく言われるフレーズに“Chart is Art”(チャートは芸術だ)というのがあります。チャートは今後の株価が、「強い形状」となる企業を暗示している可能性もあるのではないでしょうか。皆様の銘柄選定のヒントにもなれば幸いです。
冒頭でご説明した通り、日経平均株価は3/4(月)に付けた21,882円がこれまでの年初来高値(終値ベース)で、昨年10/2(火)に付けた24,270円がバブル崩壊後の高値となっています。これに対してマザーズ指数は、日経平均に比べて戻りが鈍く、昨年1/22(月)の高値1,351に対し、4/9(火)の終値は934の水準にとどまっています。
マザーズ指数が日経平均株価に比べて出遅れが目立っている背景としては、①指数に占める比重の大きい銘柄の株価が業績不振等の事情により相対的に弱い、②マザーズ市場には内需関連銘柄が多いのに対し、今回の日経平均株価回復はこれまで売り込まれてきた輸出関連や中国関連株の戻りが大きい、などの事情が考えられます。
そうした中、新興株市場の中にあって、平均的な動きに先んじて、年初来高値を回復に向かうような「チャート的に強い形状の銘柄」を抽出することができれば、日経平均株価が、高値水準を回復する流れの中で、投資パフォーマンスを引き上げることができるかもしれません。なぜなら「チャート的に強い形状」の銘柄には、それなりの理由があると考えることができるからです。ただ、投資家の方にとって「チャート的に強い形状の銘柄」というのは、1銘柄ごとチャートをチェックしながら、抽出するほかないのでしょうか。
SBI証券のWEBサイトで利用できる便利な機能を使えば、「チャート的に強い形状の銘柄」を短時間で抽出することが可能です。WEBサイトにある銘柄検索ウィンドウの周囲には、検索を手助けする各種のリンクが用意されています。このうち、「決算発表スケジュール」や「株主優待」、「テーマ投資」などについては、このレポートでもご紹介してきました。今回はこれらのリンクの中から「チャート形状」を使いたいと思います。
使い方は簡単です。「チャート形状」のリンクをクリックすると、上場銘柄を分類する25通りのチャート・パターンが表示されてきます。4/8(月)まで過去6ヵ月のチャートでは、形状が「リバウンド?」の形になっている銘柄が162あります。また「上昇?」の所をクリックすると114銘柄など、そのパターンにはどのような銘柄が属しているのかを知ることができます。
なお、おのおののチャートパターンが持つ意味については、右上の「ヘルプ」内に解説が出ています。また、チャート期間や上場市場等でさらに銘柄を絞り込む機能も付いています。今回はこの機能を用い、以下のような条件で銘柄を絞り込み、「リバウンド形状の銘柄」の抽出を試みてみました。
(1)マザーズ上場銘柄であること
(2)チャート期間を6ヵ月とし、そこで「リバウンド?」に分類されている銘柄であること
(3)4/8(月)までの過去1ヵ月、過去3ヵ月でも弱気なパターンに分類されていない銘柄であること
上記の条件で、抽出された銘柄が表1の8銘柄です。
なお、チャート・パターンとしての「リバウンド?」は、「一見して、下落から、反転して、株価が戻ってきたと思われる状態」と定義されています。停滞状態が続いているマザーズ指数にやや先行するイメージの銘柄がここにあると考えました。なお、チャート・パターンの名称の下には必ず「?」の印があります。あくまでも、チャートの形状から将来の株価の方向性として可能性が高い状態を表現したものであり、必ずしもその通りになるとは限らない点には注意が必要です。
なお「弱気なパターン」とは、「売り?」、「上昇ストップ?」、「行って来い?」、「戻らない?」、「下押す?」、「弱含み?」、「下落基調?」、「急落?」、「まだ下落?」といった9種類のパターンに属していることであると、ここでは定義したいと思います。
表1:「リバウンド形状銘柄」はコレ!?
取引 | チャート | ポート フォリオ |
コード | 銘柄名 | 株価 4/9(火) (円) |
年初来 高値 |
チャート上の ポイント |
---|---|---|---|---|---|---|---|
追加 | 2122 | インタースペース | 1,464 | 1,540 (4/4) |
昨年12/3(月)の高値1,693円を抜けることができれば、昨年8月の高値2,153円を目指す? | ||
追加 | 3695 | GMOリサーチ | 1,740 | 1,880 (4/2) |
昨年9月の高値1,842円を抜けており、次の節目は昨年1月の2,380円を意識 | ||
追加 | 4380 | Mマート | 1,930 | 2,371 (3/28) |
好調な決算発表を受けて過熱感は解消、26週線を回復 | ||
追加 | 4385 | メルカリ | 3,350 | 3,545 (3/28) |
赤字の海外事業縮小から株価は反転、昨年7月の4,975円が視野に | ||
追加 | 4396 | システムサポート | 1,443 | 1,570 (4/5) |
2/12(火)の決算発表を契機に株価は急回復後もちあい状態に | ||
追加 | 6537 | WASHハウス | 1,097 | 1,165 (4/8) |
業績回復を背景に長期のボックス圏から水準訂正へ | ||
追加 | 6558 | クックビズ | 1,997 | 2,200 (3/7) |
上場からの長期下落トレンドにピリオドか、4/12(金)に決算発表の予定 | ||
追加 | 6580 | ライトアップ | 2,391 | 2,989 (3/11) |
直近は三角保ち合い状態、5/15(水)の決算発表がヤマ場か |
- ※弊社チャートツール等を用いてSBI証券が作成。年初来高値は2019年に付けた高値で、カッコ内はそれを付けた月日。4/9(火)現在のデータで作成しており、その後変動しているケースもあります。
表1の銘柄の共通点としては、WASHハウス(6537)以外は、広義のIT・インターネット関連会社でした。こうした銘柄はその成長性から、PERを筆頭に高いバリュエーションで評価されていたものの、市場環境が経済全体の減速化を懸念するステージに移行したため、株価が調整したものが多いように感じます。このため、市場がリスクオンに転換しつつある現在の環境を背景に、株価もリバウンド傾向に転じているのではないでしょうか。それでは表1の中から数銘柄について、チャートと事業内容のポイントを簡単にご紹介したいと思います。
Mマート(4380)は、業務用の食材卸サイト「Mマート」、厨房機器・食器などの卸サイト「Bnet」などを運営している会社です。2018年2月に上場しましたが、上場時が株価の高値となりその後は大幅に下落しました。市場が期待したほど、収益が伸びなかったことが背景です。ただし、3/15(金)に発表された今期の業績見通しが、好調だったため、見直し買いから株価はリバウンドしました。裾野の広い業界なので成長余地は大きいと思われます。
メルカリ(4385)は、スマホ向けのフリマアプリのトップです。上場時にはユニコーン銘柄として脚光を浴びましたが、その後は海外事業の大幅な赤字継続が嫌気され、株価は上場時から70%以上下落しました。ただし、昨年末に赤字の英国でのフリマ事業からの撤退を発表してから、株価は回復に転じました。今後は決済機能の「メルペイ」の成長性が注目される可能性があります。
システムサポート(4396)は、2018年8月に上場したITシステム開発・保守を主体とする会社です。オラクルのデータベースに強みを持っています。ストック型収益源としてのデータセンターの受託事業にも注力しています。小売業界向けのクラウドサービスが好調で、業績は順調です。株価は昨年末には上場時の半値以下に値下がりしましたが、好調な収益状況から見直し買いが入り、リバウンド基調にあります。
図1:Mマート(4380)・日足
図2:メルカリ(4385)・日足
図3:システムサポート(4396)・日足
東証マザーズ指数の4/9(火)の終値は934.43と、4/2(火)の終値908.69から2.8%の大幅上昇となりました。JASDAQ平均は0.9%の上昇でした。日経平均は1.4%の上昇でしたから、マザーズ市場のパフォーマンスは良好でした。マザーズ市場の好調は、時価総額が大きな銘柄の株価上昇が主因です。また、日経平均と異なり、前週下げていたことも要因とみられます。
4/2(火)〜4/9(火)のマザーズ市場の個別銘柄では、時価総額が最大のメルカリ(4385)が5.0%の反発と指数全体の上昇にも寄与しました。前週の下げの自律反発と思われます。またサンバイオ(4592)が16.9%の大幅上昇となりました。開発中の再生細胞薬が厚生労働省から「先駆け審査指定制度」の対象品目指定を受けたことが好感されました。
JASDAQ市場の主要銘柄では、これまで急上昇したワークマン(7564)が利食いに押され反落しました。逆にハーモニック・ドライブ・システムズ(6324)は、13.6%の上昇と堅調でした。中国のPMI改善による業績回復期待が背景と思われます。
※東証マザーズ指数について:東証マザーズ市場は近い将来東証1部へのステップアップを視野に入れた成長企業向けの市場です。マザーズ指数は、マザーズ市場に上場する全銘柄の時価総額加重平均型の指数です。ただし、一部の時価総額の大きい銘柄の影響度が大きい点に注意を要します。ちなみに3月末のマザーズ市場の時価総額に占めるメルカリのシェアは9.2%、ミクシィが5.1%、アンジェスが4.8%、などとなっています。
図4:東証マザーズ指数(日足)
図5:JASDAQ平均(日足)
- ※図4、図5ともに当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
表2:主要株式指標の騰落率(4/2〜4/9)
指数 |
終値(4/9) |
騰落率 |
---|---|---|
日経平均株価 |
21,802.59 |
1.4% |
東証マザーズ指数 |
934.43 |
2.8% |
JASDAQ平均株価 |
3,454.12 |
0.9% |
表3:主要新興市場銘柄の騰落率(4/2〜4/9)
コード |
銘柄 |
終値(4/9) |
騰落率 |
---|---|---|---|
マザーズ市場の時価総額上位銘柄 |
|
||
4385 |
メルカリ |
3,350 |
5.0% |
2121 |
ミクシィ |
2,574 |
2.5% |
3993 |
PKSHA Technology |
6,300 |
3.1% |
4592 |
サンバイオ |
3,245 |
16.9% |
4384 |
ラクスル |
3,970 |
-5.4% |
JASDAQ市場の時価総額上位銘柄 |
|
||
2702 |
日本マクドナルドホールディングス |
5,000 |
-3.1% |
7564 |
ワークマン |
5,180 |
-4.4% |
6324 |
ハーモニック・ドライブ・システムズ |
4,600 |
13.6% |
2782 |
セリア |
3,715 |
1.1% |
6425 |
ユニバーサルエンターテインメント |
3,475 |
4.5% |
直近上場銘柄・市場で話題の銘柄 |
|
||
3967 |
エルテス |
1,555 |
-2.3% |
7806 |
MTG |
1,714 |
2.2% |
6030 |
アドベンチャー |
4,825 |
-6.3% |
4384 |
ラクスル |
3,970 |
-5.4% |
3990 |
UUUM |
5,780 |
11.8% |
- ※表2・表3はBloombergデータをもとにSBI証券が作成。騰落率は4/2(火)終値と4/9(火)終値の比較による。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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