1年の折り返し点を経過し、7月相場入りとなりました。本来なら7月下旬には東京五輪が開催されていたのですが、ご存知の通り新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期が決定しており、残念でなりません。
さて、気象庁の予報によれば、7/3(金)頃までは全国的に梅雨の大雨に警戒ですが、7/6(月)以降は一転して夏の太平洋高気圧が本州付近に張り出しを強めそう、ということです。また、同庁の6/25(木)に発表された向こう1ヵ月の天候見通しによれば、図1に見るように、全国的に気温は平年よりもかなり高い見込みとなっています。
また、ウェザーニュースが6/30(火)に発表した「猛暑見解2020」によれば、今年の夏は梅雨明けが例年より早く、西日本や東日本を中心に厳しい暑さになり、8月には日本上空での高気圧の勢力が強まり、広範囲で暑さのピークとなるそうです。さらに9月になっても高温傾向が続き、お彼岸の頃まで残暑が厳しくなりそうとの予想です。
そこで今回の「新興株ウィークリー」は、サマーストックをピックアップしてみることにしました。世界の株価は新型コロナウイルスの感染拡大に神経質な展開になっていますが、太陽のコロナに負けない銘柄群で夏相場を乗り切りたいものです。
図1 今年の夏の気温予想(気象庁)
- ※気象庁HPより、「3か月予報」の図を引用
それでは早速銘柄をピックアップしてみたいと思います。冒頭でご説明したように、今回の「新興株ウィークリー」は、東証マザーズまたはJASDAQの上場銘柄から、サマーストック(猛暑関連銘柄)を抽出してみることにしました。
猛暑関連銘柄のキーワードといえば、「エアコン」、「ビール」、「飲料」、「冷菓(アイスクリーム)」、「プールなどの行楽施設」、「日焼け止めやスキンケアの化粧品」、「冷房の効いた施設(映画館、喫茶店)」などでしょうか?
新興市場の銘柄には「エアコン」、「ビール」、「行楽施設」などそのものズバリの銘柄は残念ながらありません。ただし、物色範囲を広げてみると、表1に掲載したように思いのほかたくさんの銘柄群が浮上してきました。
今回はあくまでも猛暑関連との連想で浮上する銘柄ということで、業績や財務内容などでのスクリーニングは行いませんでした。ただ、「継続企業の前提」に疑義が生じている企業は除きました。出前館(2484)、日本マクドナルドホールディングス(2702)、ワークマン(7564)など、新型コロナ禍の勝ち組企業も抽出されています。皆さまの投資のご参考になれば幸いです。
表1 コロナに負けないサマーストックはコチラ!!
取引 | チャート | ポート フォリオ |
コード | 銘柄名 | 6/30株価 (円) |
事業内容、注目点 |
2268 | 2268 | 2268 | 2268 | B-R サーティーワン アイスクリーム | 3,960 | アイスクリームは高利益率 |
2484 | 2484 | 2484 | 2484 | 出前館 | 1,566 | 在宅増で出前需要拡大 |
2702 | 2702 | 2702 | 2702 | 日本マクドナルド | 5,820 | 飲料増加、ドライブスルー |
2916 | 2916 | 2916 | 2916 | 仙波糖化 | 644 | カラメル、緑茶が主力 |
3793 | 3793 | 3793 | 3793 | ドリコム | 640 | 巣ごもりに拍車でゲーム |
4365 | 4365 | 4365 | 4365 | 松本油脂 | 10,700 | シャンプー、洗剤需要増加 |
4925 | 4925 | 4925 | 4925 | ハーバー研究所 | 5,030 | スキンケアの需要拡大 |
6411 | 6411 | 6411 | 6411 | 中野冷機 | 6,120 | 冷凍冷蔵設備の需要増加 |
7564 | 7564 | 7564 | 7564 | ワークマン | 9,470 | 空調ウェアが大ヒット |
8123 | 8123 | 8123 | 8123 | 川辺 | 1,129 | 汗以外にコロナで手洗い増 |
9853 | 9853 | 9853 | 9853 | 銀座ルノアール | 845 | 外回りのついでに休息 |
- ※各社資料等をもとにSBI証券が作成。
それでは表1で抽出された銘柄群のうち数銘柄について、チャートとポイントを簡単にご紹介いたします。
出前館(2484);2006年にJASDAQ市場に上場しています。旧社名は「夢の街創造委員会」です。出前仲介サイト「出前館」を運営しています。配達代行業務や飲食店向けに酒類の通販事業も行っています。LINE(3938)との資本業務提携関係を深めており、LINEが35.9%の株式を所有しています。アクティブユーザー数325万人、加盟店舗数21,609(いずれも3月末)を有していますが、今後はLINEの同種事業を「出前館」ブランドに統合する予定です。巣ごもり生活の長期化で出前需要の拡大や、飲食店側の活用増加が期待できそうです。猛暑に関しては、出前需要の増加につながり、業績面ではプラスに作用すると思われます。
日本マクドナルドホールディングス(2702);国内最大のハンバーガーチェーンで、全国におよそ2,900店舗を有しています。新型コロナウイルスで店舗営業は制約を受けていますが、1Qまでの経常利益進捗率は26.1%と順調でした。2Qは持ち帰り、ドライブスルー、デリバリーの好調により、既存店売上高は4月が前年同月比6.5%増、5月は15.2%増とむしろ加速しています。猛暑は飲料需要の増加にもつながりますし、同社の特徴であるドライブスルー店舗の売り上げ好調に寄与しそうです。個人投資家にとっては、株主優待の面で人気が高い銘柄の1つにもなっています。
ドリコム(3793);2006年にマザーズに上場しています。コンテンツサービスと広告メディアサービスを展開しています。主力はスマホ向けのソーシャルゲームです。「みんゴル」、「ダービースタリオン マスターズ」、「ちょこっとファーム」などが有名です。2020年3月期業績は不採算タイトルの整理や、新規運用タイトルの好調、全社的なコスト見直しなどが奏功し黒字転換を達成しました。2021年3月期については、巣ごもり生活によるゲーム部門の好調が想定されます。会社側は4〜6月期のみ、前年同期比で97.7%経常増益予想を公表しています。猛暑は巣ごもり生活をさらに加速させる一面があるのではないでしょうか。
中野冷機(6411);1946年から冷凍庫やアイスキャンディー製造装置を発売している老舗です。百貨店、スーパー、コンビニの冷凍ショーケースのトップメーカーです。セブン&アイグループ向けに強みを持っています。高いシェアを背景に収益性は高く、好財務内容です。2018年末に企業価値向上を目指し、今後3年間の最低配当金を300円とし配当性向100%の株主還元を公約しています。また2019年4月には発行済み株式数の43%にも達していた自己株を全株消却するなど、株主還元に積極的に取り組んでいる点が評価できます。高配当利回り銘柄としても注目しています。
ワークマン(7564);1997年にJASDAQ市場に上場しています。現場用の作業服や履物(安全靴)、用品(手袋、マスク、ヘルメット)などの専門チェーンです。フランチャイズを主体に3月末で全国に868店舗を有します。防寒や防水、酷暑対策衣料などの商品開発力に優れ、PB商品の比率が約4割を占め、同社の高い集客力や収益力の源泉となっています。2025年までに1,000店舗体制への拡大を目指しています。20/3期の業績は現場用機能性商品(冷却ファン内蔵作業着)などの販売好調などで、38%増収、40%経常増益と好調でした。21/3期の会社予想は非開示でしたが、厳しかった4月の既存店の月次売上高でも前年同月比5.7%増収、5月は同19.4%増収を達成しています。21/3期の市場コンセンサスは16%経常増益です。猛暑は機能性商品の売り上げ増加に大きく貢献しそうです。
図1 出前館(2484)・日足
図2 日本マクドナルドホールディングス(2702)・日足
図3 ドリコム(3793)・日足
図4 中野冷機(6411)・日足
図5 ワークマン(7564)・日足
- ※図1から図5は、当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
- ※NISA口座で上場株式等の配当金を非課税で受け取るためには、配当金の受領方法を「株式数比例配分方式」に事前にご登録いただく必要があります。
- ※信用取引において必要となるその他諸費用の詳細は信用取引のサービス概要をご確認ください。