世界の株式市場は3月までは大波乱となりましたが、4月に入り、ようやく落ち着きを取り戻しつつあります。4/20(月)以降は原油相場の急落から、調整局面となっていますが、大きな相場の流れからは、世界の株式市場は「ポスト・コロナ」相場への模索を始める段階に入ったように思います。これは世界的に相場混乱の引き金となった新型コロナウイルスの感染拡大にピークアウトの兆しが出てきたことがおもな要因です。
日本では、マスメディアの報道を見る限りは、感染収束の兆しを感じづらいのですが、データで見る限りは、実際の新規感染者数はピークアウの傾向もみられ、我が国の株式相場は案外、今後も堅調に推移する可能性がありそうです。チャート形状の改善等も加味すれば、日経平均株価が2万円を回復しても不思議ではないと思います。
この辺の分析については、4/21(火)の「225の『ココがpoint!』」で詳しく述べていますので、ご参考にしていただきたいと思います。
そこで、今回の「新興株ウィークリー」では、仮に新型コロナウイルスの感染拡大を背景とする波乱相場が一巡し、底入れから反発に向かうと想定した場合、大幅反発が期待できそうな銘柄をスクリーニングにより、抽出してみました。皆さまの投資のご参考になれば幸いです。
それでは早速銘柄をピックアップしてみましょう。今回は当社Webサイトの「スクリーニング(銘柄条件検索)」機能を使って抽出してみます。条件は以下のとおりです。
(1)東証マザーズまたはJASDAQの上場銘柄で、時価総額が50億円以上の銘柄であること
(2)直近四半期(または通期)まで経常黒字で、今期会社予想経常利益(4/21(火)時点)も黒字見通しの銘柄であること
(3)当座比率(当座資産/流動負債)が150%以上の銘柄であること
(4)年初来高値からの株価下落率が50%超の銘柄であること
(5)最低投資単位(100株)における投資金額が20万円未満の銘柄であること
スクリーングの考え方としては、(2)でまず業績面で相対的に不安の少ないと思われる銘柄を抽出した後、(3)によりキャッシュリッチで厳しい環境にも耐えるだけのバランスシートを持っている会社を選抜しました。最後に(4)により、これまでの株価が大きく下落しており、来るべき反発局面のエネルギーが高そうな銘柄に絞りこんでみました。
上記のすべての条件を満たす全銘柄について、足元の株価下落率の大きい順に並べたものが表1になります。これらの銘柄は、20万円未満で買え、「ポスト・コロナ」で大幅反発が期待される銘柄と「新興株ウィークリー」では考えています。
表1 20万円未満で買え、「ポスト・コロナ」で大幅反発が期待される銘柄
取引 | チャート | ポート フォリオ |
コード | 銘柄名 | 株価(円) 4月21日 |
年初来高値からの 下落率(%) |
決算発表 予定日 |
4800 | 4800 | 4800 | 4800 | オリコン | 744 | -60.8 | 5/11 |
7050 | 7050 | 7050 | 7050 | フロンティアインターナショナル | 1,559 | -60.4 | - |
3990 | 3990 | 3990 | 3990 | UUUM | 1,897 | -60.3 | - |
3356 | 3356 | 3356 | 3356 | テリロジー | 429 | -59.3 | 5/14 |
5903 | 5903 | 5903 | 5903 | シンポ | 1,014 | -56.8 | 5/7 |
7803 | 7803 | 7803 | 7803 | ブシロード | 1,658 | -56.7 | - |
2160 | 2160 | 2160 | 2160 | ジーエヌアイグループ | 1,245 | -53.3 | 5/14 |
- ※SBI証券Webサイトの「スクリーニング(銘柄条件検索)」等より作成。決算発表予定日は、現在までのところ次の四半期決算(期末も含む)の発表予定が決定している銘柄です。ただし、決算発表予定日は変更される場合があります。
それでは(1)で抽出された銘柄群のうち数銘柄について、チャートとポイントを簡単にご紹介します。
オリコン(4800);音楽データベース(ヒットチャート)から出発した会社ですが、現在はニュース配信や顧客満足度(CS)調査などのコミュニケーション事業と、スマホやフィーチャーフォン向けのコンテンツ配信(100万曲以上の音楽配信)事業が経営の両輪です。
音楽配信は競合もあり低調ですが、CS調査のジャンル拡大、PV数増加による広告収入増加で業績は順調です。メディアを切り口としたYouTuberの育成や、インフルエンサービジネスにも展開しようとしている点が注目されます。
UUUM(3990);YouTuberの制作サポート事業を展開しています。動画視聴数連動のアドセンス、広告収入が柱です。同社の特徴は、「はじめしゃちょー」、「HIKAKIN」などの人気専属YouTuberを多数そろえていること。新領域としては人気インスタグラマーによる動画広告の制作サービスも手がけています。
日本の動画広告市場はTV市場に比べ10%未満程度と小さく、成長余地は高いと見られます。今期は新型コロナウイルスの影響によるイベントの中止やシェア低下による広告収入減を見込み、4/14(火)に下方修正を行っていますが、長期的には成長余地は高いとみています。
シンポ(5903);1970年代に厨房機器の設計・施工メーカーとして設立されましたが、焼き肉用の無煙ロースターが好評を博し業容を拡大した会社です。現在は無煙ロースターの製造販売・施工に特化しています。国内のみならず中国や米国での販売にも注力中です。無煙ロースター以外にも空調設備、内装設備などの受注や、「アミ洗浄事業」にも乗り出しています。今期は一部製品・部材の値上げ実施から業績は順調な見通しです。
ブシロード(7803);2019年7月にマザーズに上場しています。エンターテインメント事業と新日本プロレスの興行を中心とするスポーツ事業の2つが経営の柱です。エンターテインメント事業は自社開発・所有のIP(著作権、商標権)を使ったトレーディングカードやモバイルオンラインゲームなどが主力です。
「バンドリ!」、「新日本プロレス」、「ヴァンガード」などの主力IPが好調で、今期の業績も堅調と思われます。自社IPや興行ビジネスにおけるノウハウがeスポーツ分野でも生かされる可能性がありそうです。
ジーエヌアイグループ(2160); 2007年にマザーズに上場している創薬ベンチャー企業です。中国を拠点に、新薬探索・臨床開発から製造、販売まで一貫した活動を行っています。また創薬のターゲットは、アジアに患者の多い疾患に絞り込んでいるのが特徴です。
中国でのコスト優位性を活かし、より早期に新薬の承認を取得し、中国での販売をベースに、他地域への市場拡大を目指しています。この他、ライセンス・イン/アウト、共同開発を含め国際市場へと幅広く事業展開するのが長期戦略となっています。当面の業績は中国で発売開始となった肺線維症治療薬の好調で堅調です。
図1 オリコン(4800)・日足
図2 UUUM(3990)・日足
図3 シンポ(5903)・日足
図4 ブシロード(7803)・日足
図5 ジーエヌアイグループ(2160)・日足
- ※図1から図5は、当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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