いよいよ10連休が目前です。これまで自身としては9連休（5日間の平日を有給休暇+土日が2日ずつ）の経験が最多でしたので、今から楽しみです。とはいっても、やることが決まっている日程は4日間のみで、あとの6日は何も決まっていません。近場で、普段は行かない、行けないような所を訪ねてみようと思います。

さて前回の「新興株ウィークリー」では、決算発表シーズンを前にして、マザーズ市場銘柄で上方修正の可能性がある銘柄の抽出を試みてみましたが、今回はJASDAQ市場銘柄を対象にしてみました。なんといっても、業績の上方修正は株価上昇のインパクトが大きいイベントです。皆さまの銘柄選定のヒントになれば幸いです。

冒頭でご説明したように、今回の「新興株ウィークリー」では、決算発表シーズンを控え、業績見通しの上方修正や好業績での着地が期待できる銘柄を抽出すべくスクリーニングを行ってみました。今回のスクリーニング条件は以下の通りです。

（1）JASDAQ上場銘柄であること
（2）今期の会社予想経常増益率が20％以上であること（会社予想を公表していない銘柄は除外）
（3）直近四半期までの累計経常利益の進捗率が会社予想経常利益（年間）に対して標準以上であること
　　*1Q決算なら25％、2Q決算なら50％、3Q決算なら75％以上
　　*四半期決算がない場合（12月決算など）は、対象から除外しました
（4）ROE（※）が10%以上であること
（5）4/23（火）時点の株価が年初来安値から30%以上上昇していないこと
（6）直近の四半期決算発表より後に業績予想の上方修正を行っていないこと
（7）時価総額が50億円以上であること

これらの全条件を満たす銘柄を、コード番号順に並べたものが表1です。「新興株ウィークリー」では、これらの銘柄は今後、決算発表が本格化する東京株式市場で、活躍が期待できる銘柄であると評価しています。

3月決算銘柄の場合、2019年3月期の業績については、第3四半期累計（2018年4〜12月期）期間まで発表済みであり、未発表の2019年1〜3月期分の業績を加え、通期（2019年3月期）業績として発表されることになります。したがって、現時点で通期業績を決め打ちすることはできません。しかし、第3四半期累計期間までの業績が好調であれば、通期の会社予想経常利益を達成する可能性が大きく、場合によっては上方修正される可能性が相対的に大きいと考えられます。

ただ、狙い通りに新聞等で好業績が観測報道され、その後に決算発表が出た場合、新聞報道直後が株価のピークになる場合もあります。また、仮に好決算を発表しても、2020年3月期の新しい会社予想業績が市場コンセンサスを下回り、株価が下落するというパターンもこれまで数多く観測されており、注意を要します。

なお（5）の条件は、企業が上方修正を行っていなくても、株価が既にその期待を元に上昇しているものを排除するために加えてみました。

• ※ROEは当社WEBサイトの個別銘柄の業績を紹介したペーシで用いられている予想ベースの数字です。

取引	チャート	ポート フォリオ	コード	銘柄名	株価 4/23（火） （円）	今期会社予想 経常増益率 ％	直近四半期 までの進捗率 （四半期、進捗率）
		追加	2179	成学社	921	82.0	157.2％、3Q
		追加	2332	クエスト	1,049	497.2	84.2％、3Q
		追加	3242	アーバネットコーポレーション	344	20.8	75.1％、2Q
		追加	3641	パピレス	2,109	40.5	94.6％、3Q
		追加	3798	ULSグループ	1,862	23.7	77.5％、3Q
		追加	6626	SEMITEC	5,060	65.0	91.8％、3Q
		追加	7826	フルヤ金属	4,815	40.8	61.5％、2Q
		追加	9707	ユニマット　リタイアメント・コミュニティ	1,805	29.8	96.7％、3Q

• ※Bloombergデータ、会社資料等をもとにSBI証券が作成。今期会社予想経常増益率は4/23（火）現在のデータで作成しており、その後変動しているケースもあります。

それでは表1で抽出された銘柄のうち数銘柄について、チャートと事業内容のポイントを簡単にご紹介したいと思います。

パピレス（3641）は、1995年に富士通（6702）の社外ベンチャーとして設立され、2010年にJASDAQに上場しています。電子書籍配信のさきがけとなった会社で、「電子書店パピレス」、「Renta！」などを運営しています。台湾や米国にも進出しています。紙の出版市場が縮小する中、電子書籍の市場は順調に拡大しており、同社にとって追い風となっています。成長市場ゆえ海賊版サイトの出現が問題となっていましたが、業界を挙げての取り組みが成功し、事態は正常化しつつあります。3Qまでに年度予想経常利益の94.6％を稼いでおり、超過達成の可能性が高いと思われます。
5/14（火）に決算発表を予定しています。

SEMITEC（6626）は、1958年に創業された歴史のある会社で、センサの専業メーカーです。エアコン、冷蔵庫などの家電製品や、自動車、情報機器、体温計など幅広い業界で使用される温度センサを製造しています。製品はセラミック製造技術を用いて製造されるバルクセンサを主体に、薄膜センサ、赤外線センサなども製造しています。EV・HEVの自動車向けや血糖値測定器向けの医療用の需要が好調で、3Qまでに年度予想経常利益の91.8％を達成しています。5/10（金）に決算発表を予定しています。

ユニマット リタイアメント・コミュニティ（9707）は、ユニマットグループの傘下企業で、多機能型介護施設の「そよ風」を主体に全国に289の拠点、608事業所（2018年9月末時点）を有しています。デイケアやショートステイが主体ですが、有料の老人ホーム、サービス付高齢者住宅等も運営しています。コーヒー店などの飲食事業も行っています。設備稼働率の上昇、経費削減効果などで業績は好調です。3Qまでに年度予想経常利益の96.7％を達成しています。5/15（水）に決算発表を予定しています。

図1：パピレス（3641）・日足

図2：SEMITEC（6626）・日足

図3：ユニマット リタイアメント・コミュニティ(9707)・日足

• ※図1、2、3ともに当社チャートツール等を用いてSBI証券が作成。

東証マザーズ指数の4/23（火）終値は927.50と、4/16（火）終値932.26から0.5％の小幅続落となりました。JASDAQ平均も0.8％の小幅下落でした。日経平均は0.2％の小幅上昇でしたから、マザーズ、JASDAQともパフォーマンスは劣位となりました。株式相場全般に大型連休を控えて、投資家の慎重姿勢が目立ちました。

4/16（火）〜4/23（火）のマザーズ市場の個別銘柄では、時価総額が最大のメルカリ（4385）が8.2％の下落となりましたが、新薬の臨床試験データが良好との発表があったサンバイオ（4592）が26.6％の大幅上昇となりました。前週に決算発表で通期予想が据え置きとなったことから、失望売りで大幅下落となったUUUM（3990）は、さらに13.9％の大幅続落となりました。逆に前週に業績予想の上方修正を発表したSHIFT（3697）は5.3％の続伸となりました。

JASDAQ市場の主要銘柄では、これまで急上昇したワークマン（7564）が4.8%の下落となりました。前週、投資ファンドの大量保有報告書提出で上昇したハーモニック･ドライブ･システムズ（6324）は、利食いに押されました。

※東証マザーズ指数について：東証マザーズ市場は近い将来東証1部へのステップアップを視野に入れた成長企業向けの市場です。マザーズ指数は、マザーズ市場に上場する全銘柄の時価総額加重平均型の指数です。ただし、一部の時価総額の大きい銘柄の影響度が大きい点に注意を要します。ちなみに3月末のマザーズ市場の時価総額に占めるメルカリのシェアは9.2％、ミクシィが5.1％などとなっています。

• ※図4、図5ともに当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。

• ※表2・表3はBloombergデータをもとにSBI証券が作成。騰落率は4/16（火）終値と4/23（火）終値の比較による。

• ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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