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逆境にめげない抵抗力ある新興市場銘柄をピックアップ!!

2020/5/20
投資情報部 長谷川 稔

3月期決算の業績発表が5/18(月)までで、特に主要企業についてはおおむね一巡しました。新型コロナウイルスの感染拡大による悪影響から、大半の企業で1-3月期の業績悪化が観測されました。ただし、中には数少ないながら好調な業績を発表した企業も見受けられました。そうした企業の株価が、いつにもまして市場で高い評価を受けたのが、今回の決算シーズンの特徴のように思われます。

日本での新型コロナウイルスの新規感染者数は明確に減少トレンドに転じ、経済活動再開の道筋を模索するステージに移行してきました。しかしながら、3ヵ月、6ヵ月の近未来に、我々の生活は完全にコロナ以前の状態に戻るでしょうか?残念ながら新型コロナウイルスの感染再拡大の懸念が払拭できないとみられ、ある程度抑制されたものになるのではないでしょうか。

そのような前提を置いた場合、今後の投資対象を考慮する際に、従来の景気サイクルの回復局面で物色されたような銘柄や業種を選択するのは、今回の場合ややリスクを伴うのではないかと、「新興株ウィークリー」は考えています。

具体的には、次の3月決算銘柄の4‐6月期決算が一つのポイントとなるように思います。今回の決算発表では、過半数の企業が今期業績見通しを公表していません。ただし4-6月期決算が発表される7月下旬以降までには、全国的にも緊急事態宣言が解除されるなど、正常化への道筋が開け、決算発表時に業績予想を公表する企業が増加するものと考えられます。

しかし、4‐6月期の業績は、多くの企業で1-3月期に比べより悪化する懸念が強いのではないでしょうか。このため新たな企業側の業績予想も含め、ネガティブサプライズが頻繁に発生するリスクがあるのではないでしょうか?

そこで今回の「新興株ウィークリー」では、企業業績が逆風にもめげない抵抗力のある企業を抽出してみることにしました。皆さまの投資のご参考になれば幸いです。

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1逆境にめげない抵抗力ある新興市場銘柄をピックアップ!!

それでは早速銘柄をピックアップしてみましょう。今回は当社Webサイトの「スクリーニング(銘柄条件検索)」機能を使って抽出してみます。条件は以下のとおりです。

(1)東証マザーズまたはJASDAQの上場銘柄で、時価総額が300億円以上の銘柄であること
(2)今期の経常利益コンセンサス予想、または会社予想が増益であること
(3)コンセンサス予想の予想ブローカー数が2社以上であること
(4)5/19(火)までに2020年3月期決算を公表しており、その経常利益の着地が会社予想を上回っていること
(5)2020年3月期の経常利益が黒字であること

新興市場の特徴として、利益予想をするアナリストが少ないことがあげられます。また、決算を受けてアナリストが業績予想を今後下方に修正するリスクも存在します。そこで(4)の条件を付与することによって、2020年3月期の業績が会社予想に比べ順調であったことを条件にし、それらのリスクを軽減しました。

前述の条件をクリアしたのが表1の銘柄群になります。掲載の順番はコード番号順です。これらの銘柄は、厳しい環境下においても今期の増益基調が期待される銘柄群であると考えられます。

表1 逆境にめげない抵抗力ある新興市場銘柄はこちら!!

取引 チャート ポート
フォリオ
コード 銘柄名 株価(円)
5月19日
今期経常
増益率(%)
2782 2782 2782 2782 セリア 3,380 1.2
3857 3857 3857 3857 ラック 1,138 3.0
3923 3923 3923 3923 ラクス 1,905 111.3
4485 4485 4485 4485 JTOWER 4,490 9,800.0
4970 4970 4970 4970 東洋合成工業 6,220 3.8
6232 6232 6232 6232 自律制御システム研究所 3,040 26.0
6324 6324 6324 6324 ハーモニック・ドライブ・システムズ 5,620 904.0
6787 6787 6787 6787 メイコー 1,436 36.8
7564 7564 7564 7564 ワークマン 8,460 16.4
9436 9436 9436 9436 沖縄セルラー電話 4,195 4.7
  • ※SBI証券Webサイトの「スクリーニング(銘柄条件検索)」等より作成。今期経常増益率はコンセンサス予想。

2抽出銘柄のポイント

それでは(1)で抽出された銘柄群のうち数銘柄について、チャートとポイントを簡単にご紹介します。

ラック(3857);1986年にシステム開発会社として設立されました。1995年に日本で最初に情報セキュリティ事業をスタートしたセキュリティ対策のパイオニア企業です。政府機関へのセキュリティ対策への提言や支援を行うなどの実績を持っています。2014年にはKDDIと資本提携を行い、人材招聘など関係を強化しています。システム開発とセキュリティ監視(24時間リアルタイム)業務に強みを持っています。新型コロナウイルスの影響で、在宅勤務(テレワーク)が増加しており、より一段のセキュリティ対策が重要になってくるとみられます。21/3期について会社側はコンセンサス予想の3%経常増益を上回る18%増益を計画しています。

ラクス(3923);クラウド事業とIT分野の人材派遣事業が両輪の会社です。クラウドサービスでは主に中小企業向けに交通費精算システム「楽楽精算」、メールなどの一元管理システム「メールディーラー」、「配配メール」などを提供しています。IT人材派遣事業はウェブシステムの開発やインフラ業務に強みを持つエンジニアの派遣が中心となっています。20/3期は33%増収、20%経常減益となりました。IT分野での先行投資や広告費の大幅増加で減益とはなりましたが、会社予想比では10%の超過達成でした。21/3期は人材派遣業務が新型コロナウイルスの影響を受けそうですが、クラウド事業は逆に堅調が見込め、増益に転じる可能性がありそうです。

東洋合成工業(4970);2000年にJASDAQ市場に上場しています。医薬品用化学製品の会社として創業しましたが、現在の主力製品は半導体製造に欠かせないフォトレジスト用の感光材料です。当分野では世界トップクラスのメーカーです。このほかには香料用材料や電子材料向けの高純度溶剤などの化成品事業も手掛けています。半導体の配線微細化の進行に伴い、高品質の感光材料のニーズが高まっているのが追い風となっています。20/3期は感光材料と化成品の両輪とも好調で、売上利益とも過去最高を記録しました。21/3期について会社側は17.5%経常減益の想定ですが、コンセンサス予想は4%弱の増益です。

自律制御システム研究所(6232);2018年12月にマザーズに上場しています。千葉大学発のベンチャー企業として設立されたドローンの自社開発・製造を行っている専業メーカーです。ドローンを使った無人化システム(物流、空撮、測量、保守点検作業など)の適応分野が急拡大しており、市場から注目されているニッチ企業です。20/3期は会社予想を上回る着地で黒字転換を達成しました。今期の会社予想は非開示ですが、市場コンセンサスは26%増益です。米国のドローンのソフトウェア開発会社に出資していますが、将来はより高度・複雑な環境下での自律飛行技術にも取り組んでいます。

ワークマン(7564);1997年にJASDAQ市場に上場しています。現場用の作業服や履物(安全靴)、用品(手袋、マスク、ヘルメット)などの専門チェーンです。フランチャイズを主体に3月末で全国に868店舗を有します。防寒や防水、酷暑対策衣料などの商品開発力に優れ、PB商品の比率が約4割を占め、同社の高い集客力や収益力の源泉となっています。2025年までに1,000店舗体制への拡大を目指しています。20/3期の業績は現場用機能性商品(冷却ファン内蔵作業着)などの販売好調などで、38%増収、40%経常増益と好調でした。21/3期の会社予想は非開示でしたが、厳しかった4月の既存店の月次売上高でも前年同月比6.7%増収を達成しています。市場コンセンサスは16%経常増益です。

図1 ラック(3857)・日足

図2 ラクス(3923)・日足

図3 東洋合成工業(4970)・日足

図4 自律制御システム研究所(6232)・日足

図5 ワークマン(7564)・日足

  • ※図1から図5は、当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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  • 本資料は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。万一、本資料に基づいてお客さまが損害を被ったとしても当社及び情報発信元は一切その責任を負うものではありません。本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製又は販売等を行うことは固く禁じます。
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