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ロングランテーマ「AI関連銘柄」に注目

2020/1/29
投資情報部 長谷川 稔

10−12月期決算発表が本格化する中、株式市場は新型コロナウイルスの感染拡大を懸念して世界的な株安状態となっています。正確な情報が不足している状況で、相場は感染者数の拡大を嫌気していますが、一方で現在の時点では感染者数に対する致死率が、かつて流行したSARSやMERSに比べて低いというデータもあります。

当面、感染者数は増加することが予想され、株式市場は不安定な状況が続く可能性があります。ただし、中国政府は強固なリーダーシップで流行拡大の対策を打ち出しており、今後の気温上昇に伴い、感染がピークアウト≒相場の底入れ、の可能性が高いのではないでしょうか。この件に関しては、1/28(火)付けの、225の『ココがポイント』で詳しく解説していますので、ぜひご一読ください。

さて、今回の「新興株ウィークリー」では、株式市場でのロングランテーマと思われる「AI関連銘柄」を取り上げてみました。皆様の投資のご参考になれば幸いです。「AI」は当社の「テーマキラー!」の中で、閲覧数が常に上位に来ている人気テーマの一つです。また、最近1年間の騰落率も+28.88%(1/28時点)と、良好な成績を上げています。

株式相場の不安定な時期は、長期方針で成長が期待できる銘柄への投資チャンスととらえることもできるのではないでしょうか。みなさまの投資のご参考にしていただければ幸いです。

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1「AI」関連銘柄は好パフォーマンス;国策に売りなし!?

昔からある株式投資の格言に、「国策に売りなし」というものがあります。国が実行しようとしている政策によって追い風を受ける銘柄は買うべし、という意味です。国の政策ですから、税金が投入されたり、政策を行うための規制緩和が同時に進行します。したがって、このテーマに沿った企業の行動範囲が広がったり、多くの場合売上高、利益が増加するメリットを享受できるわけです。

経済産業省の産業構造審議会がまとめた「新産業構造ビジョン〜一人ひとりの、世界の課題を解決する日本の未来〜」では、アベノミクス成長戦略において、成長戦略第2ステージの課題として、最大の鍵は第4次産業革命技術の社会実装(IoT、ビッグデータ、AI=人工知能、ロボット等の活用)による、新たな製品・サービスの創出および生産性革命を提唱しています。AIは、ディープラーニングにより、画期的な速度で進歩を遂げており、第4次産業革命で想定される技術進歩の基盤としての役割を担っています。

日本は、少子高齢化や人口減少に伴い、今後は労働力不足の時代を迎えます。2030年代には人口の3分の1が65歳以上となると推定されています。このため、国の生産性向上は喫緊の課題となっています。そのためには、IoT、自動運転、創薬を含む医療、フィンテック、ロボット化などが必要となりますが、「AI」は、これら全ての分野の進歩に欠かせない要素技術(テクノロジー)と言えるのではないでしょうか。

ちなみにSBI証券では、有望な投資テーマを自ら決めることができ、当該テーマに関連した最大10銘柄への分散投資を行うことができる投資サービス「テーマキラー!」をご提供しています。数多くの投資テーマの中から、アクセス数の多い投資テーマ、人気が急上昇している投資テーマ、テーマ別の運用成績が常に公開されています。また5万円からの少額資金で分散投資できるメリットも大きいと思われます。

この「テーマキラー!」の中で、「AI」はアクセスランキングで常に上位にランクされる人気テーマとなっています。また、過去1年間の投資成績で見ても、「AI」は+28.88%と良好な実績を残しています。
*投資成績は1/28(火)時点。

図1:第4次産業革命とは

  • ※経済産業省、産業構造審議会「新産業構造ビジョン」(2017)より

2新興市場の有望「AI関連銘柄」はコレ!?

それでは具体的に、銘柄をピックアップしてみましょう。「新興株ウィークリー」では、当社の銘柄検索ツールを使い、「人工知能」というキーワードを入力し、「AI」関連銘柄を抽出してみました。この他、「新興株ウィークリー」が「AI」関連と思う銘柄もピックアップしてみました。なお範囲としては、東証マザーズおよびJASDAQに限定していますのでご注意ください。

表1が、「新興株ウィークリー」が選んだ「AI」関連銘柄です。抽出された銘柄がかなり多数になったため、業績寄与が大きいと期待されるもの、会社側が「AI」を注力分野として取り組んでいるものを、「新興株ウィークリー」が選別しました。また、今期の会社側の営業利益予想で増益率の高い順に並べてみました。これらの「AI」関連銘柄が、今後の相場の主役の一つになる可能性は十分にあると考えられます。

表1 「AI関連銘柄」

取引 チャート ポート
フォリオ
コード 銘柄名 株価(円)
1月28日
今期の会社予想
経常増益率
(%)
事業内容とポイント
3967 3967 3967 3967 エルテス 2,257 325.9% ビッグデータでデジタルセキュリティー対策
4425 4425 4425 4425 Kudan 8,410 106.6% 人工知覚の開発会社
3906 3906 3906 3906 ALBERT 8,770 80.7% ビッグデータの分析が得意
4427 4427 4427 4427 EduLab 4,640 31.8% AI活用による教育、事務合理化ビジネス拡大
6597 6597 6597 6597 HPCシステムズ 2,941 24.7% AI分野で高性能コンピュータの需要拡大
3993 3993 3993 3993 PKSHA Technology 3,285 19.8% AIの核となるアルゴリズム開発会社
3625 3625 3625 3625 テックファームホールディングス 1,549 10.5% AI活用の新ソリューション開発に期待
3653 3653 3653 3653 モルフォ 3,105 1.4% 画像系AI技術に強み
3652 3652 3652 3652 ディジタルメディアプロフェッショナル 3,920 -9.9% ファブレス半導体からAI製品へ拡大図る
4488 4488 4488 4488 AI inside 13,700 黒字転換 AI使用の手書き文字認識サービス提供
  • ※当社検索ツール、各種資料等をもとにSBI証券が作成。

それでは表1で抽出された銘柄群のうち数銘柄について、チャートとポイントを簡単にご紹介したいと思います。

エルテス(3967);SNS上の炎上対策、コンサルタント業務を行う会社です。ビッグデータの解析により早期にリスクを検知し、対策を立てます。クライアントには著名な消費財や食品メーカーなどが数多く並んでいます。データ解析技術をもとに業務の多角化を図っており、現在は国際会議やイベントでのテロ対策事業に注力しています。テロ対策の専門家をリクルートするなど注力しており、東京五輪での受注に期待が持てそうです。過去には伊勢志摩サミットや東京ガールズコレクションでの受注実績があります。
新しい事業分野としては、本人認証技術が面白そうです。政府はマイナンバーの普及に注力していますが、同社では個人認証分野で先端を行っているエストニア(国民IDカードの普及率が世界最高)のCYBERNETICA社の技術を採用したアプリケーションの開発を開始しています。

Kudan(4425);2018年12月にマザーズに上場したコンピューターやロボットなどの機械に、視覚を付与する人工知覚の研究開発会社です。英国に研究開発拠点を有し、日本法人が管理業務および市場開拓を行っています。AI(人工知能)の発展を受けて、機械と人工知覚を融合することにより、様々な分野の製品への応用が期待されます。とりわけ、自動運転、IoTなどの分野での市場拡大が期待できそうです。新規顧客の開拓により、前3月期に営業損益で黒字転換を達成。今期は大幅増益を計画しています。成長ストーリーが描きやすい事業内容のため、新規公開後に人気化しましたがその反動で株価は調整しています。ただし、業績がテイクオフ局面を迎えてきたため、株価の転換点も近いように思われます。


ALBERT(3906); AI、ディープラーニング技術を活用し、ビッグデータの分析を行う会社です。独自のアルゴリズム開発に強みを持っています。トヨタ、東京海上日動火災、KDDIなどと資本業務提携を結んでいますが、昨年7月には三井住友FGとも業務提携を発表しています。資本業務提携の効果やビッグデータ分析へのニーズ増加から業績は順調です。筆頭株主のファンドの新株予約権行使から発行済み株式数が増加しましたが、資本提携先や中長期保有の機関投資家向けへの株式譲渡による出口戦略を取り、ファンドによる市場での株式売却は行わない方針を表明しています。

PKSHA Technology(3993);2012年にアルゴリズム(問題解決の手順でプログラミングを最適化する)の研究を行う技術者・研究者によって創業された会社です。AIのバックボーンとなるディープラーニング、ブロックチェーンなどは革新的なアルゴリズムの産物です。同社はアルゴリズムを使った自然言語処理、画像認識、機械学習/ディープラーニングに関わるソリューションを提供しています。AIアルゴリズム販売の客層が広がっており、先行投資負担を吸収しつつ業績は好調です。前期に買収したアイドラ社とのシナジー効果にも期待が持てます。

ディジタルメディアプロフェッショナル(3652); 研究開発型のファブレス半導体企業です。NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)から人工知能アルゴリズムにより、省電力AIエンジンの処理効率を従来比で10倍以上にする技術開発研究を受託するなど、高い技術力を有しています。組込みシステムのビジュアル・コンピューティング分野を事業の中核とし、独自開発した2D/3Dグラフィックス技術のハードウェアIP(論理設計データ等)やソフトウェアIP (ハードウェアを制御するドライバーやコンテンツ制作を支援するツール類) のライセンス、及びこれらIPを搭載したグラフィックスLSIの開発・販売を主な事業としています。新型の画像処理用LSIの販売増加が寄与し、売上高は好調ですが、開発体制強化による人員増加で、今期の利益は弱含み横ばい圏にとどまる見通しです。

図2 エルテス(3967)・日足

図3 Kudan(4425)・日足

図4 ALBERT(3906)・日足

図5 PKSHA Technology(3993)・日足

図6 ディジタルメディアプロフェッショナル(3652)・日足

  • ※図2から図6は、当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。

2【新興市場Now】マザーズは大幅続落、JASDAQも反落

東証マザーズ指数の1/28(火)終値は850.42と、1/21(火)終値886.24に対して4.0%の続落となりました。一方JASDAQ平均は2.0%の反落となりました。同じ期間の日経平均は2.7%の下落でした。新型コロナウイルスの感染拡大から世界的な株安となりましたが、流動性の面で劣位にあるマザーズの下落が目立ちました。

マザーズ市場の時価総額上位のメルカリ(4385)ラクス(3923)ティーケーピー(3479)はいずれも、大幅な下落となりました。そーせいグループ(4565)などは堅調でした。そのほかの主力銘柄では27日に3Q決算で営業減益を公表した弁護士ドットコム(6027)の大幅下落が目立っています。また前回AIを使った新しい寝具の発売を材料として上昇したMTG(7806)も大幅反落となりました。

JASDAQ市場の時価総額が大きい銘柄では、ワークマン(7564)日本マクドナルドホールディングス(2702)ハーモニック・ドライブ・システムズ(6324)がいずれも小幅下落となりました。

※東証マザーズ指数について:東証マザーズ市場は近い将来東証1部へのステップアップを視野に入れた成長企業向けの市場です。マザーズ指数は、マザーズ市場に上場する全銘柄の時価総額加重平均型(浮動株調整後)の指数です。ただし、一部の時価総額の大きい銘柄の影響度が大きい点に注意を要します。ちなみに昨年12月末のマザーズ市場の時価総額に占める構成比は、そーせいグループ(4565)が6.6%、メルカリ(4385)が6.1%、ジーエヌアイグループ(2160)が4.7%、ミクシィ(2121)が3.6%などとなっています。

図7:東証マザーズ指数(日足)

https://sbisec.akamaized.net/sbisec/images/base/g_market_report_dom_em_weekly_200129_11.gif

図8:JASDAQ平均(日足)

https://sbisec.akamaized.net/sbisec/images/base/g_market_report_dom_em_weekly_200129_12.gif
  • ※図7、図8ともに当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。

表2:主要株式指標の騰落率(1/21〜1/28)

指数 終値(1/28) 騰落率
日経平均株価 23,215.71 -2.7%
東証マザーズ指数 850.42 -4.0%
JASDAQ平均株価 3,872.78 -2.0%

表3:主要新興市場銘柄の騰落率(1/21〜1/28)

コード 銘柄 終値(1/28) 騰落率
マザーズ市場の時価総額上位銘柄
4385 メルカリ 1,875 -8.1%
3923 ラクス 1,840 -7.8%
3479 ティーケーピー 4,060 -9.5%
4565 そーせいグループ 2,068 -3.1%
2121 ミクシィ 1,945 -2.5%
JASDAQ市場の時価総額上位銘柄
7564 ワークマン 9,310 -1.7%
2702 日本マクドナルドホールディングス 5,190 -0.8%
6324 ハーモニック・ドライブ・システムズ 5,110 -2.5%
6425 ユニバーサルエンターテインメント 3,305 -8.6%
4816 東映アニメーション 5,310 -1.3%
直近上場銘柄・市場で話題の銘柄
3967 エルテス 2,257 -3.5%
4593 ヘリオス 1,947 8.7%
6027 弁護士ドットコム 4,450 -17.9%
4592 サンバイオ 2,434 -8.4%
7806 MTG 850 -10.3%
  • ※表2・表3はBloombergデータをもとにSBI証券が作成。騰落率は1/21(火)と1/28(火)終値の比較による。時価総額は12月末基準。
  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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